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7章 魔法少女と過去の街
225話 魔法少女は竜を見つける
しおりを挟む刀を何度も振るい、時にはカキッ!と音かが鳴る。それでも最終的には切断音がして、地面に魔物が事切れたように倒れる。
これを何回も何回も繰り返し、地面には大量の返り血が飛散していた。
「ふぅー、こんくらいでいいかな?」
刀についた血を振るって落とし、後ろを一瞥する。
全員唖然としてる。あの時の唖然3兄弟の100人バージョン的な。
私からすると、自分自身が悪役のようにしか見えないんだけど。
いるじゃん。敵の幹部キャラとかで、シュッと敵を倒して血を落とすあれ。
今の私がやってもただの暗殺者にしかならないんだけど。
「討伐組合、だっけ?そろそろ撤退してもいいんじゃないの?」
刀を鞘に収め、キューをコートに隠しながらそう聞く。
あの人、最初に団長とか呼ばれてた人かな?誰でもいいけど。
そんなことより今日の晩御飯についてを考えて、ドン引きのみんなのところに戻る。
別にそこまで引かなくても……とか、呑気なことを思いながら。
その刹那。
「ぎゃあぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
地獄からの叫び声のような、悲痛な声が森の奥から聞こえてくる。
「なんだっ!」
「また化け物か……」
「おい、化け物ならそこにいるぞ。」
「あの声、ビルグじゃないか?」
「誰だ?」
「ほら、筋肉バカのだよ。」
「あぁ、あれか。」
「それにしても、なんだ?魔物にでも襲われたか?」
「その程度で叫ぶやつではないだろ。」
「そうだったか?記憶の天才がそういうなら、まぁそうなんだろうな。」
ざわざわと辺りがうるさくなり、次第に収拾がつかなくなってき始めてきた。
殺されたやら食われたやら、なんやかんや言っている。それが更に改変され、魔物化したとかなんとか寝物語のようなことを言い出す。
「もう、私が見に行くから……そこの団長、だっけ?ついてきて。私がなんとかするから。」
そう宣言すると、なんとか騒ぎは落ち着きを取り戻す。
それでも騒ぐ人は騒ぐ。
「行くよ。」
そんな馬鹿達は無視して、声のする方向に団長を引きずっていく。
こっちはお腹減ってるんだから、早く解決させて戻りたいんだって。
だから早くしてほしい。
「……なんであんな弱い人達に討伐させてるの?」
途中、気まずくなったので会話を挟む。
「それが最善だ。」
「それでこれだけの死者負傷者がいたら、魔物討伐の意味無いんじゃないの?」
辺り一面、血に染まった自然を指して言う。
こんな壮絶な景色も、ひと雨降れば消えて無くなるのかな。
そもそも、街を守るためにそれだけ犠牲者出してたら本末転倒じゃない?ここの人に人権はないの?
「仕方ない。仕方、ないんだ。」
それ以上は頑なに言葉を発そうとしない。悔しそうに唇を噛むだけで。
そこまで辛そうな顔されると、逆に話しかけづらい……
鈍感な私でも気を使えるほど、目に見えて疲弊しているように見える。
何か、魔物を討伐しなきゃいけない理由でもあるのか、と少し考えた。
「2つだけ聞いていい?……魔物を討伐する理由と、討伐組合の存在意義。それを教えて。」
「…………だから、これ以上は……っ!?」
さっきと同じ顔で話そうとしない団長。そして、変化が2つ訪れる。
まず、団長の後ろの木が折れた。
そして、団長が空に吹き飛んだ。
ゆっくりと、スローモーションのように再生され、地面へと吸い込まれ……鈍い音を響かせる。
「団長!」
叫びながら駆け寄ろうとするも、目の前の敵に阻まれた。
「ギュルオォォォォォォォォォ!!」
天にも昇るような高く響く咆哮を轟かせ、空からいくつかの雷が降り注ぐ。
竜……?ひと目見て、そう感じる。
姿はドラ○ンボールの緑の龍みたいな龍を小さくしたような姿で、蒼白くて体のところどころが変形して尖っている。
「鑑定眼。」
右目を鑑定眼に染め、目の前にいる竜のような生物を確認する。
天竜
天を守護する上位の存在。古竜ともなれば、龍の強さをも凌ぐ強さがある。天と雷の竜。
天竜?聞いたことないけど……なんか強そう。この状況で魔法は使えない。だからといって、刀だけで倒せるような存在でもない。
前倒せたのは、レールガンぶち込んだから。今回はそれが禁止。
そして、使えるものは残り1つ。
「……使うしか、ないよね。」
少し不安を持ちつつ、そう決心する。
冷や汗が垂れるこの状況で、四の五の言ってられない。
使おう、空力。
魔導法を魔力と繋げ、波長を合わせる。周りの魔力に干渉できるくらいまで、自身の魔力を空気中に溶かす。
そこまで出来たら、あとは操るだけ。どんな力でも自分の力として扱える。
何回も試したけど、この方法が1番しっくりきた。
「誰の目があるか分からない状況って、怖いね。」
この状況でもそんな呟きをし、天竜の動きを見定める。
空力って慣れてないし、こっちから仕掛けて負けてもなんか嫌だからね。こういうのは攻撃パターンを知るべきなんだよ。
鞘にしまった刀を取り出し、腰を低めて構える。
「ギュオォォォォォォォォォ!!」
天竜のその咆哮が戦闘の合図となり、私と天竜の頭がぶつかり合った。
———————————————————————
今回、短いですね。
話変わりますが、もう225話。いつ終わるんでしょうかね。まだ倍近くは行く予感がします。
どれだけ拙い文章でも、終わらせるまではします。…‥頑張ります。
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