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12章 魔法少女と学園生活

384話 魔法少女は話し合い

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「魔力っていうのはこうして日常生活を補助することもできるし、肉体の強化ができる。この世界……ごほんごほんっ。人が魔物に勝つことができる理由はそれなんだよね。」
魔導黒板にペンを走らせながらそう話していく。

「上位ランクの冒険者とか、強い人はその魔力を体内でめぐらせるのが上手いのが1つ。あと、リーデリアの使える醒華閃、これも魔力が大部分。人特有の闘気といったもので強化され、戦えている。」
百合乃の体験談を話しながら、授業を確実に潰していき、時計をチラリと確認するとあと10分。

 教科書も何もないから適当になるんだよね、授業。まとめてみてはいるけど、どうしたって適当になる。

 まぁ細かいことはいいやと、なるほどこれが不真面目を体現したような人だと自嘲まで出てくる。

「私の知り合いも、馬鹿みたいに強いんだよね。魔力ないくせして他の部分がそれはもう強いこと強いこと。」

「先生より強い人なんているんですか?」
「まぁいるだろうね。傲慢になっちゃいけないよ、常に謙虚で。」
「先生ほど謙虚が似合わない人はいないと思います。」

「今しれっと酷いこと言ったの誰かな?かな?」
某ひぐらしの人のように笑顔満載で言ってあげると、言ったであろう子は恐縮した。笑顔の圧とは怖いものだ。

「もう少ししたら私負けるかもね。まぁそうならないために頑張ってるわけだけど。」
などと身の上話等々を聞かせ10分を潰した。最後に黒板に書いたことを自分もまとめ、今日最後の授業を終えた。


「はろはろ~、先生っ!」
と、思った途端に次は3年の調査の手伝い。スキンシップがついた挨拶に苦笑いで答え、「じゃんっ!?」とあのことがよほどトラウマなのか震えるイズを通り過ぎてチサリー他の男群と挨拶する。

「なんか僕らだけ扱い雑じゃない?」
「男なんてこんなものさー。男尊女卑は廃れた価値観なんだよ……」
「そんなこと言ってる暇があったら手伝って。前回紙にまとめずに終わったんだから。」
男子達は喧し……元気そうだった。

「で、今日は?」
「先週の研究結果が出たらしいよ。仕事早いね~、オスター達。」
「私らの技量も負けてないじゃん?」
意外に負けず嫌いな面を見られた。ちょっとドヤってしてるところが可愛い。天然の可愛さとはすごい。

 少し長くなりそうだし……まぁ座るかな。

 どっかのガンマ線のせいでまだ魔力が回復しきってないからか、ちょっと怠い。欠伸をしながら椅子を引き、話を聞こうと肘をつく。

「そろそろ話そうかな。」
「「「「了解。」」」じゃん。」
なんか楽しそうなチームだなーと思いながら、いや私も仲間でしょと思い直し「わー」と棒読みな拍手を送った。

「突然変異とかじゃないみたいだね。魔力が浸透した、させられたみたいな雰囲気があるみたい。大気中の魔力、植物から何から何まで、魔力を含むものは全て異常が見られるって。」

「なにそれ?もう災害級じゃない?」
「多分、人災かなって予想をつけてるんだけど、先生はどう思いますか?」
「多分あってるんじゃない?」
そのあたりは信憑性がないため誤魔化す。だけど、1つだけ可能性を思いついた。

 ……確証なんてないし、話すのは今度でいいかな。

「過去に起こった魔力活性化はこんなに急激じゃなかったみたいだし。ゆっくり、どこかからしみ出すように、一滴一滴水滴を垂らすみたいに増えていったみたいだし……タイプが違うみたい。」
「そもそも、魔力活性化の原因ってなんじゃん?」
イズが片手の平を上に向けて質問した。

「えーっと、確か……」
「魔力活性化とは、何らかの巨大な自然災害や大量の魔力が一点に集中した際、空間に歪みが生まれそこから魔力が流れ出る。というものが一般的な理解です。」
「そうそう、さっすがツキ!」
「この程度は。」
不遜な笑いを浮かべ、サムズアップするカラに先を促した。

 歪み……魔力……あ、脈。
 魔力がゆっくり流れるだけじゃ分散しちゃうけど、脈の力なら分散する前に活性化までいくかも。

 でも今回、森に脈の異常なんて見当たらなかった。
 ガンマ線バーストの実験は、どこまで活性化が進んでるかも含めてのことだったけど、そこにも脈の異常はなかった……
 つまり、人為的なことって思っていいかも。

