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9章 魔法少女と天空の城
282話 魔法少女は辿り着く
しおりを挟む徐々に、視界から抜けた色が戻ってくる。まるでパズルのピースみたいで、ゆっくりはまっていく感じがする。
「百合乃。気、引き締めて。」
「分かってます。何のために尊値をためたと思ってるんです?」
視界はほとんど全てが元に戻った。そこにあるのは、巨大な宙に浮く闘技場(?)的なものだった。
いや、闘技場というか、神秘的な闘技場?全く分からない。
ま、とりあえず飾りなんてひとつもない丸い床の空間とでも思っといて。
「空!」
突如突き飛ばされる。こんな時にふざけるはずはないので、仮定未来眼にでも何か映ったんだと思う。その瞬間、ゴゴォォウッ!と方向と共に巨炎が舞った。
「え?」
ゴロゴロと数回前転をし、振り返る。そこには真っ黒に焦げついた床があった。
こっっっっっっわ!なにこれ怖っ!初撃で殺すつもり?
脳内で必死に文句を並べる。特に意味はない。
「………これも、避けるか。」
奥からスッと現れた。それは、見るから人間じゃないオーラを放った……老人だった。
「龍神?」
「………よく来てくれた。ここは、お前の墓場だ。」
そう言って手を前に上げる。
「空っ!……魔断!」
隣に龍がいた。とぐろを巻いた、赤い龍。その龍は咆哮をあげ、もう1度巨炎を撒き散らす。
「ぐ、ぅぅぅっ、あぁぁぁぁぁぁ!」
サーベルを両手で抑え、なお拮抗する。触れる先から消滅するものの、次の瞬間からは倍の量の炎が舞う。
「……龍を容易く殺すお前には、死んでもらわなくては、いけない。」
ボソボソと語る老人。龍神で間違い無いだろう。
「目的はそれ?」
「…………概ね。龍は死んではならない。滅んではならない。この世の均衡を保つ。………………必要な、存在。」
「だから?」
「生きねばならない。……………代表たる神が、信仰がなくなり死ぬなど、あってはならない。」
「つまり保身と。」
私は膝立ち状態から、パパッと埃を払って立ち上がる。
「私はあなたを殺さなきゃいけないんだけど、そこのところどう思う?」
「………不可能。人である限り、神を殺すなど………特異者は、許されてはならない。」
「ちょ、さっきから意味分かんない。」
「……分からずとも良い。……冥土の土産に神の殺し方でも教えてやろうか?」
「えっ、いいの?くれるなら欲しいんだけど。」
「………断る。」
隣の龍を撫で、無表情で呟く。
うっわ、性格悪。そっちが教えてやるとか言ったのに、それで断るとかゴミじゃんゴミ。
教えろー!ついでに自滅しろー!
強かな魔法少女だった。
「らあぁぁぁっ!」
そんなやりとりの間に入ってきた叫び声。さっき退場した百合乃だ。
「人を勝手に死んだことにしないでください!」
「心読まないで?」
「わたしは、空が死ぬまで死にませんから。」
「なにその責任重大。何で自分の死に他人の死を上乗せされなきゃいけないの?」
「ファイトということです。」
百合乃がきてから一気にムードが崩れた。シリアスな展開は一気にドタバタ日常ものに変化する。
「………お前は、試練を突破していたか……?」
龍神が目を細め、百合乃を凝視する。俺、こんなの知らね?的な表情だ。
あー、確かに。最初は私が吹っ飛ばしたし、その後もかなり手伝った気がする。
というか時間かかりすぎな気がする。
「…………うるさい!ここにいるんだからクリアしたんですぅー!」
「……まともに突破したのは自身との見つめ合わせか…………特異分野だったか?」
「みんな揃って、わたしをチート扱いして……」
ぐすぐすと泣きまねをする。ほんとに、シリアスブレイカーすぎて怖い。
「………ここにいるべきでは無い。お前に、用はない。」
酷く冷酷になった。その声音は、全てを滅び尽くしそうなほど。
……龍神は、まだ遊んでるだけだよね。ここに私を引き止めるため、とかは考えにくい。
私も、簡単に……いや、違う。私にはこの十八番(兵器群)がある。
自身を取り戻し、ステッキを握りしめる。
「…………相手を、してやれ。」
そう言って龍を軽く叩く。その龍は軽く「ギュ」と返事を返し、空間が歪んだ。その後ろの龍神をは目を光らせるだけで、何もしない。
「空間伸縮の感覚に近い……?百合乃!多分、引き離される!死なないように頑張って!えっと、これ!」
「えぇ!?なんです?それぇ!えっ、ちょ……えぇーと、これ終わったら一緒に美味しいもの食べましょう!」
「何でこんな切羽詰まった時に死亡フラグ立てるの!」
ギャーギャーと騒ぐ間に空間が切り離されるように消え、百合乃の声は届かなくなる。
「…………場は整った。あとは、お前を殺す。」
手には杖が握られた。古びた杖。先には黒い物体が浮かんでおり、意志を持ったように動き回る。タールみたいな感じだ。
「はぁ。なら、私もあなたを殺すよ。」
「……できるものなら。」
「私の方こそ、簡単には死んであげないからね?」
そう言った瞬間、互いの攻撃が始まる。まず聞こえたのは、パァァンッ!という発砲音。神速を付与したこのにより、さらに威力は増した。
これは速度も増しただけで、魔法を消しても速度は落ちない。やったね!
