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『其の拾壱』
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その日は晴天だった。
夏場には珍しく、目に痛いほどの青空が、雲ひとつ浮かべることなく広がっていた。
【鬼籤座】の天幕周辺には、沢山の幟が立てられ、朝早くから花火が打ち上げられ、開演の準備が着々と進められていた。すでに近在の町村からは、多くの人が集まり始め、天幕の周囲でソワソワと、落ち着かぬ様子である。客引きも兼ねる音耶と迦葉が、観劇用の木札を売り始めると、あっと云う間に人々が群らがり、長蛇の列をなした。双子は喜悦満面である。
「これでまた、神籬森侵入の軍資金が大分、稼げるな」
「啊、姫君の鬼業を解くため、もうひと踏ん張りだな」
客には聞こえぬよう、小声でささやき合う音耶と迦葉は、木札が売り切れると同時、観覧料入りの偈箱をそっとさすり、天幕に収まりきれなかった客へ、慇懃に頭を下げた。
「お待ちの皆さま! まことに申しわけございません! 木札は只今、売り切れました!」
「折角、足を運んで頂いたのに、相済みません! けれど、午後より第二部が始まります!」
「「どうぞ、またのお越しを!! 我ら【鬼籤座】一同、心よりお待ち申し上げます!!」」
最後は二人、見事に美声をそろえ、一挙手一投足たがわぬ所作で、後転宙返りしながら、天幕へと下がって往った。これにて、客になれなかった人々からも、不満の声はもれず、逆に拍手喝采が巻き起こった。こうした、双子によるソツのない〝種まき〟のお陰で、第二部も盛況となるはずだった。その日の第一部が、無事に終わっていたならば……。
「ヤレヤレ。まったく、よぅやるよ。次から次へと、手を変え、品を変え……さすがの天才詐術氏・幻麼さまでも、あそこまで非道な荒稼ぎはできないぜ。見習いたいくらいだわ」
「イカサマ舞台で客を騙し、次の幕ではさらに金を要求する……なんとも浅ましい守銭奴ぶりですな。彼らの悪知恵の働かせ方には、目を瞠るものがあります。しかしこれは、今まで【雷鳴】が行って来たことと大差ないようにも思いますがね。義賊を装い、蛮行三昧」
「確かに喃。ちがうと否定できんから、困る」
「あ~あ、つまらん! 種も仕掛けも見飽きちまったよ! 追跡部隊は一向に、俺たちの行方に気づかねぇし……ここで散々こき使われるだけ、損した気分になってくぜ、御頭!」
「そうでもないぜ、八。客席の方を見ろ。今日の面子は、ヤケに目つきが据わってやがる」
雲嶺火が指差した先、客席の中央に陣取る一団は、互いに素知らぬ顔で土地の農夫を装っているが、武士であることは明らかだった。周囲に巧く溶けこむため、時に拍手を送り、驚くべき演目の数々に声を上げ、口元こそゆるめているが、眼差しだけは真剣そのものだ。
「どうやらこれは一波乱……嵐の前触れだぜ」
炯々と瞳を煌めかせ、低くつぶやく雲嶺火だ。
「貴様も、やはりそう思うか?」
いつの間にか五人の背後に、遼玄座長が佇んでいた。
彼らの話を全部、聞いていたらしい。
「ざ、座長さん!」
「こりゃあ……」
「今のは、別に悪口じゃあ……」
慌てる盗賊に対し、遼玄は無言で帳頭巾を降ろした。
焼け爛れた悪相を隠し、舞台へ躍り出る。
次なる幕は、千剣操術を用いた『人身御供真剣舞』だ。五遁幻術師・忘八の『別れ身変化』で、すでに大盛り上がりの客席から、またしても、割れんばかりの拍手が巻き起こった。一座の華、明衣妓・孔雀太夫の華麗な目隠し舞踏が始まる。此度は趣向を変え、文丑役者・水沫と、軽業師・飛天行者も舞台に登っている。無論、二人とも目隠し状態だ。
双子の音曲鳴物師は、ますます軽快に奏で、そこへ鵺吟師・諱御前の玲瓏な声音がからみつく。
