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13章 魔法少女と異世界紛争
409話 魔法少女は協力する
しおりを挟むボロボロになった森を歩くこと数分。特になんの成果も得られず、これからの指針を定めようと私達は立ち止まっていた。
「重奏の1人も現れなかったね。絶対1人は襲いにくると思ったのに。」
「そこまで戦力を消費している暇もないんじゃろ。が、あのソロという男、只者ではない。人間が正面切って戦おうなぞ馬鹿げておる。」
少し思案した後、ふと思いついたように言う。
「あれは、もしや1つの魂ではないのかの……?いくつもの体を取り替えて、魂を固めて1つにした……いや、そんな禁術、魔神でもあるまい……使えるはずが……」
「これ、推察に過ぎないんだけどさ。」
「なんじゃ?我は大事なことを考えておる。もしどうでも良いことであったら主とて手を抜かぬ。」
とんでもない脅迫を両手で宥め、無理矢理口角を指で上げる。眉が嫌そうに曲がるので、早々に引き返し言葉を続けた。
「もしナギアが異世界人で、創滅神から力を受けていたとする。そして、なんらかのスキルで世界に触れるスキルを手にした。」
「世界に触れる?」
「私も似たようなものだよ。空力に重力操作、再生創々。この世界に直接干渉できるのはこの世界の影響を受けない異世界の人間と考えると、私みたいなのが戦闘に特化すれば?禁術も、可能性出てこない?」
「……確かに考えられなくもないの。」
更に思い詰めたように瞼を閉じ、低く唸る。
まぁ私の中ではナギアは異世界人確定だけど。
でもそれだと能力がピンポイントすぎるよね。
古今東西ファンタジーもののラノベには必ず(バチバチに主観を含む)何かしらの「チート」はあるはず。そのチートで何か都合のいいものは……
ここが日本人の想像力の見せ所だぁぁぁ!
私の脳内は高速で回転し、異世界、ゲーム世界の異能スキル魔法、あらゆるチート思いめぐらせる。
神の力の代行?いや、それは創滅神的に美味しくない。創滅神も心があるはず。そういう完璧なものは与えない。(経験談)
禁術ってことは過去の能力だよね。禁止されてるんだから、過去に存在してないとおかしい。過去遡行?それはスキルの説明にはならないし……強さの秘訣的なものも……
ならランダム?創滅神も楽しめそうだし、たまにいいスキルあげれば……なんか泳がされてる感じで趣味悪い。
「でもそれでいい……!」
「っ!なっ、なんじゃ突然……」
「あ、いや……1日、いや1週間……まぁ期間は分からないけど、この世に存在する能力を授かれるみたいな能力なら、どうかな。」
「いや、それだと運要素が強すぎるのではないかの?」
「やっぱそうだよねぇ……」
渾身の案をばっさり切り落とされ、ガックリと肩を落とす。
そもそも人の能力を見ずに憶測で当てるとか無理だって。私の本職は魔法少女であって探偵にあらず。私の推察力は探偵みたいに常時展開じゃなくてご都合展開なんだよ。
つまり、こういう時の私はハズレだ。
『自分で言ってて悲しくならない?私』
悲しいよ?悲しいけど事実なんだよねぇこれが。認めるしかないのよねぇこれが。ちくしょう。
心のマリアナ海溝で悪態を吐き、私はゆっくり浮上する。
「今は我と主の2人じゃ。必然的に行動も思考も協力してやる方が効率はいい。少しのことでクヨクヨするでない。」
「……で、今はソロの魂が複合体の可能性についてだっけ?」
「そうじゃの。あの力は1人の人間の持てる力の許容量を超している。ナギアという更に規格外の男に関しては、主の仮説が当たりかの。神の力を薄く感じた。」
「さすが、終始無言だっただけある。」
ニヤリと笑って言ってみると、「主も特に喋らなかったじゃろ」と返された。振り返ってみると、ソロとのコントしかしてない。
『そんなことより、さっきから万能感知反応あるんだけど?ここでも分かる距離ってことは……』
