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7章 魔法少女と過去の街

212話 魔法少女は家庭菜園を始める

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 買い物を終えて家に帰ってきた。

 この時私は色々買い忘れがあることに気づいて項垂れていたけど、今はなんとか立ち直っている。

 今は昼食を食べてから、庭に椅子を置いて紅茶を飲んでいた。

 なんかそれっぽいでしょ?アニメとかの令嬢が優雅に飲んでるイメージあるよね。

「主、あそこって何に使う?」
私が優雅ってると、ツララが空いた土地の方を見て聞いてくる。

 あそこ……なんだっけ。あぁそうそう、畑だ。畑作るんだ。

「野菜でも育てようかなって。」
「主、そんなの作れる?」

「まぁ分かんないからやってみようかな、ってくらいだしね。」
残った紅茶を一気に呷り、カップと2つの椅子を収納する。

  うーん、市販の紅茶ってあんまり美味しくないね。不味くはないけど、午後に飲みそうで飲まない紅茶の方が美味しい。

 タピオカ?そんなのだいぶ昔にブーム去ったじゃん。
 美味しいかどうかは飲んだことないから分からないけど。

「んー、暇だしやってみる?」

 ちょうど魔法の1つに農業者ってやつあるし、頑張ればやれるでしょ。
 …‥頑張れば。

 無理だった時は、その場合は放置で。

「あたしもやってみる。」
「ありがと。」
グッと両手を握り、尻尾を振っていた。

 最近は何にでもやるって、熱心に言ってくれる。これも調教効果なんだろうか。
 そんなよく分からないことは置いといて、現実を見よう。

「種はある?あたし、村の畑仕事、手伝ったことある。」
頼りない二の腕に手をポンっと乗せ、自信たっぷりに言った。

「それは頼もしいね。あ、種?一応作れ……あるけど、最初は簡単なミニプッシュとかにしようよ。あとエリッグとか。」

「うん。」
耳もピクピクと動かし、今にも飛び出しそう。

 あ、ちなみに説明。ミニプッシュがミニトマト。エリッグがナス。すごいね、こんなかっこい名前になってるなんて。
 厨二病センスが爆発してるね。

 別に日本語でも自動翻訳で通じるけど、一応覚えておいた。
 お風呂での会話のため、とか?いやそれはまず言葉すら交わせないから無理か。
 まぁほんとに気休め程度。

「道具は…‥作ればいっか。」
それっぽいものをパッと作り、ツララにタオルを渡して首にかけさせる。

 …‥私も、だいぶこの世界に馴染んでるね。
 特に、魔法とかなんの気なしに使ってる。

「主、主!ここがいいと思う!」
少し家から離れた位置まで走っていき、両手をあげる。

「日当たりもいいし……いいんじゃない?」
「やった!」
すると、手に持っていたスコップでそこらじゅうを掘り上げる。

 え、ちょっ、え?何してるの……?

「ツララさーん、何をしてらっしゃるのでしょうか……」
「ん?土を柔らかくしてる。」
そう淡白に答え、あっという間にある程度の広さを掘り終わる。

 すごい体力……
 これがスキルの力。私も側から見たらあんな感じなのかな。

「次、耕す!」
ツララが先導してどんどん下処理が進んでいき、どちらかというと私がサブみたいな感じになっていた。

 これが本場の田舎少女。そもそも田舎少女ってなんだよ。

 結局すごいことに変わりはない。

「主、肥料。」
何肥料がいいか分からないので、取り敢えずロアが追加で買ってきてくれた花用の肥料を取ってくる。

 こういうのって魔力を注いだらなんかいい風になるもんだし、付与させとくのも悪くないかな。

 肥料with魔力付与をツララに渡すと、渋い顔をしていた気がする。

 あれ?やっぱり花用はダメだった?

 ツララには、今度一緒に買いに行こ、とだけ言われ仕事に戻られた。

 イエッサー、ツララ先輩。

「どんどん先輩が増えていく……ネルとかもいずれ先輩になりそうだし。」
という謎の独り言を吐き、畑を眺める。

 このまま自然に身を溶かして眠りたい。最近疲れが異様に残る気がするし、自然と同化して気を鎮めたい。
 今までこんなことなかったのに、異世界パワー恐るべし。

 若干うとうと気味になる。

「主、大体できた。」
いつの間にか寝ていたみたいで、ツララ起こしてくれる。

 ツララぁ……ひんやりしない。氷属性のキャラって大抵ひんやりするじゃん!
 神様!どういう仕様!?

 天から知らないと一言をいただき、暑さを感じながら立ち上がる。

 この世界も夏?に入って、皆んな薄着が多くなってきた。私はそもそもが薄いし、しかも防暖・防寒もあるから関係ないけど。

「ツララ、ほんとに1人で作れたんだ。」
えっへんと胸を張る。褒めて欲しそうにこちらを見ている。

「おー、よしよし。偉い偉い。」
両手でわしゃわしゃと頭を撫で、もうそろそろ家に戻ろう、と言って道具を収納する。

 種は撒かないのかって?さっきツララが言った通り、肥料が足りない。というか無い。
 それでも完成は完成らしいので、本人がそれでいいならいいと思う。

 ……あれ?私の畑だったような……

 私は使えないんだし、使える人に譲ってもいいよね。うん。そうだ。

 こうして私の家庭菜園が幕を開けた。

「主ー、お肉ー!」
「はいはい。今日は色々やってくれたからね。でも野菜も食べるんだよ。」

「うん。」

 ずっとこんな日々でいいと思う。

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 もう1度書いておきます。雪狼族は寿命が人より長く、成長も一緒で遅いです。
 ツララの年齢と性格が合ってなくても、仕方ないんです。(こじつけ」
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