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8章 魔法少女と人魔戦争

257話 魔法少女は開発をする

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 街の外の、人目のつかないところでこそこそと動き回る影がひとつ。そう、私だ。

 私は目を覚まし、百合乃がいないうちにこっそりと抜け出した。もちろん、武器製作のためだ。

「まずは簡単に作れる刀からっと。」
鍛冶師が金床でもぶん投げてきそうなセリフを吐く私に誰も何も言わないのは、今は誰もツッコむ人がいないから。

 これは簡単。あのとき天竜の核石をこっそり回収してたんだよ。それを使えばいい。

 その、光の加減で金色に見えなくもない薄水色の核石を取り出し、金床代わりの石の上に置く。

「金属加工。」
某ロボットアニメの第五使徒のような形をした核石は、ゆっくりと細長く変形していく。柄の部分は流石に核石でやるわけにはいかないので、この前拝借した鎧やらを加工して作る。

 お、おぉぅ?む、難しい?えっ、ちょちょ行き過ぎ行き過ぎ。形合わない……

 簡単と言いつつなんやかんや四苦八苦し、ある程度の形が見え始めた。

「この刀身、普通にめちゃ綺麗。」
そんな雑な感想を漏らしつつ、出来上がった刀身、鞘、鍔、柄の4種類に目を向ける。

 あとは接合。いい具合に加工してくっ付ければ……熱した方がいいかな……?

 魔力で押し固めつつ、ファイボルトのファイの部分で熱を与え、加工を施す。それを2回繰り返し、刀は完成する。

「色合いがなんとも……表面だけ物質変化しようかな。」
水色に鈍色が全く映えず、鞘を白色、柄と鍔を黒っぽく変化させる。

 おぉ!いい感じ。かっこいいんじゃない?

 厨二感漂う刀を太陽の光に当てつつ、鍔と鞘の先の部分に加工で穴を開け、物質変化で魔力を流すと離れる石を埋め込む。

「これで落ちないっと。持ち歩くのも面倒だし、収納の中に入れとこ。」
コートの下の腰(一応ベルトみたいなのも付けた)からステッキを取り出し、収納完了する。

「よし、前座は終わり。……ふぅ、これから銃作成に取り掛かる!」
結局厨二かい、というツッコミは華麗にスルーし、材料である魔龍の核石を収納からゴトッ、と音を鳴らせて取り出した。

 この核石は漆黒。つまり銃にピッタリ!まぁそこはおまけだけど。

「銃って言っても、ほんとはレールガンのミニバージョン改なんだよねぇ。」
これから作る内容を考え、ポツリと漏らす。

 そう、つまりは電気を使って電磁加速を組み込んだ銃だ。
 そして、銃を扱うに伴って使う魔法も増やした。

 重力操作
この世の重力を自在に操ることができる。万物に対し有効。極め方により、様々な用途が生まれる。

 Ⅵまで上げるととてつもない量のSPを食って、11500ほど無くなった。

 なんで重力操作かって?
 あのね、一般の女子高生がいきなり銃持って的確に撃てるかって話よ。

 いくらステータスがあるからといって、反動を抑えられても狙った場所に、しかも動きながら動いてる的を撃つなんて無理。
 だから、重力で動きを止める!

 それと、私に銃の知識なんてない!そう。無いんだよ!

 記憶念写である程度の形を認識できるとしても、内部構造とかさっぱり。
 だから、トリガー引いて火薬と電磁力でぶっ放して次の弾装填。この一連の流れの自動拳銃を作る。
 必要最低限の動きだ。

「何はともあれ、形がなきゃ始まらない。ま、作ろっか。」
記憶念写により型どられた漆黒の銃身が、金属加工によってどんどん形になってくる。

 とは言っても、ほんとに形だけなんだけど。

「おぉー。型があったとはいえ、結構いい出来?」
トリガーあたりを握ってみて、ほほぉ~と声を上げながら見上げる。

「ほらキューも……って、寝てる。」
寝息ひとつ立てずに眠りこけるキューを数秒見つめ、すぐに制作に取り掛かる。

「えっと、必要なのは銃弾と薬莢?だっけ。と、それを排出するやつ。自動拳銃だから反動で入れ替えできないとなぁ…‥いやむずっ!で、マガジン入れるとことそのスイッチ。トリガーと作用する部分………必要箇所多い……」
ブツブツと呟きながら作業する様はとてつもなく不気味で、限りなく不審者に近い。

 そもそもこんなところで銃作ってること自体がおかしいんだけどね。

「よし、完成!」
途中、脈を切ったり空間伸縮で繋げ直したりと色々あったけど、脈を纏った自動拳銃がとうとう完成した。

 描写はないけど、所要時間3時間45分。結構生々しい時間をかけた。

「あとは使ってみて改良改良を重ねれば……」
そう言いつつ、威力とかの問題で8弾ワンセットになったマガジンを10セット用意し、1つを銃にセットした。そのまま、漆黒に輝く少し細長い拳銃を木に向ける。

 使いながらこの私式自動拳銃を説明しよう。

 まず火薬。言わずもがな物質変化によって可燃性になった魔力。そこでファイボルトを脈に流すことによって循環させ、トリガーを引くとその脈が火薬と銃身に触れるという仕組みだ。

 実際にトリガーを引くと、パアァンッ、という乾いた銃声が響く。

 それは長めに設計され、空間伸縮により伸ばされたその道を電磁加速を受けながら通り、銃口に張られたレイタースタートの投擲(ミョルスカイにもあるやつ)で吹き飛び、鋭い銃弾と空になった薬莢飛び出る。

 ここで魔法少女ポイント!
銃弾はもちろん核石。脈は小さすぎて取り付けられないけど、中央に魔弾を仕込んで分厚く核石でコーティングすることによって斬られない工夫もしてる。
 いざという時は核石だけのパターンもある。
 しかも、これは威力の底上げのためにそれはもう尖らせに尖らせた。

 そんなことを説明していると、至近距離で撃たれた木は横半分ほど抉られ、目に見える範囲ギリギリで減速する。

「よっっし!よっし!完成、とうとう完成した!やった、銃だぁぁぁぁ!」
その日、外から新種の魔物の咆哮が聞こえたと街で小さなパニックが引き起こされたが、私はそんなことは知らない。

 将来的には魔力を流すだけで発射まで至れるようにしたいけど、流石に無理。技術的にもね。

 それから私は音を気にして少し離れた場所で3個ほどマガジンを使い切り、感じたことがあった。

「私、流石に下手すぎない?」
右手に掴まれた銃をひと睨みし、大きなため息を吐く。

「予測発射とかつける?それとも……あ、これいいかも。」
そんな風に銃の下手さをカバーする方法を探りつつ、陽の落ちた森の道を歩く。

———————————————————————

 はい、武器は銃でした。
 威力速度共に申し分なし。技術、最悪。

 アニメのように最初からなぜかうまく使えるとかありません。銃の扱い、全くできません。

 まぁ、一瞬でそれを乗り越える方法を見つけるんですけどね……

 ほとんど答えですけど、ヒントは「空間伸縮」
 次回も執筆、頑張ります。
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