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11章 魔法少女と精霊の森

345話 魔法少女は試される

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 両側の壁に灯された心許ない光をもとに、階段を下ったその先。
 広い石造の空間が広がっていた。前に4人も戦闘していたとは思えないほどの綺麗さだ。

 これも精霊術?どうやってんだろう、ほんとに。

 私は警戒を露にし、訝し気に視線を飛ばす。

 すると、視界右端には緑色のゲージが。これがHPゲージかと理解する。

「なにもない、わけないはずよね……」
いつもの勢いはどこはやら、ベールも不安そうにする。

 魔法が使えない状況なのに、いきなりこんな粋な計らいしちゃってさ……
 もちろん皮肉だよ。

 どうせ向こうではもう映像は映ってるだろうから、そこも気が抜けない。頬を伝う脂汗の感触と、無音の空間での焦燥感。
 さすがにもう待ってはいられないので、ジリっと1歩にじり寄る。

 ガシャンッ。

「「ひっ!」」
2人の声が重なり、進んだ以上に戻ってしまう。でも、初めての音。注意深く先を見てみると、真っ白な人形のようなものが宙に浮いてやってきた。四肢が細く、だらりと垂れている。力なく下を向いており、無機質さをより演出していた。

 この前のコピーとは違う……よね。じゃあなに?って言われても分からないものは分からないし。HPゲージは、ない。

 私、分かるー?

『だから、私が分からないのに分かるわけないでしょ』

 いやせめて考えて?考えてから発そ?

『そもそも言われる前にあれが出てきた瞬間から考えてるよ?私達は言われなきゃ動かないスキルじゃないからね』
『自律自律~!』
そう言われると、私は働いてもらってる身なんだからとやかく言えない。

「動くわ。」
そう聞こえた時には、もう宙を駆け抜けていた。

 ん?宙を?

 よくみると、骨組みだけの羽があり、若葉色のオーラをそれが纏っていた。

「それ羽代わりなの?」
見えなかった……と、自分の観察眼の甘さを痛感しながらサイドステップと精霊術での空間機動で背後をとる。

 ちゃんとした攻撃はほとんどベール頼みだけど、こういう小手先の技はある程度できるようにしてるんだよっ!

「次、来るわっ!用意して。———燃えよ、炎!」
向こうは1回転からのターン蹴りで戻ってくる。その隙に炎の弾をいくつか回転させ、渦のように伸びていく。

「ごめん、いきなり切り札切るよっ!」
手はすぐさま腰に。ステッキの隣にある黒塗りのそれを片手で構え、照準を合わせる。空間伸縮の偉大さを感じながら、少しはまともになったはずの銃の腕をふるった。

「バーストバレット!」
2発撃つ。1発目は当たらず、奥歯を噛み締め、2発目は顔に当たる。装甲に亀裂が入る。

「なんとかなりそうだね……ベール、そっちは任せた!」
「ちょっと、助けてよっ!炎じゃ止んないの!」
「えぇ!なんとかしてよ!」
と言いつつも、なんとかするのが私。弾が切れた用に練習した原素弾。これを、煉獄指弾突クリムゾンバレッツの要領で放つ。

 まさか、ギリシスの技が輝くなんてね。

 どこかの転生者が、客席でくしゃみをしたのは気のせいではないだろう。

 何故かこれだけは寸分違わぬ位置に当たる。脇腹に着弾し、進行方向を逸らせた。ダメージも、傷をつけることはできた。
 更に追い打ちをかけるように炎が飛び、その間にベールが私の下に戻る。

「まったく、酷いパートナーよ!なんで見捨てようとするのよ、酷いじゃないの!」
「ベールならいけると思ったの!ほら、もっと槍系のやつ使えば……」
「時間が足りないわ!」
「……っ、喧嘩してる暇なんてなさそうだよ。」
渦巻く炎の中から、8つ三角形が浮いていた。どれも二等辺三角形に近く、人形の周りを浮いていた。

「背中がツルツルね……」
「多分、羽があれに変形したんじゃない?」
軽い予測を口にし、ラノスを短刀のように構えた。

 せめて何か喋ってほしいよね。魔物みたいな奇声でもいいから。
 なんか寂しいでしょ、無音とか。

「……原素が集まって、ってあれ!あれ、精霊術撃ってくるわ!単体で!」
その瞬間、浮遊する三角形は陣形を組み、2つを人形の手に収める形にして風の刃を飛ばしてきた。

「「風よ、打ち消せ!」」
2人同時詠唱により2倍の効果。なんとか防ぎつつ、苦い顔をしてラノスを乱射する。

 弾数はあるとはいえ……勿体無い!

