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8章 魔法少女と人魔戦争

244話 魔法少女は捕まえる

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 テレレッテッテッテッテ、テレレッテッテッテッテ~♫

 どうも皆さん初めまして。魔法少女クッキングの時間です。
 今から、脈を使って怪獣王を調理していきたいと思います。

 初っ端からネタ全開の思考で、シリアスな雰囲気を出していたのが台無しとなる。

 レシピは簡単。まず、各種魔法と脈を用意します。脈は、その場で調達するのが良いでしょう。
 魔法で何度か締めた後、脈を絞って力を捻り出しましょう。

 そうすれば、永久魔法結界の出来上がりです。どうです?簡単でしょう。そこの奥様、やってm……

「って、できるかい!」
自分の脳内に鋭いツッコミを入れる。自分自身で漫才をするのは少し虚しいけど、ツッコミ不在なのはよくない。

 私が言うのも何だけどね。

「あれを脈で負けるくらい弱らせる?無理無理。サメを素手で倒すくらい無理。それか、『やったか!?』で敵を倒すくらい無理。お、これ上手くない?」
とても分かりやすい例えに、自らを称賛する。

 私だってやる時はやるんだよ。魔法少女を舐めないでいただきたい。

 即調子に乗る軽さは、とても私らしい。

「グアオォォォォォォォォォッ!」
脳天に雷を流された痛みはまだ続くようで、足踏みをして地面をドタドタと揺らしていた。

 こんな感じでさ。弱らせるどころか、余計難しい気がするんけど。
 大阪のおばちゃんの飴玉で泣き止まないかな?

 つまらないネタを挟んで休憩とし、そろそろしっかりと相手することにする。

 今まではちゃんとしてなかったってわけじゃないよ?そこんところ、オーケー?

「ウィンドサークル!」
手のひらのサークルから小規模の風の球(螺○丸みたいなやつ)が出現し、揺れる地面に向かって投げる。

 勢い結構あるね…、抑え込まないと自分で吹き飛ばされちゃう。

「地龍魔法。岩槍を硬く、硬く。純粋な魔力だけで、核石を再現……」
砂埃が舞い散り、その影に隠れながら魔龍の足元をウロチョロと動き回る。その表情は焦り半分、期待半分。

 うっ、どっと疲れた……
 でも、核石もどき20個は作成完了。あとはこれを、ばら撒くだけ。

 疲労困憊の私の足腰はもうとっくに悲鳴を上げてるけど、拳で数度叩いて無理矢理動かす。

「オッケー。まだ動く。まだ動ける。空力は脈のために温存しておきたいから使えないし、あとは私の実力ってところかな。」
魔導法で線を繋ぎ、空中で浮かせながら呟く。

 私の必殺技。まぁ即席なんだけど。動きを止めるくらいなら何とかなる。

 未だグワァグワァうるさい魔龍のを一瞥し、投擲の魔法でそれぞれを狙った位置に投げ飛ばす。

「当たるな、当たるな、当たるな……」
ただただ魔龍に当たらないように願い、最後の1球(?)を投げ終えた時に、さっきと同じようにファイアサークルを手に作る。

「あっつ、外も手も熱い……炎魔法って、結構命懸け?」
ゲームのようにはいかないなぁ、と嘆き、重力に負けて落ちてきた核石もどきにそれをぶつけた。その炎は魔力たっぷりの核石に絡まるようにして燃え始め、線で繋がった他の核石もどきにも燃え移る。

 よし、そのまま行けー。今のところは成功してる!そのまま、そのまま。

 基本無神論者な私だけど、こういう咄嗟の時は祈る。テストの時とか、イベントの抽選とか。

 無駄な思考に時間を費やしていると、いつの間にか全ての核石が炎に包まれ、魔龍の体に張り付いていた。

「脈の捩れだけじゃ限界があるんだから、早く倒れてよ。」
願望を漏らし、小麦粉を取り出す。

 進化した小麦粉!
 小麦しか作れなかった私が、成長したことによって粉にすることができた。しかも全粒粉!

