ネッ友たちの話を小説化したやつ

ずるい。

どーも。はじめましての人は初めまして。
そうじゃない人もいるんすかね？ども、俺っす。

突然なんすけど、俺って姉ちゃんがいるんすよね。
しかも優秀な姉ちゃんが。

とーぜん嫉妬してましたよ？
小四くらいは比べられることに一々憤慨してたんすけど、小五くらいになって悟ったんすよね。

もう怒るだけ無駄だって。

まぁ姉ちゃんは自分より出来の悪い弟を馬鹿にしたりしなかったんで、姉弟仲は良かったんすけど。

ただ、まぁ、姉は如何せん顔が良くて、遺伝なのか俺も顔が良かったんすよ。
だからかストーカーとか普通につくし。

マジでウザかった。

そんで、そん中で一際ヤベェやつの話になるんすけど、そのストーカー成人済みだったんすよね。

成人済みで、未だ親のスネをかじり続けてるって近所で噂されてる人。いわゆるニートって奴っす。

その男が俺の事を好きになったみたいで告白してきたんすよ。

「俺が幸せにするから俺と付き合って！」

もう欲望丸出し！！！！
だってそいつが見てるの俺の顔じゃなくて体だったんすよ？！？！
マジできしょい！！！！

そんな奴と付き合うわけなく無理だとお断りしたんすけど、そっからがストーカーの始まり。

例えば学校帰りにいつもの道にカメラ構えて立ってたり、コートの下に何も来てない状態で俺に████を見せつけてきたり。

で、とある日に事件が起きたんすよね。

その男が家に刃物をもって押しかけて来やがりまして。
来た理由としては俺が姉ちゃんと一緒に歩いてるのを見て彼女が出来たと勘違いしたみたいなんすよ。

いやまぁそれでもキモいんすけど。

「なんで彼女なんているの？！俺の事裏切るの？！なんで？！」

って。家に来やがったんすよ。

そんで俺に向かって刃物を振りかぶるストーカー。

幸いにも、俺には怪我はなかったっす。

ただ、姉ちゃんが、代わりに刺されたんすよ。
俺の事突き飛ばして、代わりに。

こんな俺みたいなやつを庇うなんて、心底馬鹿らしいと思うっすね。

結局その男は逮捕。実刑判決が下されて姉ちゃんは入院。して、一命を取り留めたっす。

でも、俺にとってはなんで自分みたいなクズを庇ったのか分かんなくて、ずーっと泣いてたんすよ。

そんで起きた姉ちゃんの一言。

「はは、なーに泣いとんの僕の可愛い弟くん！！ほら笑って笑って！！お前に泣き顔は似合わんからさ！！」

って、快活に笑いながら言うんすよ？

ほんと、ずるいと思いますよ。
俺はこんなに思い詰めてたのに、姉ちゃんはそんなの杞憂かと言うかのように笑い飛ばす。

姉ちゃんは、ずるい。

俺より何もかも上のくせに、俺の事を見下したりなんてしない。

天性の才を与えられておいて、自分のことだって卑下する。

その才能が、俺にとって喉から手が出る程に欲しいものなのに、姉ちゃんはなんて事ないものかのように扱う。

だからこそ、ずるかった。

嫉妬と言えば嫉妬で片付けられるんすけど、こう、なんというか、しっくり来なかったんすよ。
嫉妬というより、羨望と言った方がしっくり来るっすね。


もう、ほんとに、姉ちゃんはずるい。

俺に泣く資格なんて無いって、俺が勝手に傷つく資格なんてないって、ずっと自分を責めてたのに、姉ちゃんはそれも全て笑い飛ばす。

自分は怪我をしたのに、俺に無事でよかったと笑いかける。

そんなあなたのすべてがずるい。

姉ちゃん、俺はあんたにずっと嫉妬してます。
いつかあんたに追いついてやります。