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17章 魔法少女と四国大戦

547話 魔法少女は突然の邂逅

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 ディティーが一時自軍に引き返したことにより、私はようやく一休みすることができた。
 注ぎ足したコーヒーに息を吹きかけつつ、四神も拾肆彗も騎士団も皆ぼちぼち割り振られた部屋に戻って行く。

 四神はそもそも家にいるのかすら怪しい。

「アーレも今日はお疲れ。ありがと。」
「ソラさんが頑張れるんだったら、いくらでも頑張るよ。」
「やっぱりキャラ変わった?」
「元からこんな感じだよ。」
なんか、きゅるきゅるしてる目で私を見てくる。歳の離れた妹ができた感じ。

 えげつなく猫を被ってるようにしか見えないけど、とりあえず……したいことをしてるんだし、まぁ?自由を奪われてたらしいし……

 そろそろアーレを寝床に案内してあげようか、と考えていた時。

「ソラさん。」
「うぉ、ど………じゃなくてオリーヴさん……」
一瞬ドMとか言いかけて、訂正した。流石にドMドM言い続けるのは可哀想だ。

「えっと、なに?」
「なにやら、貴方に会いたいとおっしゃる方がおりまして……」
「軍の中で?」
「いえ……それが、少し特殊でして……」
煮え切らない態度。「とりあえず会ってみるから」というと、オリーヴさんは「ご迷惑をおかけします」と呟いた。

 別に、オリーヴさんのせいじゃないのにね。

—————————

「2人で、未来を捨てに行く旅をしましょう。」
「え?」
唐突に、そんなことを言われて手を差し伸べられ、魔法少女は困惑する。

 オリーヴ曰く、彼女は王城に匿われている転生者らしいということを知った。魔法少女とはケースの違う転生者。名前はラビア。

 話してみると、良家の令嬢の裏に一般人を感じた。それと、思ったことを即行動に移すアグレッシブタイプだ。
 死因も、だいたいそんな感じだろうと予測する。

 そんな彼女の能力は、未来予知。ステータスを見せてもらうと、助けに来たという割には助けにならない強さだ。
 けど、ある一点を除いては……

 変革の予兆を感じ、未来の魔法少女の感情が疼く。

「ええ、認めましょう。貴方が仰ったとおりに、私のスキルは未来を見てくるというただ一点。干渉もできず、見たところでどうにもならないことが多い。けれど……」
「私ってさ、特別らしいのよ。」
「……はい?」
ラビアが聞き返す。突然謎のことを言われる困惑を分け与えてあげたのだ。

「私のこと見てるんだったらもう分かると思うけど、私は一応理に干渉できる。ラビアさんはそれを使って、私に直接未来を見せて対応しようと思っている。違う?」
「いえ……だいたいその解釈で間違いないかと。」
「そ、こ、で。私はどうやら変革者ってやつらしいの。はいスキル。」
向こうが見せてくれたため、等価交換だ。自分の権限でステータスを見せる。ステータス画面共有のスキルが役に立つ。


『称号』
 世界を変える者神殺し

 名前 美水 空
 
 年齢 17歳

 職業 魔法少女&精霊術師

 レベル 306

 攻撃9150+1 防御9110+1 素早さ9210+1

 魔法力11620+2 魔力12550+2(+神影)

 原素 1500(固定)

 装備 魔法少女服 魔法少女ステッキ
 精霊服 異世界式自動拳銃(ラノス)

 魔法 アクアソーサーⅩ 魔導書Ⅵ(-8) 
神速Ⅹ×1&Ⅲ ファイボルトⅩ+1
 万属剣Ⅹ+1 投擲Ⅷ+1 鑑定眼Ⅷ+1
食材生成Ⅴ+1 魔導法Ⅹ+1  トールⅩ
 物質変化Ⅷ+1 アースアイスⅩ 
エアリスリップⅩ 魔力喰らいⅩ+1
 混合弾Ⅹ 暗黒弓Ⅹ 流星光槍Ⅹ
各種地龍魔法Ⅴ×3&Ⅹ 一級建築魔法Ⅲ
 農業者Ⅱ 気配察知Ⅹ 記憶念写 裁縫者Ⅰ
アイスシールド サンダーサークルⅩ
 ファイアサークルⅩ アクアサークルⅩ
ウィンドサークルⅩ 脈探知Ⅹ 金属加工Ⅷ 
 重力操作Ⅹ(+圧力操作 重力変換 重力世界)
補正操作Ⅹ 強行理論Ⅹ 核創造Ⅹ 
 空間操作Ⅹ