舞台は雑多衆・轟馬と漣の働きで、目まぐるしく転換し、背景を黒一色に染め上げる。
「それでは皆さま! 我ら【鬼籤座】取って置きの出し物、人身御供真剣舞! 篤とお愉しみください!」と、黒子姿の遼玄座長が、朗々たる大音声で云う。
間髪入れず、一投目が放たれた。
飛び上がった軽業師の股をくぐり、文丑役者の髪をかすめ、明衣妓の流麗な舞をすり抜け、背後の的へと突き刺さる。観客の歓声が、天幕一杯に反響した。
次いで二投目だ。
これも飛天行者を、忘八を、孔雀太夫を、紙一重でかわし、的の中心部に突き刺さる。
続いて三投目……ところが遼玄座長、なにを思ったか、いきなり客席の方へと向きなおり、鋭い刀剣を、桟敷の中心部めがけて、勢いよく投じたのだ。
「「「「啊っ!?」」」」と、誰もが息を呑んだ瞬間――、
刀剣は丁度、立ち上がった農夫の左胸に、ザックリと突き刺さった。
農夫の手から、毒薬を塗った小刀が、ポロリとすべり落ちる。
そして農夫も、血を吐きながら、その場にくずおれた。
「神祇府の犬どもめ!」
遼玄座長は、憎々しげに叫んだ。
「きゃあぁぁぁぁぁあっ!」
「うわぁぁぁぁあぁぁぁぁあっ!」
「人殺しいぃぃぃいぃっ!」
客席は騒然、大混乱である。すると、この好機を見逃さず、他の農夫たち……いや、農夫に化けた神祇府『剣聖連』の刺客たちが、一斉に舞台の上の座員へ、襲いかかったのだ。
【降魔十二道士】は、一丸となってこれを迎撃する。
騒ぎを聞きつけ、舞台袖から現れた鬼面姫・娜月も、大わらわの惨状である。
「啊っ……なんてこと! 遼玄!」
激戦の死舞台へ、飛び出そうとする娜月姫の無謀を、慌てて引き止めたのは【雷鳴】だ。
こうなっては、舞台装置に隠れた盗賊どもも、黙って見すごすわけにいかぬ。
雲嶺火が号令した。
「俺たちも往くぞ!」
「おぅ! 云わずもがなじゃ!」
「恩着せがましく、奴らに助勢してやれ!」
「牙奄斎! 姫さまを頼むぜぇ!」
「承知しました!」
雲嶺火にならい、丹慙坊、下下八、幻麼も、次々と死闘に参戦する。
牙奄斎だけが娜月姫の元に残り、大弓で近づく敵を威嚇する。
鍬や鋤に見せかけて、持ちこんだ偃月刀を抜き払い、凄まじい剣伎を見せる『剣聖連』。
「涜神教【降魔外道】の破戒者どもめ! お尋ね者と結託し、〝鬼憑き〟罪人を聖域から奪い去り、数多の残虐行為をかさねた人非人! 我ら神祇府武術指南方筆頭『剣聖連』が、残らず捕縛してくれる! 覚悟!」と、農夫の扮装を解いた大柄な筆頭格が、大喝する。
戦に突入するや、証の『吽』字額当を巻き、気合充分だ。神祇府の、武術指南方で編成された剣術の達人たち相手では、さすがの【雷鳴】も苦戦を強いられたかと、思いきや――。
「有象無象の斬られ役ども! てめぇらこそ、覚悟はいいか!」
雲嶺火の断骨刀が、入口から、さらになだれこむ兵法者一団を、怪腕強力で粉砕する。
「死にたい奴ぁ、儂が手助けして進ぜるぞ!」
丹慙坊の十文字槍が、片っ端から突き殺す。まさに見境なしの、手当たり次第だ。
「俺の投げ手斧の方が、狙い目は確かだぜ!」
下下八は同時に二本を投じ、四つ首狩って蜻蛉返りさせる。両手でにぎり、喜悦満面だ。
「さぁ、今度は調教の時間だよ! おいで!」
幻麼が忌辮索をふるえば、十把ひとからげ。締め上げ、叩きつけ、死体の山を築く。
「喂! あそこにいたぞぉ!」
「例の〝鬼憑き〟姫だな!」
「疾く、捕まえろぉ!」
勿論、牙奄斎も負けてはいない。
逃げ惑う客の合間を縫って、肉薄する剣聖連の刺客……彼らの末期は悲惨だった。
「ぎゃあっ!」
「うぐっ……!」
すかさず牙奄斎が放った矢で、正確に心臓を射抜かれ、落命者が続出。
他四人の働きと合わせて、すでに半数以上が斃されていた。
「残念ですが死門をくぐらねば、ここへは近づけませんよ!」と、娜月姫を背にかばいつつ、余裕の笑みを浮かべる牙奄斎。これには、さしもの【降魔十二道士】も唖然悄然だ。