 1人納得し、カラの推測も聞くことにした。

「ここまであからさまな研究結果が出ちゃうと、まるで見つけてくださいって言ってるみたいな……」
「それが目的なんじゃないの?」
視線が一気に向く。だからこういう場の発言は嫌なんだと思いつつも、自論を立てる。

「もし過去に1度も起こったことないすごい現象を起こしたら、国が動く。けど魔力活性化なら学生に回される可能性が高いし、未来花咲くかもしれない芽を摘める可能性も高い。」
そのまま続け様にこう言った。

「私は、この依頼を受ける前に不可解な連続変死事件について調べてた。」

「今も専門部で研究されてるよね。僕も研究してみたいんだ、それ。」
「私がその依頼を受けるきっかけになったのは、王都にくる途中の盗賊団にがいた。」
カラが目を見張る。自分と似たような発言をしたことで、何かを感じ取ったらしい。

「明らかに人間じゃないのに、見てくれは人。魔物のような動きに暴走したような魔力。魔力活性化した時の魔物の変化に似てる。」
「それがどうしたというんです?」

「更に前に遡る。ティランとパズールの間、強大な魔力を求めて魔物が襲来した。その時、それに乗じて魔物の軍勢を増やし街を壊滅させようとしたのがエンヴェルのとある組織。」
「ちょっと待って、よく分かんなくなってきたんだけど?」
混乱するカラのために短くまとめてあげた。心の私がウインクし、私ったら優しいと宣う。

 まず何が言いたいか。
 魔力活性化は人為的に起こしている。そして、魔力活性化は戦力増強のための前段階である。

 言った通り、魔力は魔物を寄せ付ける。そしてさらに進化させるための道具となる。そこでは地龍さえも操る魔導具があり、実際に利用した集団がいたこと。その中の1人が脱走し、独断行動に移っている可能性。

「可能性は十分あると思う。やるなら、その魔導具を探してもいいと思う。罠でも、多少危険を犯してでも早く真相を見つけ出したほうがいい。私が守ればいいしね、いざという時なら。」
「それはほとんど戦争なんじゃん?」
「危険が高すぎるのでは?」

「できれば手遅れになる前にやりたいんだけど。」
唸りながら頭を掻き、否定意見が多いなら諦めようかなと。そう思って首を回す。

 この場合、もう手遅れなんだけどね。精霊の森で足止め喰らう前に押さえておかないとダメなやつだったよ、確実に。

 全てが終わるのを待ってその先の地獄に備えるか、その前に自ら罠にかかってカウンターを喰らわせる。より確実なのは後者だし、安全と言えば前者。
 こういう系で前者を選べば死にそうだからね。

「私は賛成かな。それが本当なら引き延ばしてる時間なんてないだろうし、危険のない調査なんてないでしょ。みんなは?」
「僕はなんでも。卒業できればそれでいいし。」
「ボクも同じくー。」

「危機感ってものを……」
「ん。答えが眼前に転がってるのに、こんなところでうじうじして、どうにもなんないんじゃん?」
その言葉にツキも渋々賛成し、魔力活性化についてではなくそっち方面に切り替えることにした。それを隣の部屋の研究チームにも話すことになった。

「その考えはなかったな。やっぱり、専門の人がいると視点が変わる。」
オスターが魔物の入った檻に手を置きながら、頷いた。

「別に専門ってわけじゃないよ。ちょっと触れる機会があっただけ。」
「でも、それでいいと思います。」

「オッケー、明日からそんな感じで。今日は私休みまーす。」
話し合いを終わらせた私は、手をひらひらさせ部屋を出た。今日はやることないしまぁいいでしょと、適当に言い訳しながら寮へ戻った。

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 ここに書くことがありません。なのでこの回を執筆してた時のことを書きましょうか。
 この回執筆時はバレンタイン、私にとってはただの平日なので語ることはありません。では次。

 某有名無料配信アプリでら○☆すた見てました。2週目か3週目ですけど何回見てもなんか面白いんですよね。

 人によっては合わないでしょうが、あぁいう雰囲気が好きな人にはハマるんじゃないでしょうか?私はどっかの白石が好きです。

 ところで、チョココロネの頭って細い方と太い方、どっちだと思います?
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