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8章 魔法少女と人魔戦争
259話 魔法少女は許可する
しおりを挟む「えっと、何かしたの?百合乃。」
私がそう聞くのは、単にこの状況をどうにかしようと思ったからで、そこについては今そこまで気になっていない。
「わたしの敵になりうるもの、邪魔なものを一直線に消し飛ばしました……?」
「いや、だからなんで疑問系?」
「知りません!こんなの、初めてなんですからぁ!」
「妙に艶っぽい声出すのやめて?」
こんな時にもふざけ倒す百合乃にいつもどおり一喝入れ、元の話に引き戻す。
付き合ってらんないよ。
あれ?さっきまでそういえば思考も変だった気が?
「なるほど。断絶で邪魔なものを斬ったと。」
「はいです。」
「それね……」
「はいです。」
「チートだね。」
「知ってました。」
意味分からない問答を何度もし合い、いくらか経った頃、私の咳払いで元の空気に戻す。
「というか、いつの間にスキルを生身に使えるようになったの?」
「この間です。強くなったんですよ!リーシーさんのお墨付きです☆」
「キランッ、じゃないよ。星マークつけないで。そもそもなんでリーシーさんがそこで?まさか……」
「乙女のヒ・ミ・ツです。」
パチッと綺麗に片目が閉ざされ、いわゆるウインクというものが出来上がる。服装が違ったら、男たちは卒倒するくらいのレベルだ。無意味に可愛い。
その可愛さ、少し分けて欲しいんだけど?
さっきとは別のイラつきが溜まる。
「んで、結局何したわけ?」
「だから知りませんですよ。一応スキルのことも考えてたんで、文字化けしたっていうのは消えてるんじゃないです?」
その影響で闇堕ちしたとか……なんていうあながち的を射ていそうな発言をしてくる。
いや、まぁそんな感じはしてたよ?
確かに結構焦燥感とか憎悪とか、変な感情出てたよ?だけどさぁ、めんどかったから無視してたわけよ。
実際解除されると、あのままの方がめんどくさかったよね。
今こうしてみると、ほっぽっとくなんてしないって言ってたのに置いてくって、約束破ってるじゃん。って思う。
「ん、ほんとだ。ステータスから消えてる。何気にすごくない?」
「褒められたっ?やった!」
キャピキャピと軍服のまま騒ぎ回る百合乃にため息をつきつつ、地面にこぼれ落ちた銃を拾い上げる。
「はぁ……まぁ、噛み付いてきたんなら、最後まで噛み付いてるといいよ。私の体は、そのくらいで千切れはしないから。」
暗に百合乃の要望をイエスと答えたその瞬間、ブンッ!と、破竹の勢いも腰を抜かすほどのスピードで振り返る。
いや大丈夫?それ普通に首やってない?
そんな心配を歯牙にも掛けず、私に擦り寄る。
「空~!もうっ!ついてきていいなら、最初っから言ってくださいよぉ~!わたし、頑張ります!」
「暑苦しい………………ねぇ。いい加減、ほんとに撃つよ?」
右手に構えられた銃は、コツンと百合乃の額に当てたれた。ヒヤリとしたその感覚に青ざめ始める百合乃。
感情の起伏どうなってるの。もう少し落ち着こうよ。龍神戦でそんなことされても、私困るだけだからね。
「調子乗りました……」
「はいはい。それでいい。」
両手を上げてバッと飛び退いたのを確認し、銃を収納する。その代わり、ステッキを握って百合乃にこう宣言する。
「もうついてきていいから、邪魔はしないでよ?あと、普通にレベル1で神に歯向かうとかバカだから。せめて30前後まで上げるよ?」
「イエッサー!」
「今日は特訓に費やすから、まぁ明日出発かな。距離は国と国を跨ぐ山の先らしいから(脳に刻まれた情報)、無駄は省きたいし。」
「イエッサー!」
「軍服着てるとそれっぽいからやめて?」
オチ(?)のツッコミによって、ようやくネタをやめ、少し上目遣い的にこっちを見てくる。
「なに?」
「移動手段はと思って……」
「乙女の秘密。」
「なっ、卑怯な……っ!その秘密、空の『ピーーー』」
「黙ろうか?」
「いつっ……何するんです!?お父さんにもぶたれたことないのに。」
ステッキの角で殴られ、どこぞの機動戦士の人みたいなセリフを吐く。
「じゃあ銃!銃を使わせてください!かっこいじゃないです?バンバンって!厨二心をくすぐられるといいますか……」
「ねぇ百合乃。」
「はい?」
「普段から、そんなのなの?親とか、悲しんでない?友達ちゃんといる?」
「酷いですね。人様の前ではしっかりやってます。ですが、ここは日本でもなく相手は空。これが本当の、only oneなわたしですっ!」
「だから発音よっ!?」
またベリーウェルなイングリッシュを放たれ、思わずツッコミが入る。
百合のを見てると、私の英語力低いことがすごい証明されてる感がする。
いやいや、あんなネイティブレベルを相手にしちゃダメだ。
主に、私のプライドのために否定する。
「一応、日本では真面目キャラで通させてもらってたんです。でも、もう解禁。わたしは、わたしの好きなキャラで生きるんです!」
そうして生まれたのが、こちらの残念で変態なですっ娘。両親が見たら、両膝を崩して涙をこぼすと予想できる。
「はっ!話が斜め上に飛んでました。それで、わたしの質問の答えは?」
「なんだっけ?」
「銃です。貸してくれませんかってはなしです。」
「無理。」
「なんでです?」
「直接魔力を脈ってのに入れないとダメなんだけど、百合乃はまず魔力が無いし、脈を見ることも干渉することも不可能だから。」
「そんなっ!誰もが憧れる銃が……」
うぅ……と項垂れる百合乃を尻目に、早速出番のバイクを取り出し、そこに跨る。もちろん違反や信号なんてものはないので、ヘルメット等は無しだ。
あれ?これ乙女の秘密にした意味あった……?まぁいいや。仕返しできたってことで。
「早く乗ってー。時間が勿体無いから。」
「はい。……ん?乗る?ん?バイク?」
「あー、うん。ツッコミは無しで。」
もちろん、その後めちゃくちゃ質問攻めを喰らった。
———————————————————————
だいぶ前にステータスに関して比較を用意したと思いますが、あれは嘘です。忘れてください。
タンスの角に頭を121回、豆腐の丸みに1569回ほどぶつければ、自ずと記憶は無くなります。
過去の人間は下と上の強さの差が大きく、現代は平均的に魔力の力によって強くなり、魔族の影響で上の強さはそこまで変わってません。
魔物と戦う冒険者の平均合計ステータスは1000行くか行かないか。Aランクになると4000行く人もいる。
騎士団は2000~4000が目安です。王都の先鋭騎士とかはSランク冒険者とかもいるので8000近い人もいます。
転生者は初期ステは低いけど成長値が段違いなのでレベルさえ上げれば簡単に超えます。
ソラは現在27000です。
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