「なんという奴らだ!」
「たった五人で、我らの倍以上の数を……」
「やはり、味方に引き入れておいて、正解だったな!」
しかし、安堵するのは、まだ早かった。
「なんか、焦げ臭くねぇか!?」と、幻麼。
「喂! あれを見ろ!」と、下下八。
彼が指差した場所、天幕の一部が、燃え始めていた。どうやら、自棄になった敵方が、例の篝篭を射落とし、天幕に火を放ったらしい。
桟敷には、多くの無関係な客が残っているのに、とんでもない所業である。
到底、神祇府の聖職者がすることとは思えない。
「姫さま! 早くこちらへ!」
「裏口から、外へ逃げましょう!」
「待って……待ってください! 皆を置いて、私だけ逃げるわけにはいきません! 二人とも、どうか放してたも!」
孔雀太夫と諱御前に手を引かれ、娜月姫は、なかば強制的に舞台裏へ連れ去られた。
すぐに気づいた牙奄斎が、仲間四人へ合図する。
「大変です! 姫君が……」
雲嶺火たちも気づき、慌ててあとを追う。
「そうはさせるかよぅ!」
阿鼻叫喚の火焔地獄と化した【鬼籤座】興行天幕から、命辛々逃げ出す人、人、人。
近隣の百姓や、行商人、旅人などが、驚き目を瞠る中、猛烈な火柱を上げ、黒煙を立ち昇らせる巨大な天幕の周辺は、野次馬でごった返していた。但し、かなりの遠巻きである。
それというのも――天幕周囲には怪しい人影が、すでに十重二十重の人垣を作り、蟻の這い出る隙間もないほど、密接に立ち並んでは、異様な緊迫感を漂わせていたからだ。
孔雀太夫と諱御前に連れられた娜月姫、あとを追う【雷鳴】一味、そして【降魔道士】の面々が、なんとか表に逃れた際、さらなる恐怖が幕を開けた。遼玄が、震撼して叫んだ。
「貴様ら……【抹香宗僧兵団】だな!」
一様、背に己の戒名を綴った直綴僧衣、朱の胴丸、〝三綱五常〟の額当に寡頭、黒玉の数珠を#袈裟掛__けさが__けにし、穂先が二又に分かれた天衝棒を掲げている。そうして片手をかざし、一心に呪禁を唱えている。炎の天幕を包囲する堅牢な二重円陣。直後、長大な楯をかまえる内陣百余名が、一斉にかがみ、影に隠れていた外陣三百余名が、一斉に火矢を放ったのだ。
「ひぃぃいぃぃぃぃいっ!」
「お助けぇぇえぇぇえっ!」
「ぎゃあぁぁあぁぁぁっ!」
真っ先に犠牲となったのは、罪もない観客だった。【降魔十二道士】や【雷鳴】もろとも、陣内に閉じこめられた農夫や町人などが、火矢の猛攻を浴び、バタバタと倒れていく。
「やめてぇ! この者たちは無関係よぉ!」
【抹香宗僧兵団】の、目にあまる乱逆ぶりに、悲鳴を上げた娜月姫。
思わず、危険も顧みず、僧兵団めがけて駆け出そうとする。そんな彼女をかばい、前に出た孔雀太夫、諱御前までが、火矢を受け、くずおれてしまった。一同に激震が走る。
「嫌あぁぁあぁぁぁぁぁあっ!」
「屍神楽道士! 荼吉尼道士!」
さらに、憤然と襲いかかる内陣の天衝棒が、文殊丸、音耶と迦葉、涅槃居士を血祭に上げる。
「やめろぉぉお! 卑怯者どもめぇえ!」
雲嶺火が絶叫した。
ジリジリとせばまる包囲網。
今、彼らが下手に動けば、生き残りの客十数名も、確実に射殺されてしまうのだ。
最早、手も足も出せない。
「もう判ったな、【降魔外道】……下手に逆らえば、貴様らの元に集まっていた者全員を、涜神教の信者と見なし、誅戮するまで!」と、一歩前に進み出たのは、色黒壮年の巨漢僧侶だった。この男が僧兵団長だろう。血赤珊瑚の数珠をたぐりながら、喜悦満面である。
「洸燕坊! 貴様という奴はぁぁあ!」
娜月姫が、怨嗟に満ちた泪声で絶叫した。
直後――、
「危ねぇ! 娜月っ!」
今度は、無数の尖矢が、四方八方から飛来し、娜月姫を守ろうと、楯になった【降魔十二道士】を、容赦なく刺し貫いたのだ。間一髪、焼死覚悟で、再び燃えさかる天幕内部へ飛びこんだ【雷鳴】一味と、彼らに引っ張られた娜月姫だけが、的場にならず済んだ。
