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1章:ルーシャの願い
Ⅲ
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ソルトは、ルーシャをその完全に冷めきった瞳で微笑みかけ言った。
「ルーシャ。あなたは、サクラに対して沢山の嫌がらせをしていたな?それに、私と話した令嬢たちや身分の低い令嬢たちにも嫌がらせをしていた。そして、挙句の果てにはサクラを殺そうとした。これは、殺人未遂となるぞ。」
ソルトの視線に怯えつつもすまし顔をしたルーシャ。
「・・・だからなんですの?私が殿下に申し上げたことをそのまま返されても、私には謝る心当たりがありませんわ。そんなことを言われましても困りますわ。そもそも、私がしてきたことは教育的指導なのですわ。それを嫌がらせと勘違いしているのはそちらではありませんこと?」
顔をソルトから逸らしつつ言ったルーシャ。
その言葉は会場内に居た令嬢たちやその婚約者達の怒りをふつふつと湧かせるものだった。
周りはルーシャを見る目が恐怖から完全に怒りのものへと変わっていった。
ルーシャは気づかずに言葉を続ける。
「そもそも!!私は公爵家の人間!それに、サクラ・フェンリルは平民から男爵家になった子ですわ!平民という貴族のことも何も分からないくせに男爵家に入る未熟な者ですわ。だから、貴族社会のこともろくにわかっていないから普段してはならない身分が低いものから身分の高い者に話しかけるということをするんですわ!その姿を見て私は注意をしただけですわ!!それの何がいけないと言うんですの?」
フンっと鼻を鳴らし周りを見るルーシャ。
周りのものたちの瞳はもう怒りに染まりきっていた。
中には自分のした事に対して言い訳ばかりをするルーシャに哀れな子を見るような瞳をする者や呆れた瞳をする者もいた。
だが、誰も何も言おうとはしなかった。
ソルトも半ば呆れている。
しかし、沈黙にあった会場内に突如声が響いた。
「あ、あのっ!!わ、私はルーシャ様がサクラにしたことは、その、注意の範囲を超えていると思います!!」
声を発したのは、腰まで伸びた黒に近い灰色髪を低めのサイドテールにし、前髪を百合の花のピンで留めたオレンジ色のジト目気味の瞳の令嬢───ミーナ・クローツレリーサンドラだった。
彼女はとても内気で気弱な性格をしている。
そのため、とても可愛らしい見た目と相まって小動物のような雰囲気を醸し出していた。
しかしそんな彼女は緊張で震えながらも、ルーシャに立ち向かっていた。
ミーナはサクラの親友でいつもサクラの近くにいた。
そのため、ルーシャがしてきたサクラの嫌がらせはいつも見ていたし、時々されていた。
ミーナは何とかしたいと思っていたが、誰かに助けを求める勇気も出ず何も出来ない自分をいつも呪っていた。
しかし、今、ミーナはいつもなら怯んでしまうルーシャに対して今日はさすがにしびれが切れたのか真っ直ぐと見つめていた。
ミーナは会場の真ん中に行き、サクラの横に立ち震える唇を開いた。
「ルーシャ。あなたは、サクラに対して沢山の嫌がらせをしていたな?それに、私と話した令嬢たちや身分の低い令嬢たちにも嫌がらせをしていた。そして、挙句の果てにはサクラを殺そうとした。これは、殺人未遂となるぞ。」
ソルトの視線に怯えつつもすまし顔をしたルーシャ。
「・・・だからなんですの?私が殿下に申し上げたことをそのまま返されても、私には謝る心当たりがありませんわ。そんなことを言われましても困りますわ。そもそも、私がしてきたことは教育的指導なのですわ。それを嫌がらせと勘違いしているのはそちらではありませんこと?」
顔をソルトから逸らしつつ言ったルーシャ。
その言葉は会場内に居た令嬢たちやその婚約者達の怒りをふつふつと湧かせるものだった。
周りはルーシャを見る目が恐怖から完全に怒りのものへと変わっていった。
ルーシャは気づかずに言葉を続ける。
「そもそも!!私は公爵家の人間!それに、サクラ・フェンリルは平民から男爵家になった子ですわ!平民という貴族のことも何も分からないくせに男爵家に入る未熟な者ですわ。だから、貴族社会のこともろくにわかっていないから普段してはならない身分が低いものから身分の高い者に話しかけるということをするんですわ!その姿を見て私は注意をしただけですわ!!それの何がいけないと言うんですの?」
フンっと鼻を鳴らし周りを見るルーシャ。
周りのものたちの瞳はもう怒りに染まりきっていた。
中には自分のした事に対して言い訳ばかりをするルーシャに哀れな子を見るような瞳をする者や呆れた瞳をする者もいた。
だが、誰も何も言おうとはしなかった。
ソルトも半ば呆れている。
しかし、沈黙にあった会場内に突如声が響いた。
「あ、あのっ!!わ、私はルーシャ様がサクラにしたことは、その、注意の範囲を超えていると思います!!」
声を発したのは、腰まで伸びた黒に近い灰色髪を低めのサイドテールにし、前髪を百合の花のピンで留めたオレンジ色のジト目気味の瞳の令嬢───ミーナ・クローツレリーサンドラだった。
彼女はとても内気で気弱な性格をしている。
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しかしそんな彼女は緊張で震えながらも、ルーシャに立ち向かっていた。
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そのため、ルーシャがしてきたサクラの嫌がらせはいつも見ていたし、時々されていた。
ミーナは何とかしたいと思っていたが、誰かに助けを求める勇気も出ず何も出来ない自分をいつも呪っていた。
しかし、今、ミーナはいつもなら怯んでしまうルーシャに対して今日はさすがにしびれが切れたのか真っ直ぐと見つめていた。
ミーナは会場の真ん中に行き、サクラの横に立ち震える唇を開いた。
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