 6発撃ち切り、1発以外当たらなかった。風に逸らされた。

「弾切れ……」
「まだ終わらないわ……どうするの!」
三角形は人形を中心にまたも変形を遂げ、正六角形を作る。白っぽい何かが爆ぜ、プラズマに近いものだと予想する。人形は跳ぶ準備もしていた。

 どうする、どうしよう……弾は装填するとして、どう倒す?みんな、こんなやつを倒してたの?

 ……いや、そんなわけない。いくら擬似レールガンでも、装甲を破れない奴が平均なんてあり得ない。
 つまり誰かが意図的にやってる?

 いや、今はどうでも……

「上!上よ!」
「……っ!」
ラノスを盾にすることで、なんとか防げた。手が痺れたが、それだけだった。

「雷、ね。」
残っていた三角形が、バチバチと音を立ててラノスを切り裂こうとしていた。すぐに振り払い、痺れる右腕でラノスをしまう。

 今やっても外れるだけ。
 何か別の手段……

 考えていると、正面から巨大プラズマ弾が。

「服にって効果あるのかな。まぁ、リボンは邪魔かな。」
右手のリボンを歯で解き、軽く髪に結んだ。片手クオリティだけど、そこはまあ許してもらおう。

「ちょっ、さすがにあれは死ぬわ!避けて、避けなさいよっ!」
「大丈夫大丈夫。———見てて。」
ふっと笑ってみせる。ベールが何を勘違いしたのか、必死の形相で手を伸ばす。それと一緒に、私はプラズマに手を伸ばした。

「ソラぁぁぁぁぁぁぁっ!」
断末魔の叫びのような声だ。会場は一体どうなってるんだろう、と呑気なことを考え、ベールの声は無視。

『私のことながら、いい性格してるよね』

 そりゃあどうも。

 私の手に触れた瞬間、爆ぜるようにプラズマが駆け巡った。なんかゾクゾクする、不思議な感覚だった。

 そしてプラズマがなくなった。

「私、雷効かないんだよね。」
プラズマが駆け巡った影響ではねにはねた髪をなんとか戻しつつ、口にした。HPゲージは、1ミリたりとも減っていない。

「えっ?」
ベールが疑問符を打つその瞬間、指弾を放った。何故かこれだけは命中率が100%。放った指弾は狂いなく人形の腹部に当たり、くの字に体を曲げさせた。

「ベール、驚いてるところ悪いんだけど、あの浮いてるやつ相手してくれない?」
そういうや否や、私は返事も聞かずに踏み込んだ。ちょっぴり本気だ。

「私は精霊少女である前に魔法少女だから。」
ステッキを振り抜き、叫ぶ。

「必殺、打撃っ!」
魔法を撃つわけではなく、ステッキを横に薙いだ。少し重力をかけたので、だいぶ威力は高いはずだ。

 結局は一点突破だ。小手先で戦おうとしても、攻撃パターンを覚えられるだけ。
 なら、1撃で屠ればよし!

「もう!やればいいんでしょ!分かったわよ!」
ベールも俄然やる気を取り戻したようだ。何より何より。

 多分、あの三角は絶対私の方に向かってるはず。
 感触的にまだ壊せてない。あと1、2撃必要かな。

「燃え盛る壁よ、道を閉ざせ!」
背後から熱気を感じる。文脈的にファイアウォール的な精霊術だと思う。

「いい働きだよ、ベール!さすが私のパートナーっ!」
私も負けられないと、吹っ飛ぶ人形を追いかけステッキを振り上げ……

「おりゃあっ!」
バゴンッ!と何かが凹む音がして、地面に叩きつけられる。少し揺れた。そこには、ペシャンコの人形だったものが。

 ふぅ……終わった。
 いきなりこんな苦戦させられるとは、計算が外れた?

『元から計算なんてしてなかった』
私が水を差すようなことを言ってくる。

「っと。……うおっ、こんなでかい壁作ってたの?」
ふと後ろを振り向いた時、そんな言葉が漏れた。すると、奥から何か声が聞こえてくる。

 あ、炎消えた。

「何無茶してんの!馬鹿じゃないの!?」
三角形が地面にパラパラと落ちているのに見向きもしないで、ベールが詰め寄ってくる。若葉色が消えてるので、本体もちゃんと壊せてるみたいだ。

「無茶じゃないって、できるからやったのー。」
「だからって……心配したのよ………」
俯き、眉を曲げる。口を少し尖らせて、そう一言。私は、全人類の言葉を代弁させてもらおうと、大きく息を吸った。

「可愛いかよ。」

———————————————————————

 とうとう始まりました、神試戦。
 とうとう治りました、胃腸炎。私も私で頑張ってましたよ、見えない敵と戦ってました。それはもう熱い熱い戦いです。白熱して三日三晩を超えて四日四晩戦いました。
 そうした末、ようやく投稿再開できそうなほど体調が回復したので、いつも通り緩く私らしく頑張らせていただきます。よろしくお願いします。
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