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14章 魔法少女と農業の街

441話 魔法少女は街へ行く

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 縄に繋いだ3人をドナドナすること約2時間。無理矢理引っ張った甲斐あって、ようやく遠目にドリスが見えてきた。

「あーる晴れた~昼下がり~ドリスへ続く道~少女がトコトコ魯鈍を引いてく~♪」
「アレンジやめい。」
ほんとにドナドナを歌い始めた百合乃の肩を叩くと、なんか「えへっ」てな感じの顔で惚けた。

 何この子うざいんだけど。百合乃はほんとに市場へ続く道に荷馬車で運んでやろうかな。

 ドナドナのネタをいまだに引きずり、そんなことを思った。

『そもそもこのネタ知ってる人間私達転生者サイドしかいないでしょ』
『魯鈍もまさか自分が仔牛側に回るなんて夢にも思わなかっただろうね』
なんてくすくす笑う。そもそも異世界自体が思いもしない出来事なのにドナドナくらいで今更だ。

「ふざけてないで行きましょう。日が暮れたら危険ですので。お荷物もいることですし。」
「さすがクミル、容赦がない。そこに痺れる憧れる。」
「どこで覚えてきたのそんな言葉……」
ぐりんと首を回し、百合乃を見る。オタクには見える矢印で、「私がやりました」と書いてある。

「冤罪ですよ~冤罪!」
「はいはーい、犯人はみんなそう言うんだよ。」
頭に2割の力でチョップをぶち込む。ちなみに今のステータスで言うと、1600以上だ。地味に痛い。

「クミル、もう諦めよう。」
「ツララさんが1番まともな気がしてきました。」
諦念のこもった瞳が向けられたきがするけど、多分気のせいだ。けどやっぱ歩は速めようかとスピードを上げた。

 人の言うことを聞くのは大事だからね!うん!決して一家の大黒柱が最年少のツララに立場が負けるなんていう些細……ではないけど小さいことが気になってした行動じゃないからね!?
 勘違いしないで!

『最近の視聴者は過度なツンデレ嫌いだからなぁ』
『それよりクーデレの時代でしょ今は!クーデレの良さなら夜通し語らえ』
『人の頭で何やってんの。うるさい』
大ブーメランが頭に刺さっていることを知ってか知らずかそんなことを言う。私はこういうところがある。

「早く歩いてよ~!アタシお腹空いたー。ドリスでご飯食べたい~っ、あったかいご飯食べたい~!」
「同感。昼ごはんあれだけ……誠に遺憾。」
「いやだからさぁ……もういいや。」
頭の中にある男性が浮かび、いやいやと記憶の吹き出しを分散させる。

 正直、レリアっての子のほうが苦手かなって思ってたけど別の意味でイズナのほうが怖い。

 どうなってんのと視線を魯鈍に向けるも、無視される。それはそれでうざい。

「文句言わないでくださいよ。皆さん捕まってる身なんですよ?殺されてないだけマシですって!」
「すっごいポジティブ。アタシそこまで切羽詰まってないから……」
「ワタシは巨乳が嫌い。つまりそういうこと。」
「空ぁ~……この人たちがいじめてきますぅ……」
「ま、ファイト。」
百合乃を捕虜対応大臣に任命。つまり彼らへの対応は百合乃に丸投げだと言うこと。「そんなぁ」という絶叫が轟いた。

 ここは犠牲になってもらおう。百合乃は尊い犠牲だったよ。

 百合乃を背後に、手を合わせて祈りを開始する。ご冥福をお祈りしよう。

「生きてますよぉ!?」
心の声を読んだのか縋り付くような叫び声で飛んでくる。なんでも、口撃(暇だから)が地味に心に来るらしい。

 どんな罵倒かって聞いたら、それは秘密とのこと。どうせ私絡みなんだろうなと直感で気づくよね。
 ちなみに、これは驕ってるとかじゃなくて単なる事実。今までの対応見てきてこれで気づかない人間がいたら多分心がない。

「主、魔物。」
「確かにいるね、後ろに魯鈍とかいう悪魔に魂売ってそうな人が。」
「違う。本物の魔物。」
「へ?」
頓狂な声をあげ、万能感知を働かせてみる。あっきらかに、さっき見たようなちゃちな魔物ではなかった。なんかこう、すんごい、すんごい……

 オーラが出てる!雰囲気じゃなくて目に見える、目に見えちゃってるダークマターがエンドレスサイクロン!何言ってるか分からない!