 この全粒粉の粉を同じく投擲で炎に投げ入れ、いつも通りの爆発を起こす。

 いや、燃えてる中で爆発させちゃダメじゃない?とも思わないでもないけど、倒すのには手っ取り早い。
 森の方はもう諦めてるし。

「ギュガァァァァァァァァッッ!」

「はいはい、静かに。」
爆風でコートが靡き、それを抑えながら魔龍が弱っていくのを眺める。

 そろそろ本番かな。脈探知っと。

 辺りにある脈の位置を把握し、そのうちの1本を握る。

「キューはちゃんと避難できてるかな?できたたらいいけど。」

「キューーーーーーウッ!」

「え!?キュー?」
声の主を探って首を捻ると、そこには堂々としたキューがいた。

 キリッじゃないよ、キリッ、じゃ。

 そんなツッコミを入れていると、同じように叫びながらジャンプをしてくる。

「ちょちょ!こないで、危ないって!」
そんな私の心配をよそに、自信満々に飛び込む。飛び込みの選手でもそんな顔はしない。

「キュー!」
私の肩に綺麗に着地すると、ふふんと効果音の付きそうなポーズ?になり、敵の方を見る。

 結局何がしたかったの……

「ん?……脈探知。」
ふと疑問に思い、探知を発動させた。すると、この辺りの脈が全てキューに繋がっていた。

「え?」
弱っていく魔龍、惚ける私、自信たっぷりのキュー。謎構図が出来上がる。

 この子、働きすぎじゃない?労働基準法外れてない?大丈夫?

 そこが心配になるけど、一旦置いておこう。流石は聖獣というわけだね。

「ありがとう。じゃ、行ってくる。」
キューから大量の脈を受け取り、何度か引っ張り感触を確かめてから神速を使う。

 ぐっ、重っ……どうやってあの小さい体でこれ持ってきたんだろう。

 疑問は絶えないけど、今は進むしかない。

「そのまま封じ込められてくれるとありがたいなっ!」
魔龍を1周し、脈で巻きつける。その間も唸り声を上げるだけで、弱って動けそうもない。

 あとは全部埋めて、っと。

 数本だけを残し、その場を少し離れる。

「魔力を注ぎ込んだら完成!」
今体内にあるだけの魔力をほとんど全てを注ぐ。脈は鼓動し、活動を始めた。

 脈が循環するのを感じる。ようやく完成、やった。

 その脈は、次の流れる道を探そうと魔龍を通り、また戻ってくる。
 あとひと踏ん張りで終わると思うと、自然と力が入る。

「残したこれをさっきの脈の方に繋げれば、向こうにも力はいく。これで永久結界完成だね。」
空力の力で魔力を隠蔽し、魔物は侵入できなくなる。

 あとはこれをどうするかだけど……

「キュッ!」
私の方に近づいてきたキューが、地面を指す。

 あ、そうか。洞窟作るんだった。

「でももう魔力が残ってないんだよね……」
「キューッ!」
更に向こうを指すキュー。そこは、大木が爆発した方向だった。

 ……?向こうに何かあるのかな。焼け跡しかない気がするけど。

 ふらつく足でキューを拾い、あの場所へと向かった。

「都合良すぎない?」
到着した際に目にしたものは、巨大な穴だった。

「ま、利用できるならそうしよう。」
ご都合がどうのとかは、疲労の前では考えることはできない。ただ、そこに穴があるという事実だけを見て、そこに脈巻龍を落とした。

 このままだと丸見え。うーん、どうするか。

 ……そうだ。

「岩槍。」
巨大な岩槍を上からかぶせ、見えなくする。

「これで、終わっ……」

「キュッ!?」
キューが何か驚いたような声を発した。でも、その原因を知ることはできず、意識は無くなる。

 安心と達成感で一気に気が緩み、私は寝てしまった。魔力がなかったってのもそうだけど、1番は疲労だ。

 おやすみ、私。よく頑張った、偉いぞ私。

 焼け野原の中、夢の私は私を褒めた。

———————————————————————

 無理矢理詰め込んだので急ピッチになりましたね。すいません。

 話の都合上、分けると微妙な文字量なりそうだったので1話にまとめたんですが、長くてももっと書くべきだった気が……いえ、何でもありません。
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