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16章 魔法少女と四神集結
498話 魔法少女と幾重の罠
しおりを挟む厳重、という言葉を検索して、まず初めに出てくる画像はこれだなと直感的に感じてしまった。
それがここ、魔神の城。
具体的にどのくらいヤバいかというと……
「暗黒弓。」
針のような何かが何十と飛んでくる。歩きながら、その全てを暗闇で有耶無耶にする。と、またギギギと音が鳴り三包囲レーザーが飛んでくる。
ちなみにこの建物、アホみたいに頑丈で壊れないし修復するとかいう機能付き。ものすごい厳重な罠だね。
じゃない!なんで数歩歩くたびに罠が作動するの?何?籠城作戦でもしたいの?誰かに追われてる?
不満は全てここにはいない魔神になすりつける。人神すらもはや呆れて苦笑を浮かべている。
「どんなつもりでこんな城作ったのか、余も純粋にに疑問を感じるよ。」
「着いたら文句言おうかな。」
「ヴァルに何言っても無駄だと思うよ。余よりも怠惰を尽くしたような男だから。」
「男なんだ。」
胸の大きな妖艶タイプの線は無くなった。いやなんの話だこれ。
「いちいち対応するのが面倒だからと、適当に罠を仕掛けて自室にこもってネトゲをしている。今頃イベントが、とかなんとか言ってる頃だ。」
「魔神がゲーム好きとか何その嫌な世界。」
なんかゾッとしてしまう。
でもなんか共感できそうなのがまた……
確かに周回中とかに来客あったらムカつくし。(主観100%)
「さて、この地獄をどう抜けて上に行こう———」
なんか、フワッとしてる。
「???????????」
「落ちてる!落ちてるぞソラぁ!」
人神の叫びでようやく現状を把握した。喋ってる最中にまた罠を踏み、落下しているようだった。
落下?床が抜けた?
『体重で?』
なわけあるか。ないよね?
これだよ、こんな罠が腐るほどある。頭おかしいよ魔神。
この状況を甘んじて受け入れると、次に目に映る情報を待つ。魔法少女の力で、落下死はないと思う。多分。
と、思っていたら案外簡単に着くようで、真下に明かりが見えた。
落下の衝撃に備え、足に魔力を集める。衝撃緩和のためだ。
3数えるくらいで着地した。足がちょっと痺れるくらいの衝撃を感じ、なんとか着地成功を実感。体操の選手みたいに、右腕をあげてみたり。
と同時に殺気を感じた。
モンスター部屋ってやつか……
「全部倒して……これほんとに倒せる数?上限なしとか言われたら死ぬよ?デスオアダイだけど大丈夫?」
自問自答、ですらない謎の呟きは無機質な地下室のような壁に吸収されて消え去る。
「ここまで来たんならもう引けないし……帝国を潰すにも必要なこと。…………ならえ!」
ステッキから、3本またステッキが出てくる。スペアだ。そこから、魔力の波が流れて私を覆うと、剣が生まれる。
万属剣。オールレンジ!
剣先は全て外側へ。薄い光の中ノロノロ現れた魔物達を捕捉すると、右手のステッキを振り下ろす。
「てー!」
命令すると、まるで生物のように各自が均等に飛んでいき、軌道調節をしながら飛んでいく。我ながら怖い。
詠唱、魔力を込める必要すらない。元からセットしていた魔法式を魔導法に繋げて流せば勝手に形作られる。
今更ながら魔法式について説明しよう。
この世界の魔法式は、魔法の詠唱によって練られていく魔力の形。それが魔法式。
魔力を決まったように練ると魔法が生まれ、その形を先に作っておいてステッキに収納、あとは時が来た時に出せば?
