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16章 魔法少女と四神集結

517話 魔法少女は飛び火する

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 1戦目は、無事に帝龍リュウムが勝利を収めた。勝因は、やはり龍法陣の罠だ。滞空戦にて、空中にいくつもの罠を張り、爆撃により敵を鎮圧した。

 そして、2回戦のゴングが鳴る。

 王龍と法龍。ステータス的には前者。

「神龍の座は私が座るべきだ。龍神様に仕えるべき私が、何故お前如きと……」
「面白い冗談を言う。つまらない。」
2秒で矛盾を生み出し、突如として手に握られた槍をクルクルと華麗に回す。

「狩られるのは誰かを、教えてあげる。」
「せいぜい、叩き潰されないようにな。」
初めに動いたのは法龍。翼を展開し、高く空を飛ぶ。王龍は静観の構えだ。空を飛ぶ彼女は、前傾姿勢となり足裏に龍法陣を置いた。

 それ、そんな使い方あるんだ。

 素直に感心した。法龍は、それを使って加速した。

「ぶーすと!」
「効かん。」
左腕を前に伸ばし、巧緻で精密な龍法陣を展開した。法龍は、薄く笑みを貼り付けた。

「な、カハッ…………」
胸に、ひと刺し。あっけなく、ひと刺し。その場で膝をつき、血を吐いた。

「やりおった……薄々感じてはおったが、奴は才能がある。」
「今、何が起こったの?」
解説のルーアさん、よろしくお願いします。そう言って手で差した。

「先程は実況と言っておっただろうに……まぁよい。防がれる寸前、槍先に龍法陣を敷いたのが見えたかの?」
「うん。ぶーすと、だっけ?」
「うむ。ちなみに、王龍が展開したのは強力な防御陣。ブーストは爆風を伴う初歩的な龍法陣。」
「龍って爆発系好きだね……」
そこまで言われて、私は違和感に気づいた。ステータスの下回る法龍が、何故その強力な防御を砕けたのか。

「ルーア様、そこからは自分が。」
「……そうか、我が語りすぎるのも悪いな。」
結界から出てきた法龍が、代わりに説明をしだす。

「ブーストはブラフ。本当は、対防御陣用の、妨害陣。当然、何事にも警戒すと考えるニニウルは、初歩的な攻撃にも攻撃用の陣を展開した。そのまま、ずどん。」
人神に治療されている王龍を指差して、「バカが証明された。ぷーくすくす」と口元を抑える。

「卑怯な手を使うなど、龍の風上にも置けないな……まぁ、お前みたいなのには一勝くらい、与えてやるべきだな。」
「それはどーも、ありがとーございました。」
謝意の1ミリも感じさせない言葉に、王龍は苛立ちを隠せぬように睨みつけ、消えていく彼女の代わりに私が睨まれる。こんなこと企画しやがって、って顔だ。

「私に怒りの矛先向いてない?」
「甘んじて受け入れるしかないんじゃないのぉ?」
2回戦からして、不穏な雰囲気が漂い始めた。

 私悪くないよ?この4人が馬鹿みたいなことで私の邪魔するから、仕方なくしてるだけで。

 そろそろなんか事件起きそうだな、とテンプレ的展開を予想していたが、そうはならなかった。4回戦目まで、無事に終わっていた。もう終わっちゃうけど、なにもないよ?って感じ。

 ちなみに3回戦は帝龍対法龍で帝龍の勝利。これは完全な実力不足。
 4回戦は業龍対王龍で、これは王龍が勝った。業龍2連敗。可哀想に。

 つまり次は5回戦。

 帝龍対王龍。

 王龍さん、なかなかにヘイトが溜まっていらっしゃる様子。帝龍と何かあったのかな?

「奴らは実力も拮抗しておる。ライバルのような存在にもなってしまっておる故。」
「心読まないでもらって。」
なんてことを言っていると、もう空に飛んでいた両者。激しい魔法合戦が繰り広げられる。

「ねぇ、そろそろ飽きてきたんだけど。」
「発案者の主がそれを言うのはどうかと思うぞ。」
「飽きたものは飽きたし。展開も、もうテンプレで飽きてきた。」
「テンプレはテンプレで楽しめばよかろう。」
仕方なく、私は観覧をする。

 まぁ確かに、ラノベとか売れるのはどれだけ独創的かもそうだけど、どれだけテンプレを上手く描けるか、っていうのが肝……ってこれなんの話?