彼らは、十二道士と、罪なき観客たちの、断末魔の叫び声を、確かに聞いた。
あまりにも呆気なく、【降魔外道】は殲滅されてしまったのだ。
いや、唯一人、幾本もの尖矢を浴びてなお、雄叫びを発した豪胆な道士がいた。
遼玄である。
「涜神者どもぉぉお! 貴様らを、地獄へ道連れにしてやる! 覚悟ぉぉおぉぉぉおっ!」
血反吐とともに怨言わめき散らし、遼玄は最期の千剣差配を行った。
途端に、千剣操術が発動され、辺りをまばゆい白銀光がおおった。
「遼玄! 嫌ぁぁぁあぁぁぁぁあっ!」
『唵』字榧木箱から噴出した凄まじい光線が、縦横無尽に飛び交い、僧兵団の闘志を殺ぐ。
「ぎゃあっ!」
「うぐ……!」
「ぐはぁっ!」
巨体の僧兵の手足を、胴を、首を斬り刻み、刺し貫き、薙ぎ払い、千剣が猛威をふるう。
「娜月さまっ……早く、早く逃げてください! お前たち、姫君を、頼んだぞぉぉおっ!」
直後、一斉に襲いかかった僧兵団が、無数の天衝棒を繰り出した。
今度は遼玄の体躯を、容赦なく串刺しにする。
それでも、歯を食いしばって堪える遼玄は、なにを思ったか突然、千剣を【雷鳴】に向けて飛散させた。燃えさかる天幕と、舞台装置の隙間に、身を隠していた娜月姫と盗賊五人は、震撼した。いや、彼らを狙ったわけではない。丁度、彼らの上に倒れて来た、天幕や支柱の火勢を、瞬時に斬り払ってくれたのだ。
さらに千剣は、驚くべき功力を魅せる。幾重にもつらなり、折りかさなり、複雑に組み合わさった刀剣が、見る見る内に、巨大な〝鳳凰像〟を形造ったのだ。それは、さしもの抹香宗僧兵団でさえ、虚を突かれ、愕然と目を瞠るほど、煌々しく、神々しい光景だった。
「なんだっ……あれは!?」
「ほ、鳳凰だっ! まさか……!」
「遼玄っ……貴様ぁぁあっ!」
僧兵団長《洸燕坊》……聖戒王家『聖貴族』の血を引く彼は、容貌魁偉だが、抹香宗数多の団員の中でも、珍しく『唵字掌』を持つ者として、皆から一目置かれていた。そんな洸燕坊は、己の足元で、なおも不可解な呪禁を唱え続ける遼玄を、憎々しげに睨みつけた。
天衝棒を大きく振りかざし、止めの一撃を加えようとする。
聖なる右掌に、背信的な力がこもる。
「もうやめてぇぇぇえっ! 遼玄っ!」
娜月姫の悲痛な泪声に、遼玄は幽かな微笑みを浮かべた……ようだ。
直後――見事に千剣で仕上げられた鳳凰は、凄まじい軋音を立てて翼を広げた。
火の粉まじりの熱風が渦を巻き、たちまち周囲の僧兵を吹き飛ばす。
遠くで見守る野次馬も、あまりの驚愕に絶句したままだ。
彼らには、千剣操術の秘める凄絶な功力など、一向に判らない。単に只今、目前で起こっている事象が、炎の中から誕生するという『鳳凰伝説』の顕現そのものに見えたのだ。
最早、敵味方の別なく皆が皆、神秘的な千剣鳳凰誕生の光景に、見入っていた。
「娜月さま! どうか、ご無事で! いずれ、来世で逢いましょう……おさらばっ!」
遼玄が最期の呪禁を叫び終わった途端、千剣仕立ての鳳凰は、娜月姫と盗賊【雷鳴】を、かっさらうように背中へ乗せ、大空へ羽ばたいた。凄まじい羽風……いや、刃風が、周囲の敵方を一瞬で斬り刻む。血風が吹き荒れ、野次馬連中から、またもどよめきが起こった。
「遼玄っ!」
だが娜月姫が懸命に伸ばした手は、到頭【降魔教道士】にも、遼玄にも届かなかった。
白銀に輝く巨大な鳳凰は、奇声の如き軋音とともに、はるか天空の彼方へ飛び去った。
しこうして、同朋を過半数まで減らされた『剣聖連』は、すっかり戦意消失。
かなりの痛手をこうむった兵法者集団の首領は、鳳凰剣伎の凄絶さに倉皇した挙句、此度の件からの撤退を決意した。手傷を負った仲間を介抱しつつ早速、帰還準備にかかる。
その一方で【抹香宗僧兵団】も、盗賊五人と〝鬼憑き罪人〟を乗せた鳳凰、そして落胆いちじるしく敗走する『剣聖連』の後ろ姿を、ただ呆然と見送ることしかできなかった。