このように、大量の剣がぶっ飛んでいく。
暇な時にコツコツ貯めてきた約1000本の剣の雨。とくと味わうといい。
「刻まれろ!属性剣に劣るものなんてない!」
このように調子に乗る可能性も極めて高い。高笑いをし、魔物を切り倒していく。
ここの魔物、なんか生物って感じしないんだよね。
こっちを向けば、ぬいぐるみのようなつぎはぎが綿を散らせた。あっちを向けば、竜巻のような何かの核が破れる。上を見れば、からかさお化け的なやつが空をトントン。
「あれ?これ、空中歩行で上行けば戻れるんじゃ?」
思考が停止する。されど万属剣は止まらない。
『今どういう状態?』
『えっとねー、自分のバカさと罠に翻弄しれてるのとの色々で、すっごいムカついてる!』
『笑顔で言うことじゃないよD』
私は静かに万属剣の猛攻を止めた。ステッキは収納され、バチバチと私の周囲に稲妻がかける。
「トぉぉぉぉぉぉル!」
雷なんて通らないはずの床や壁に電気が伝い、部屋全体が発光する。魔物達は全て痺れ、その隙に空中を踏む。
モンスター部屋とか迷宮のトラップじゃないんだから。いや、魔神ってゲーマーだし日本のそれに通じとそうだな……これだからオタクは。
『ブーメラン』
何か聞こえた気がする。小鳥の囀りだろうか。
『ものすごい知らんぷりするじゃん』
また何か聞こえてきた。きっと時鳥か何かだ。
「……ただいま。」
「なんか不機嫌だね。」
「助けてくれてもよかったんじゃない。」
「それだと意味がないからね。最低限のサポートをするのが役目……そもそも、余はついてきているだけでは?」
「チッ。」
私は空いた穴を土魔法で塞ぎ、その先の道を進もうとして……気づいた。土の板一枚挟めばいけるのでは?と。
「やめといた方がいいよ。」
「え?」
人神がため息を吐いて言った。
「あいつ、魔法を感知して発動するタイプの罠も張ってるから。」
「何その悪趣味なやつ。」
「そこらじゅうで罠が起動する羽目になるから、魔法の使用は控えるといい。」
そんなこと言われちゃ魔法なんて使えない。渋々、罠にかかりながら徒歩で行く。
統一性のない適当な罠がそこら辺に落ちてて、しかも見た目に反して威力は桁違い。
人間入ったら1秒で死ぬ。いや入る前に死ぬねこれ。
と、氷結魔法的なか何かが降り注ぐ中で危険度を感じ取る。
「とうとう慣れてきちゃったよ。」
ファイボルト片手に言った。
「ヴァルには逆効果だって言っておこう。」
私が慣れきっている姿を見ながら、後ろを着いてくる。
「もっとサクサク進むもんだと思ってたのに、まだ10メートルも行ってないんじゃない?こんな巨大な城、1日で踏破とか不可能でしょ。」
「大丈夫大丈夫きっとなんとかなるさ。」
「奇跡を起こす立場の神が何言ってんの。」
ちょっと足が痛くなってきた。魔法少女服のダメージカットでそうそう痛みを感じることはないけど、蓄積された疲労は取れない。
ここにいるのは魔法を制限された魔法少女と助言以外何もしない神。
そしてここは神の作った悪魔のような罠の城。これいかに。
もう、帰りたいな。
—————————
魔神は相変わらずネトゲに勤しんでいた。
城の最上階。未到の地。そして魔神の安息の地。
ここには魔神のありとあらゆる娯楽が詰め合わさっている。ゲームゲームゲームゲーム。どこもかしこもゲーム。あまり使わないがゲーミングチェアも作ってある。よく見る何画面もあるパソコンや、ヘッドフォン並びに機材各種取り揃えてある。
魔力が電気の代わりになるため、いくらでも遊べる。タダだ。
寝そべってやっていると体が痛くなるため、最近は日本で人気の人をダメにするソファというやつやクッションを勢ぞろいさせている。ベッドが役に立たなくなったのは言うまでもない。
その部屋の端に、この城全体を確認できるモニターが設置されている。そこには、ふたつの赤い印。
全く気づいていないが。
そもそもここに侵入してこれたに生物自体今のところ神以外ゼロだ。
そんなこんなで、何も知らない魔神は1人ゲームに興じていた。
「お、レアドロキタ!」
そのまま鍛冶屋(ゲーム内)に直行し、レアドロ素材で武器を作り(ゲーム内)、鍛えてから能力付与のスロットを回しまくった末に出来上がった強武器をセット(ゲーム内)するのだった。
魔神は、満足そうに頷いた。
———————————————————————
魔神のやっているゲームですが、多岐に渡ります。ネトゲやソロプレイのゲーム(ゼル○、ポケ○ン的なやつ)から、ソシャゲやらなんやらまで。
魔神の超人的な能力で音ゲーはヌルゲーに変わってしまいます。
ゲーセンのゲームもいつか作りたいとかなんとか。
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