「ふむ………これは、ディー坊の言う通り、厄介かもしれない。」
「ディー坊?」
パアァァンッ!立て続けに発砲し、会話を始める。殺し合いと書いて会話だ。
「………お前も、よく知る人物だ。」
「っ、あ゛っ!」
これが本当の神速か。鳩尾に強烈な痛みを感じる。こんな痛みは、人神や地龍以来か。
そう、か。ディー坊ってエディレン?人神かな?……つぅ~、1発でこれかぁ。結構きついなぁ。
殴られ、吹き飛ばされた先から2度の発砲を浴びせる。
龍神は、それを首を折って動かずに回避する。ほとんど直接撃ち込んでるはずなのに、先に軌道を切らない限りできない芸当だ。
「………本当に、厄介。」
杖を掲げ、次の瞬間には黒い何かが私を覆おうと迫り………
「魔力超化!人神魔力!サンダーサークル!」
バチィッ!と金色に変化した魔力が雷を発生させる。黒い覆いは、何とか阻止する。
「…………それは、ディー坊の魔力。」
少し苦しそうに呻く。
よし、効いた!
どこぞのポケ○ンみたいにドラゴンにはドラゴン、神には神だね。
内心で、私はにっこりと笑顔になる。
1つ、気になったんだけど……何で龍神は銃を避けたんだろう。
参考になるかは分からないけど、私が人神に与えられた攻撃といえばアースアイスによる転倒。予想外を突いた。
それ以外は意味をなさなかったけど……ん?
「神は、この世界にない攻撃のダメージは受ける?」
可能性を呟く。
確かに、創滅神がやりそうなことだ。
人が神に勝つために、私の世界にしかない力で、神を倒す。
いける、いけるかもしれない!
希望が見え、ラノスを再び構える。
「……爆ぜろ。」
「ぅっ!」
地面が急に破裂する。咄嗟に飛び退き、4度引き金を引く。重力操作でマガジンをセットし直し、宙返りをしつつトール。
「……消えろ。」
「えぇ、魔法消されんの?」
まるで龍の咆哮でも浴びたかのように、跡形もなく消えていく。
やっぱ本物の神はやばいね。ちょっと希望を持った瞬間破壊してくるとか。
んー、特殊体質は後に取っとくとして、とりあえず………
「ぶっ壊す!」
第五使徒(骨組みバージョン)のようなものが浮遊する。
追尾放射レーザー、ペネット。骨組み部分は私の知る限り最も魔力返還率が高い脈を通したもので、要所要所で核石の関節っぽいのを設置した。
脈っていいね。魔力の強化がしやすいし、魔力が貯まりやすい。
そんな細かいことはどうでもいいとして、私は取り出した瞬間レーザーを速射する。
6つの核石から放射レーザーが乱れ撃たれ、その場はレーザーで満たされた。
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兵器に関しては超適当です。とりあえず、何となくそうなんだなぁ、って感じで見てくれると助かります。
後の16個の兵器も全部そんな感じです。よろしくです。
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