夏場には珍しく、目に痛いほどの青空が、雲ひとつ浮かべることなく広がっていた。
【鬼籤座】の天幕周辺には、沢山の幟が立てられ、朝早くから花火が打ち上げられ、開演の準備が着々と進められていた。すでに近在の町村からは、多くの人が集まり始め、天幕の周囲でソワソワと、落ち着かぬ様子である。客引きも兼ねる音耶と迦葉が、観劇用の木札を売り始めると、あっと云う間に人々が群らがり、長蛇の列をなした。双子は喜悦満面である。
「これでまた、神籬森侵入の軍資金が大分、稼げるな」
「啊、姫君の鬼業を解くため、もうひと踏ん張りだな」
客には聞こえぬよう、小声でささやき合う音耶と迦葉は、木札が売り切れると同時、観覧料入りの偈箱をそっとさすり、天幕に収まりきれなかった客へ、慇懃に頭を下げた。
「お待ちの皆さま! まことに申しわけございません! 木札は只今、売り切れました!」
「折角、足を運んで頂いたのに、相済みません! けれど、午後より第二部が始まります!」
「「どうぞ、またのお越しを!! 我ら【鬼籤座】一同、心よりお待ち申し上げます!!」」
最後は二人、見事に美声をそろえ、一挙手一投足たがわぬ所作で、後転宙返りしながら、天幕へと下がって往った。これにて、客になれなかった人々からも、不満の声はもれず、逆に拍手喝采が巻き起こった。こうした、双子によるソツのない〝種まき〟のお陰で、第二部も盛況となるはずだった。その日の第一部が、無事に終わっていたならば……。
「ヤレヤレ。まったく、よぅやるよ。次から次へと、手を変え、品を変え……さすがの天才詐術氏・幻麼さまでも、あそこまで非道な荒稼ぎはできないぜ。見習いたいくらいだわ」
「イカサマ舞台で客を騙し、次の幕ではさらに金を要求する……なんとも浅ましい守銭奴ぶりですな。彼らの悪知恵の働かせ方には、目を瞠るものがあります。しかしこれは、今まで【雷鳴】が行って来たことと大差ないようにも思いますがね。義賊を装い、蛮行三昧」
「確かに喃。ちがうと否定できんから、困る」
「あ~あ、つまらん! 種も仕掛けも見飽きちまったよ! 追跡部隊は一向に、俺たちの行方に気づかねぇし……ここで散々こき使われるだけ、損した気分になってくぜ、御頭!」
「そうでもないぜ、八。客席の方を見ろ。今日の面子は、ヤケに目つきが据わってやがる」
雲嶺火が指差した先、客席の中央に陣取る一団は、互いに素知らぬ顔で土地の農夫を装っているが、武士であることは明らかだった。周囲に巧く溶けこむため、時に拍手を送り、驚くべき演目の数々に声を上げ、口元こそゆるめているが、眼差しだけは真剣そのものだ。
「どうやらこれは一波乱……嵐の前触れだぜ」
炯々と瞳を煌めかせ、低くつぶやく雲嶺火だ。
「貴様も、やはりそう思うか?」
いつの間にか五人の背後に、遼玄座長が佇んでいた。
彼らの話を全部、聞いていたらしい。
「ざ、座長さん!」
「こりゃあ……」
「今のは、別に悪口じゃあ……」
慌てる盗賊に対し、遼玄は無言で帳頭巾を降ろした。
焼け爛れた悪相を隠し、舞台へ躍り出る。
次なる幕は、千剣操術を用いた『人身御供真剣舞』だ。五遁幻術師・忘八の『別れ身変化』で、すでに大盛り上がりの客席から、またしても、割れんばかりの拍手が巻き起こった。一座の華、明衣妓・孔雀太夫の華麗な目隠し舞踏が始まる。此度は趣向を変え、文丑役者・水沫と、軽業師・飛天行者も舞台に登っている。無論、二人とも目隠し状態だ。
双子の音曲鳴物師は、ますます軽快に奏で、そこへ鵺吟師・諱御前の玲瓏な声音がからみつく。
舞台は雑多衆・轟馬と漣の働きで、目まぐるしく転換し、背景を黒一色に染め上げる。
「それでは皆さま! 我ら【鬼籤座】取って置きの出し物、人身御供真剣舞! 篤とお愉しみください!」と、黒子姿の遼玄座長が、朗々たる大音声で云う。