『おーい落ち着こうよー』
えいえいとなんとか沈めようと試みる私達。片隅で眼帯が蠢いてるのが絶妙に邪魔だ。

「プレッシャーがある。クミル、動けない。」
視線を正面にいるクミルさんに向けると、確かに震えて止まってるように見える。

「クミルさん、安心して。クミルさんは頼んだよ、ツララ。私はあのでかいのをやる。」
ゆっくり足音が近づいてくる。最近やたらと強い魔物が増えてきてるらしいけど、ここまでは異常だ。

「あれが本物のアスラデウスだ。俺たちの獲物だぞ、奪うな!」
「そうも言ってられないでしょ!そもそもさっきのはなんだったの?アスラデウスじゃなかったの?」
「幼体だ。ようやく手がかりを見つけたところでお前たちが来たんだ……」
「じゃあ……あれ親?」
クミルさんにはツララ、魯鈍には迷ったけど百合乃をつかせて私はあの化け物を相手することにした。

 えっとー?魔法が使えて身体能力も高いと。勘が働いて、攻撃も当たりにくいと。へぇ。私じゃん。

『自信過剰。私に勘なんてない』
そんな言葉を聞き流し、ラノスを構えた。腰にはステッキを挿し、しっかり魔法を使えるようにしておく。

「魔法対決といこうかな。」
現れた魔物に対し、そう言い放った。デカいけど、なんか骨ばった感じの四足獣って感じだ。なぜか目だけは光ってるけど。

「叫ばない魔物ってなんか久しぶり……」
目の前にいる化け物にそんな感想を抱きつつ、数歩下がって様子を見る。すると、口から炎が湧き出して……

「火炎放射?どこからそんな炎!?」
魔力喰らいを発動し、消滅させた。ものすごい熱風を紫紺の渦が巻き取った。こんなん直撃したら死一択だ。

 ひぃ……怖い怖い。魔法使いとか言ってたけど、こんなの火を吐く骨トカゲだよ。
 それもうドラゴンじゃない?

「…………………………!」
と思ったのも束の間、超音波的謎音響が森を支配し、動きが鈍くなるのを感じた。

 金縛り系キタコレ。ここまでテンプレ重ねられると余計気になってくる!

「トール!」
反撃を見たいと超電撃を放ち、骨に直撃した。

 いやなんでやねん。そこは反撃しようよ。

「主、頑張れ!」
「やっちゃってください!fight!」
なんか守りをほっぽってきてる百合乃に「仕事しろー」と一言叱りを入れ、私は私で骨と向き合う。

「ッ!ッ!ッ!」
火球を連射してきた。魔法はどこへ。

「こういう単発系なら…………魔法分解。」
手に触れると、火球は瞬時に分解され魔力となる。あれも一応魔法らしい。

 核石は~っと、あ。頭の中にある。
 あの目が光ってるのって核石の光?弱点晒すのって生物的にいいのかな。

 とりあえず土壁で骨を覆い、逃げ場をなくしておく。ラノスはステッキに持ち変えた。
 なぜかって?骨にラノスって効きそうにないじゃん。

「じゃあお料理をしようか。」
突然フッと笑う。

 まず用意するのはアスラデウス1匹。上以外の全方向、できれば床も土壁で覆いましょう。できるだけ熱や衝撃に強いものだと理想的!

「何か始まりましたね。SORA’Sキッチンです?」
「骨焼いても美味しくない。」
「そこ問題なんです?」
不思議そうに眺める2人。調理を再開しよう。

 ファイボルトを上から直接投入しましょう。できるだけ高火力、全力で行くとグッド。

 そう言った時には真上に巨大な炎の塊が。壁の中で何かがめちゃくちゃ暴れている。ゆっくり、ゆっくりと、炎は土の壁の中に入っていき……そのまま大爆発!

 中には、光る石と灰以外何もなかったとか。

———————————————————————

 最近私自身の遅筆ぶりにガチ目にうんざりきてます。本当に遅いです。遅すぎてびっくりします。そのせいで変な文が……あ、いつものことですね。
 それで時間がなくなり、書き進めたいものも書けずどこぞの天使な後輩のお話も途切れちゃってます。
 投稿したいんですけど時間がなかなか……
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