私が焦りを含んだ声で訴えてくる。私は制止し、心で呟く。
分かってる……もう、視線は感じてる。
「ところで、周りに視線を感じるんだけど気のせいかな?」
「……うむ、気のせいじゃの。」
「うんうん、気のせいだよね……じゃない!」
「思考力に力を注いだ結果、索敵が疎かになっていたみたいだの。」
そう納得するように頷くルーアを他所に、ボロボロの森からは魔物が発生していた。
「恐らく、この大量の魔力が自然の魔物を誘き寄せ活性化させてるようじゃ。我も利用させてもらった主の領域が原因じゃの。」
「私のせい!?」
「はっはっは、ここのあたりを覆っておった封印の結界も、主の力で綺麗さっぱりじゃの!変わらず、濃い魔力は充満しておるが。」
「笑い事じゃないわ!何が『はっはっはっ』?笑ってる暇があれば……」
私がブンブンと腕を振り、魔物が近づいてることを必死にアピールしていると、ルーアがまた笑う。
え、この子なに?もしかして狂人?魔物が襲いかかってきても笑えるその精神力は素直に褒めてあげる。
ってそんな話はどうでもいい。
「いやに焦るでない。もう罠は貼り終わっておる。」
「え……?」
「言ったであろう?主が領域を破壊したと。つまりここは、我のテリトリーじゃ。」
その瞬間、目に見える範囲を全て覆うような、ドーム状の魔法陣が隙間なく発生した。まるでバグのようだ。
「いくら我とて神の力の混ざった領域を内から塗り替えられぬ。が、主が同レベル、いや創滅神自体と同レベルの力で書き換えたおかげでできたことだ。感謝しておるぞ?」
突然ウインクをして愛嬌を示してくるルーア。世の中の男子諸君が卒倒しそうなので、私の中学の卒業写真と入れ替えておいた。
私は写真でピースをしない系女子だった。
高校は友達の真横でイキリ倒してたけど。
逆にイジメの只中でピースできる根性ある人いる?と謎に話が脱線したところで、目の前の魔物が消えていることに気づく。
「いや……死体にジョブチェンジ?」
「普通に殺されたと言えば良いじゃろ。」
「いつの間にっ?」
「龍法陣の結界でチョチョイとの。この結界内で、我の目が届かぬ場所はほとんどない。」
「ほとんどかい。」
やっぱりあんまり役に立たないことが証明された。
「仕方あるまい!神の力が混じっておると言ったじゃろ!」
ルーアが声を荒げる。そんなに怒らなくてもいいじゃないと耳を塞ぐ。
「これで外から増えてくるということはないじゃろ。」
「ルーアせんせー、なんか増えてるんですけど。」
「増え、……なんか分裂してるんじゃが!?我の結界内どうなっておる!?」
まるで地獄絵図からモノホンの地獄絵図にグレードアップした。
魔物は内でも外でも結界によって殺され、内の魔物は何故だか分裂して増え続ける一方。
「これ、殲滅しないとヤバい系じゃない?」
「核石を全て破壊し尽くさないといかんの。」
「うぇ……銃弾補充できないじゃん。核石の代わりに物質変化で鉄ぶっこもうかな。」
考え事も恵理も一旦置いておいて、私達は目を合わせる。
「フレアアクセル!」「ファイボルト!」
互いの方向に炎をぶちまける。
「増えるならその分燃やしてやらぁぁぁぁ!もやし炒めだぁぁぁ!」
「なに言っておるか分からんが燃やし尽くすことには同意じゃの。燃えろ!」
———地上で炎上祭りをしている頃、恵理らは戦闘を開始していた。そんなこともつゆ知らず、魔法少女らは今日も燃やす———
———————————————————————
今回なんか文章から読み取れるヤケクソ感ありますね。理由は明白ですが。
何故かって?ずっと見れてなかったごちうさ3期をAbe○aで見てたからです。
1、2期は10ヶ月前に見たんですが、見てるとあのオープニングを思い出します。
心がぴょんぴょんします。
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