間髪入れず、一投目が放たれた。
飛び上がった軽業師の股をくぐり、文丑役者の髪をかすめ、明衣妓の流麗な舞をすり抜け、背後の的へと突き刺さる。観客の歓声が、天幕一杯に反響した。
次いで二投目だ。
これも飛天行者を、忘八を、孔雀太夫を、紙一重でかわし、的の中心部に突き刺さる。
続いて三投目……ところが遼玄座長、なにを思ったか、いきなり客席の方へと向きなおり、鋭い刀剣を、桟敷の中心部めがけて、勢いよく投じたのだ。
「「「「啊っ!?」」」」と、誰もが息を呑んだ瞬間――、
刀剣は丁度、立ち上がった農夫の左胸に、ザックリと突き刺さった。
農夫の手から、毒薬を塗った小刀が、ポロリとすべり落ちる。
そして農夫も、血を吐きながら、その場にくずおれた。
「神祇府の犬どもめ!」
遼玄座長は、憎々しげに叫んだ。
「きゃあぁぁぁぁぁあっ!」
「うわぁぁぁぁあぁぁぁぁあっ!」
「人殺しいぃぃぃいぃっ!」
客席は騒然、大混乱である。すると、この好機を見逃さず、他の農夫たち……いや、農夫に化けた神祇府『剣聖連』の刺客たちが、一斉に舞台の上の座員へ、襲いかかったのだ。
【降魔十二道士】は、一丸となってこれを迎撃する。
騒ぎを聞きつけ、舞台袖から現れた鬼面姫・娜月も、大わらわの惨状である。
「啊っ……なんてこと! 遼玄!」
激戦の死舞台へ、飛び出そうとする娜月姫の無謀を、慌てて引き止めたのは【雷鳴】だ。
こうなっては、舞台装置に隠れた盗賊どもも、黙って見すごすわけにいかぬ。
雲嶺火が号令した。
「俺たちも往くぞ!」
「おぅ! 云わずもがなじゃ!」
「恩着せがましく、奴らに助勢してやれ!」
「牙奄斎! 姫さまを頼むぜぇ!」
「承知しました!」
雲嶺火にならい、丹慙坊、下下八、幻麼も、次々と死闘に参戦する。
牙奄斎だけが娜月姫の元に残り、大弓で近づく敵を威嚇する。
鍬や鋤に見せかけて、持ちこんだ偃月刀を抜き払い、凄まじい剣伎を見せる『剣聖連』。
「涜神教【降魔外道】の破戒者どもめ! お尋ね者と結託し、〝鬼憑き〟罪人を聖域から奪い去り、数多の残虐行為をかさねた人非人! 我ら神祇府武術指南方筆頭『剣聖連』が、残らず捕縛してくれる! 覚悟!」と、農夫の扮装を解いた大柄な筆頭格が、大喝する。
戦に突入するや、証の『吽』字額当を巻き、気合充分だ。神祇府の、武術指南方で編成された剣術の達人たち相手では、さすがの【雷鳴】も苦戦を強いられたかと、思いきや――。
「有象無象の斬られ役ども! てめぇらこそ、覚悟はいいか!」
雲嶺火の断骨刀が、入口から、さらになだれこむ兵法者一団を、怪腕強力で粉砕する。
「死にたい奴ぁ、儂が手助けして進ぜるぞ!」
丹慙坊の十文字槍が、片っ端から突き殺す。まさに見境なしの、手当たり次第だ。
「俺の投げ手斧の方が、狙い目は確かだぜ!」
下下八は同時に二本を投じ、四つ首狩って蜻蛉返りさせる。両手でにぎり、喜悦満面だ。
「さぁ、今度は調教の時間だよ! おいで!」
幻麼が忌辮索をふるえば、十把ひとからげ。締め上げ、叩きつけ、死体の山を築く。
「喂! あそこにいたぞぉ!」
「例の〝鬼憑き〟姫だな!」
「疾く、捕まえろぉ!」
勿論、牙奄斎も負けてはいない。
逃げ惑う客の合間を縫って、肉薄する剣聖連の刺客……彼らの末期は悲惨だった。
「ぎゃあっ!」
「うぐっ……!」
すかさず牙奄斎が放った矢で、正確に心臓を射抜かれ、落命者が続出。
他四人の働きと合わせて、すでに半数以上が斃されていた。
「残念ですが死門をくぐらねば、ここへは近づけませんよ!」と、娜月姫を背にかばいつつ、余裕の笑みを浮かべる牙奄斎。これには、さしもの【降魔十二道士】も唖然悄然だ。
「なんという奴らだ!」
「たった五人で、我らの倍以上の数を……」
「やはり、味方に引き入れておいて、正解だったな!」
しかし、安堵するのは、まだ早かった。