 スキル 魔法生成 魔力超化 魔力付与
 万能感知 魔法記憶 詠唱破棄 覚醒
  魔法分解 振れ幅調整 身体激化
 水竜之加護 調教 基本能力上昇
  人神魔力 運命 能力値上昇
 地龍之加護 各種地龍能力
  ステータス画面共有 奴隷能力補正
 奴隷成長共有 友好 叛逆境 空力
  思考分離 重力魔法 龍神之御業 適応
 原素吸収自動化 霊神之祈 神霊召喚 
  血盟強化 再生創々 憤怒の杖 龍の威
 改革と変革の天転 縮光 陰縮地 陰像
  忍耐 空間魔法 統一神化 魔撃の王

  SP   13020


「とんでもないステータスをお持ちですね……」
「そりゃあどうも。じゃなくてここ。」
増えたスキルも気になるが、言うことを言ってから。

 改革と変革の天転。彼女の前では全てが変革される可能性があって、それは無論スキルにも有効ということ。

「これで、直接スキルを変えてみない?」
「え……と、それはどのような……」
「比喩じゃなく、本当に捨てるんだよ。未来を。」
困惑する瞳を狙い撃ち、そう一言。

 私が歩む未来を捨てて、歩みたい未来を選択する。そういう使い方があってもいいじゃないかと思ったのだ。

「でもま、今日はとりあえず休もうか。案内するよ。」
「できれば人の少ないところでお願いしたいですね。」
2人の背中は次第に遠くなり、魔神の門に向かって進んでいった。

 一方で残されたアーレは、不貞寝していた。

—————————

 ハローエブリワン。いやグッドモーニングか。

 本日朝。ルルサールにラビアさんを届け、1、2時間しか寝ていない私はテンション高めにお届けする。

 次、いつ帝国軍が攻めてくるかなんて分からない。だから、各村で交代して偵察をしている。
 できるだけ、国境を越えないように。

 私の本日の仕事といえば、総死者数の確認、重傷軽傷者数の把握、失った武器の補填、次の作戦や対応。それとラビアさんとのアレ。

 この中で1番大事なのはラビアさんとの話だけど、他のもしないと今度は信頼の面が薄くなる。
 ただでさえ、王国に不信感を抱いてしまっている騎士がいるのだ。

「今日は寝れるといいな……」
淡い期待を持ちつつ、朝ごはんを摂ることもせずに家から出る。

「お疲れだね、キミも。」
「……魔神は随分元気そうじゃん。」
カラッとしており、何かを持った片手を挙げて挨拶をしている。仕方なく返す。

「キミのために、昨日の戦場の視察に行って戦死者纏めてきた。」
よく見ると、何かは紙だった。紙束だ。

「一部人員の欠損の多い村もある。そこには、余ってるところから補填してやったほうがいい。ボクから言えるのはこのくらいだ。」
「気遣いありがと。魔神も、ちゃんと休んでね。」
「神に何言ってんだ、キミ。」
「本物の神じゃないでしょ、魔神。」
もう一度感謝を告げ、紙束を受け取る。これと、帝国とは離れた村で隔離している人達を合わせて……

 1回私が行く方がいいね。

 色々ありすぎててんやわんやだ。頭もぼーっとしてなかなか働かない。あんな夜遅くにコーヒーなんて飲んだせいで、眠りが浅かった。

 一度イグルを出ようと門へ足を向けた時、声をかけられた。

「おはよう御座います、空。」
「あ……と、ラビアね。」
「わたしもいるよ!」
ラビアの紅銀髪の隙間から、ぴょこりと飛び出す。

「空の居場所を尋ねられましたが、よろしかったのでしょうか?」
「ありがとうラビア。この子はアーレ。皇帝と同じ能力を持ってるすごい子。」
「わたしすごい子なの。」
「随分とその、可愛らしいようね。」
確かに可愛い。アーレの頭をもふもふする。かつての、超絶クール(機械系)のアーレも良かったが、このアーレは接しやすくて可愛い。

「ラビアは何の用?まだ、アレはしないよね?」
「アレって?」
「帝国に確実に勝ち、その後の備えをするための変革をね。そう何度も使えそうもないけど。」
ラビアに向き直る。ラビアは微笑ましそうに笑い、「少し村を見回ろうかと」と答えた。

「なら私と来る?」
「いいのかしら?」
「別に、いいでしょ。何も知らない相手を守るより、守る相手を知ってた方がいいし。」
着いてきて、と少し淡白に伝え、2人を率いてイグルを出た。

———————————————————————

 戦争パートから手を入れているという話ですが、投稿用の話に手いっぱいでまだできていません……申し訳ないです。
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