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7章 魔法少女と過去の街

223話 魔法少女と討伐組合

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 翌日。
 私は昨日の夜に東の方角に見つけた、謎の建物へ向かった。

「っつつぅ………直寝するんじゃなかった……」
私は腰をさすりながら、昨日の記憶を頼りに歩を進めていた。

 確かこの辺で変なのに襲われたんだよね。また襲われなければいいんだけど。主に、向こうの命が危ないからね。
 私、手加減とか苦手だからね。もし変なやつ来たら、容赦なく殴るよ。

 キューを片手にそう決意すると、なぜか目の前に砂が迫っていた。

「へぶっ……っ!」
勢いよく音を立て、鼻から思いっきりぶつかる。

 いったぁー!鼻、鼻!鼻はダメだって!

 あたふたと慌て、なんとか立ち上がって鼻を押さえる。

「ヒール…………ふぅ、なんとか治った。」
軽く涙目になって呟く。

 状況を確認しよう。うん、多分私は転んだ。それは分かるけど、どうして?

 うーむ、と頭を捻っていると、ふと地面に目が入った。そこにあったのは、見事に体がくの字に曲がった男がいた。

「あ、これ。昨日吹っ飛ばした男じゃん。」
自業自得すぎて、自分自身に呆れる。

 怒りの矛先が分からない……

 とりあえずキューを撫で、気を落ち着けつつ建物へと向かい直す。

「それにしても、廃れてるね……」

 逆にどうしたらあんな平和な街が作れるか、疑問すら湧き出でくるよ。

「もうちょっと先だったような……」
目を細めて少し先を見ると、それらしき建物が見える。円形で少し大きく、武装した人が入るのが見えた。

 ギルド発見?だとしたら嬉しい限りだけど、まぁまずは行ってみないと始まらないよね。

 そういう考えのもと、その建物に近づいてみる。

「おい、ここはお前のようなガキが近づくような場所じゃない。帰るんだな。」
「こんな子供相手に絡むな。羽虫程度、無視しておけ。」
なんかムカつくことを言う人達が、私の前に立ち塞がって言い放った。

 はぁ?何この人。

 というかさ、なんでこういうところでは毎回絡まれないといけないわけ?
 おかしくない?何この恒例行事。

 でも慣れないんだよね、これが。うざいものはうざい。

「私、こう見えても強いけど?」
「どうやって戦うんだよ、その細い体でよ!」
豪快に笑う男に腹パンKOしたいけど、グッと堪える。

 さすが大人な私。戦争中だからと言って器の小さい大人とは違うんだよ。

「ま、信じなくてもいいよ。私はただここを見に来ただけだから。」
「ははっ!意地張ってくたばるなよ。」

「おい、待て。こいつ、昨日の……」
「本当か?記憶の天才が言うなら本当なんだろうけどよ……」
2人がこそこそと話し出すので、私は待ちきれずに建物に入ろうとしたところ……止められはしなかった。

 そこは流れ的に止める感じだったことない?
 で、でも、変なことに巻き込まれずに済んでよかった……のかな。

「今日も討伐に行くぞ!化け物どもを排除しろ!」

「「「「おぉぉぉぉぉぉぉ!!」」」」
むさ苦しい空間に、鼻腔を突き刺すキツイ汗の匂いと雄叫びが充満する。

「うっ、何これ。」
鼻を摘み、キューを見る。さると、キューも嫌がってたので鼻?を押さえてあげる。

 何この数の人達。全員武装して、武器を構えてる。って言うことは冒険者?でもそれにしては品性のかけらもない。

「我々討伐組合の力量を、本隊に知らしめてやれぇぇ!!」
「「「「おぉぉぉぉぉぉ!!」」」」
全員の魂が共鳴するように叫び、武器を掲げる。

「よし!全員出発だ!俺に続けぇぇい!」
「「「「押ぉぉ忍!団長!」」」」
勢いよく扉が開かれ、ここにいた全員が駆けだす。当然そこにいた私も連れて行かれ、巻き込まれながら外に連れ出されてしまった。

 え、ちょっ!え?いや、やめ……
 ……もう、いいや。どうとでもなればいい。その時はその時。未来の私に任せよう。

 魔物討伐くらいなら、私も協力しよう。

 私が諦めて数分後、ようやく人波から離れられて、木の根元でひと休憩していた。

「血の匂い、咆哮、叫び声。人も相当数やられてるね。この人数はどう呼んだんだろう?毎回結構犠牲はあるはずだけど。」
「キュキュ~!」
そんな私の苦労もよそに、キューは木の上で走り回って遊んでいる。

 はぁー、私も討伐しますか。

 そう決意し、立ち上がった。

「おい女。どうやって生きて戻ってきた。」
突然そんな声が頭上から聞こえてくる。

「……今度は何?」
非常にめんどくさいという気持ちを顔に出し、呟くように尋ねる。

 これってさっき絡んできた人だよね。何回絡んで来るの。

「そんなこと言っても意味はない。順序を説明しろ。覚えてるか?昨日、お前は5匹の魔物に囲まれた。そこからどうやって抜け出したかを聞いてるんだ。」
もう1人男がやってきて、そんな説明をされる。

 えっと…………あ、逃げられたやつか。

「まって。そっちって、逃げた騎士もどき?」
「もどきってなんだよ。俺たちは討伐組合の一員だ。」

「そこじゃない。逃げたよね、助けに来たのに。礼のひとつもよこさずに、私に魔物押し付けて逃げたよね?」
捲し立てるような早口で問い詰めるも、知らぬ存ぜぬを突き通される。

 なんなのほんとに。謝罪もなければ礼もない。挙句に絡んできて上から目線で人を弱い者扱い。
 そっちの方が弱いじゃん!

「待て。だから礼として情報を渡してやろうと思ってる。なんでも言え。」
上から目線が腹立たしいけど、つついても何も出そうにないのでやめておく。

「じゃあ、その討伐組合ってのを詳しく教えて。」
無表情のまま頷き、「説明しよう」の一言で始められた。

「討伐組合とは、本隊である討伐隊のおこぼれだ。実力がない戦える者たちを集め、魔物を数で討伐する。加入者は100人以上団長が指揮をし、マスターと呼ばれる。その上にグランドマスターという両隊の頂点がいるらしいが、なんとも言えない。」
急なマシンガントークに驚きつつ、なんとか頭に入れ込んで眉を曲げて整理する。

 やっぱり、まだ疑問点はある。
 でも整理しきれないから待って…………

 うん、多分大丈夫。

「このくらいだ。」
「結構やられてるみたいだけど、補充とかってどうしてるの?」

「知るか。裏で動いてるんだろ。」
「何を言ってるかさっぱりだったが、こいつが凄いことは分かったな?」

「ワー、スゴイスゴイ。」
適当に返事をし、その場から立ち去ろうとキューを回収して反対に歩き出す。

 情報ももらったことだし、さっさと魔物を殲滅して帰りますか、っと。

 グッと1つ伸びをして、深呼吸で気持ちを整える。

「おい、どこ行くんだ?」

「決まってるでしょ?討伐に行くんだよ。」

 英雄は遅れてやってくるものでしょ。

「そっち、逆だぞ。」
男は自分の後ろを指差して、そう指摘する。

「………………………」
「「……………………」」

 ここで、私含め3人が思ったことを代弁しよう。

 ……締まらねぇ。

———————————————————————

 討伐組合という謎組織に連れられ、討伐をし始めるソラ。行く先々で絡まれるソラは、戦闘中にも絡まれるのか?

 次回、魔法少女は討伐を始める

 デ○エルスタンバイ!(怒られろ)
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