「なんか、焦げ臭くねぇか!?」と、幻麼。
「喂! あれを見ろ!」と、下下八。
彼が指差した場所、天幕の一部が、燃え始めていた。どうやら、自棄になった敵方が、例の篝篭を射落とし、天幕に火を放ったらしい。
桟敷には、多くの無関係な客が残っているのに、とんでもない所業である。
到底、神祇府の聖職者がすることとは思えない。
「姫さま! 早くこちらへ!」
「裏口から、外へ逃げましょう!」
「待って……待ってください! 皆を置いて、私だけ逃げるわけにはいきません! 二人とも、どうか放してたも!」
孔雀太夫と諱御前に手を引かれ、娜月姫は、なかば強制的に舞台裏へ連れ去られた。
すぐに気づいた牙奄斎が、仲間四人へ合図する。
「大変です! 姫君が……」
雲嶺火たちも気づき、慌ててあとを追う。
「そうはさせるかよぅ!」
阿鼻叫喚の火焔地獄と化した【鬼籤座】興行天幕から、命辛々逃げ出す人、人、人。
近隣の百姓や、行商人、旅人などが、驚き目を瞠る中、猛烈な火柱を上げ、黒煙を立ち昇らせる巨大な天幕の周辺は、野次馬でごった返していた。但し、かなりの遠巻きである。
それというのも――天幕周囲には怪しい人影が、すでに十重二十重の人垣を作り、蟻の這い出る隙間もないほど、密接に立ち並んでは、異様な緊迫感を漂わせていたからだ。
孔雀太夫と諱御前に連れられた娜月姫、あとを追う【雷鳴】一味、そして【降魔道士】の面々が、なんとか表に逃れた際、さらなる恐怖が幕を開けた。遼玄が、震撼して叫んだ。
「貴様ら……【抹香宗僧兵団】だな!」
一様、背に己の戒名を綴った直綴僧衣、朱の胴丸、〝三綱五常〟の額当に寡頭、黒玉の数珠を#袈裟掛__けさが__けにし、穂先が二又に分かれた天衝棒を掲げている。そうして片手をかざし、一心に呪禁を唱えている。炎の天幕を包囲する堅牢な二重円陣。直後、長大な楯をかまえる内陣百余名が、一斉にかがみ、影に隠れていた外陣三百余名が、一斉に火矢を放ったのだ。
「ひぃぃいぃぃぃぃいっ!」
「お助けぇぇえぇぇえっ!」
「ぎゃあぁぁあぁぁぁっ!」
真っ先に犠牲となったのは、罪もない観客だった。【降魔十二道士】や【雷鳴】もろとも、陣内に閉じこめられた農夫や町人などが、火矢の猛攻を浴び、バタバタと倒れていく。
「やめてぇ! この者たちは無関係よぉ!」
【抹香宗僧兵団】の、目にあまる乱逆ぶりに、悲鳴を上げた娜月姫。
思わず、危険も顧みず、僧兵団めがけて駆け出そうとする。そんな彼女をかばい、前に出た孔雀太夫、諱御前までが、火矢を受け、くずおれてしまった。一同に激震が走る。
「嫌あぁぁあぁぁぁぁぁあっ!」
「屍神楽道士! 荼吉尼道士!」
さらに、憤然と襲いかかる内陣の天衝棒が、文殊丸、音耶と迦葉、涅槃居士を血祭に上げる。
「やめろぉぉお! 卑怯者どもめぇえ!」
雲嶺火が絶叫した。
ジリジリとせばまる包囲網。
今、彼らが下手に動けば、生き残りの客十数名も、確実に射殺されてしまうのだ。
最早、手も足も出せない。
「もう判ったな、【降魔外道】……下手に逆らえば、貴様らの元に集まっていた者全員を、涜神教の信者と見なし、誅戮するまで!」と、一歩前に進み出たのは、色黒壮年の巨漢僧侶だった。この男が僧兵団長だろう。血赤珊瑚の数珠をたぐりながら、喜悦満面である。
「洸燕坊! 貴様という奴はぁぁあ!」
娜月姫が、怨嗟に満ちた泪声で絶叫した。
直後――、
「危ねぇ! 娜月っ!」
今度は、無数の尖矢が、四方八方から飛来し、娜月姫を守ろうと、楯になった【降魔十二道士】を、容赦なく刺し貫いたのだ。間一髪、焼死覚悟で、再び燃えさかる天幕内部へ飛びこんだ【雷鳴】一味と、彼らに引っ張られた娜月姫だけが、的場にならず済んだ。
彼らは、十二道士と、罪なき観客たちの、断末魔の叫び声を、確かに聞いた。
あまりにも呆気なく、【降魔外道】は殲滅されてしまったのだ。