 いちいち描写するのも面倒な細かい魔法が飛び、龍法陣は集合体恐怖症が鳥肌を立てそうな程浮かび上がり、大量の爆風と爆音が鳴り響く。結界なかったら終わってた。

「封殺陣!」
王龍は渾身の一撃を放つ。幾重にも重なった龍法陣が全身に纏わりつき、身動きが取れなくなる。

「解説、どうぞ。」
「あれは自身の魔法制御が不可能になる代わり、相手の身動きを完全に封じるという捨て身の一手である。自分も攻撃できなくなるというのに、何のつもりなのかの……」
「それを考えるのもルーアの仕事でしょ。」
これはどういう展開になるか読めなくなってきた。しかし、それは容易に覆された。

「隔爆。」
封印の中にいるはずの帝龍は、龍法陣を生み出し連鎖爆発を起こして舞台上を包み込んだ。人神の目のお陰で、煙の中は見える。

 こうなるか……すごい逆転劇を見た感じ。

 王龍は膝から崩れ落ち、帝龍はその場で髪をかきあげた。

 帝龍の勝利。現状、3対1対0対1。何をどうしようと帝龍の勝ちになる。

「人神と霊神は治療よろしく。」
「神使いが荒いな。」
文句を言いながら、しっかり仕事をしてくれる。 

「…………ありえない。」
「なんだって?」
人神に治療されながら、何かを呟いている。距離的によく聞き取れなかった。

「で、今のはどういうこと?」
「余計な手の内は晒したくない。ワタシが説明しよう。」
「では、頼む。」
霊神に軽い治療を受けた後、こっち歩み寄ってくる。傷は浅いので、そこまで時間はかからなかった。

「ニニウルは計算高いようで詰めが甘い。ジリ貧を察し、ワタシの動きを封じて物理で倒そうという腹づもりだったろうが、お見通しだった。そこで、事前に透明な遠隔操作型の陣を張り巡らせ、ワタシが封印に護られているうちに爆殺するという簡単な話だ。」
「う、うん……」
なかなかの長文説明に、頭を回しながら頷く。

『簡単に言うと、封印される事を読んで遠隔操作できるようにしたってこと』
『最後にまとめてくれたのにねー』
私は相変わらず私に厳しい。

「おい、ちょっと待て!」
唐突に、人神が叫ぶ。

「今度は何……?」
振り返る。と、そこには据わった目で私を見つめる王龍。

「私が神龍の座に着くべきだ!そうであろう、そうに決まっている!お前らもそうは思わないか!こんなふざけた決定は即刻中止すべきだ!……………そうだ、こいつを殺したやつが神龍となるというのはどうだ?」
「はははっ、吾輩ものってやろう。」
龍2人が翼を開き、こちらへ急発進。

 ものすごい飛び火してるんだけど、私悪くないよね?なんで!?

「あいつらは馬鹿だから仕方ない。」
「ワタシでは止められそうにないな。」
「関わりたくないだけでしょ!ねぇ!?なんとか言ってよぉ!?」
くそっ!と何もない空気を叩き、それでもやってくる龍2人火の粉を見て渋々決心を固める。

 ……身にかかった火の粉は振り払わないとね。

———————————————————————

 皆様、お気づきでしょうか。
 この作品、500話以上やっていてサービスシーンがひとつもないんです。
 ないんですよ!?おかしくないですか!?
 異世界ものといえば、水着を知らない異世界の美少女たちが薄い肌面積、下着同然のその格好に恥じらいながら仕方なく主人公の言う通りに着用し、海辺水辺でキャッキャウフフ、それに反して普通の服を着る主人公に水をかけて肌が透けて見えてしまい、反撃に水を掛け合う。
 もしくは、温泉や浴場を作り、肌色多めの空間を作り出し湯気で体を上気させる…………こういう、こういうえっちなシーンがあっても、いいじゃないでしょうか!!!!

 こほん。熱くなりすぎました。
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