いや、唯一人、幾本もの尖矢を浴びてなお、雄叫びを発した豪胆な道士がいた。
遼玄である。
「涜神者どもぉぉお! 貴様らを、地獄へ道連れにしてやる! 覚悟ぉぉおぉぉぉおっ!」
血反吐とともに怨言わめき散らし、遼玄は最期の千剣差配を行った。
途端に、千剣操術が発動され、辺りをまばゆい白銀光がおおった。
「遼玄! 嫌ぁぁぁあぁぁぁぁあっ!」
『唵』字榧木箱から噴出した凄まじい光線が、縦横無尽に飛び交い、僧兵団の闘志を殺ぐ。
「ぎゃあっ!」
「うぐ……!」
「ぐはぁっ!」
巨体の僧兵の手足を、胴を、首を斬り刻み、刺し貫き、薙ぎ払い、千剣が猛威をふるう。
「娜月さまっ……早く、早く逃げてください! お前たち、姫君を、頼んだぞぉぉおっ!」
直後、一斉に襲いかかった僧兵団が、無数の天衝棒を繰り出した。
今度は遼玄の体躯を、容赦なく串刺しにする。
それでも、歯を食いしばって堪える遼玄は、なにを思ったか突然、千剣を【雷鳴】に向けて飛散させた。燃えさかる天幕と、舞台装置の隙間に、身を隠していた娜月姫と盗賊五人は、震撼した。いや、彼らを狙ったわけではない。丁度、彼らの上に倒れて来た、天幕や支柱の火勢を、瞬時に斬り払ってくれたのだ。
さらに千剣は、驚くべき功力を魅せる。幾重にもつらなり、折りかさなり、複雑に組み合わさった刀剣が、見る見る内に、巨大な〝鳳凰像〟を形造ったのだ。それは、さしもの抹香宗僧兵団でさえ、虚を突かれ、愕然と目を瞠るほど、煌々しく、神々しい光景だった。
「なんだっ……あれは!?」
「ほ、鳳凰だっ! まさか……!」
「遼玄っ……貴様ぁぁあっ!」
僧兵団長《洸燕坊》……聖戒王家『聖貴族』の血を引く彼は、容貌魁偉だが、抹香宗数多の団員の中でも、珍しく『唵字掌』を持つ者として、皆から一目置かれていた。そんな洸燕坊は、己の足元で、なおも不可解な呪禁を唱え続ける遼玄を、憎々しげに睨みつけた。
天衝棒を大きく振りかざし、止めの一撃を加えようとする。
聖なる右掌に、背信的な力がこもる。
「もうやめてぇぇぇえっ! 遼玄っ!」
娜月姫の悲痛な泪声に、遼玄は幽かな微笑みを浮かべた……ようだ。
直後――見事に千剣で仕上げられた鳳凰は、凄まじい軋音を立てて翼を広げた。
火の粉まじりの熱風が渦を巻き、たちまち周囲の僧兵を吹き飛ばす。
遠くで見守る野次馬も、あまりの驚愕に絶句したままだ。
彼らには、千剣操術の秘める凄絶な功力など、一向に判らない。単に只今、目前で起こっている事象が、炎の中から誕生するという『鳳凰伝説』の顕現そのものに見えたのだ。
最早、敵味方の別なく皆が皆、神秘的な千剣鳳凰誕生の光景に、見入っていた。
「娜月さま! どうか、ご無事で! いずれ、来世で逢いましょう……おさらばっ!」
遼玄が最期の呪禁を叫び終わった途端、千剣仕立ての鳳凰は、娜月姫と盗賊【雷鳴】を、かっさらうように背中へ乗せ、大空へ羽ばたいた。凄まじい羽風……いや、刃風が、周囲の敵方を一瞬で斬り刻む。血風が吹き荒れ、野次馬連中から、またもどよめきが起こった。
「遼玄っ!」
だが娜月姫が懸命に伸ばした手は、到頭【降魔教道士】にも、遼玄にも届かなかった。
白銀に輝く巨大な鳳凰は、奇声の如き軋音とともに、はるか天空の彼方へ飛び去った。
しこうして、同朋を過半数まで減らされた『剣聖連』は、すっかり戦意消失。
かなりの痛手をこうむった兵法者集団の首領は、鳳凰剣伎の凄絶さに倉皇した挙句、此度の件からの撤退を決意した。手傷を負った仲間を介抱しつつ早速、帰還準備にかかる。
その一方で【抹香宗僧兵団】も、盗賊五人と〝鬼憑き罪人〟を乗せた鳳凰、そして落胆いちじるしく敗走する『剣聖連』の後ろ姿を、ただ呆然と見送ることしかできなかった。
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