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7章 魔法少女と過去の街

206話 魔法少女は帰宅する

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 それから数日が経った。

 全員無事に宿屋に戻り、そして全員が自身の部屋で丸1日眠り続けた。
 私ももちろん、眠りまくった。

 それでも魔力は前回とはいかず、半分も回復しなかった。
 いと悲し、ってね。

 あれ、上手くない?

 レイティーさんの脱色された髪はそのまま治ることはなく、いつしか綺麗な白髪となっていた。
 それはそれで可愛いけどね。

 これから少しの間は、私がボケて楽しませてあげないとね。
 ネタが分かる人はいないんだけどね。

『やっはろー、レイティーさん。』
「なによ?そもそもなに?その意味分からない謎の言語。」

「あちゃ?日本語がでちった。てへっ。」
「……本当に何を言ってるの?ソラ。」
マジで呆れられてるので、ネタを一旦やめる。

 日本語を喋れた理由?一瞬魔力供給を切った。
 あの時の倦怠感を再現してみたらなんかいけたんだよね、それが。

「ソラのせいでこんな髪になったんだから、反省くらいしなさいよ。」
小さく微笑みながら、髪を手で透く。

「許してヒヤシンス。」
「なんか今日ふざけすぎじゃない?」
「あれ?バレてた。」
耳の裏を指で掻き、レイティーさんのすぐ隣に座ってみる。

「別に怒ってないわ。私がやったことだもの。ここまでやれとは、ソラは言ってないでしょう?」

「ま、今日帰るからそのつもりで。」
「え、ちょっ……」
バタン、と扉が閉められる。

 そう、私です。……もうネタはお腹いっぱいって?はいはい、分かったよ。

 私は扉を閉めて、他の人達にもこの事を伝えに行った。
 全員、驚いてたよね。


 そして全員を集め、馬車の停留所に戻ってくる。

「お前、本当に見切り発車だな。」
「別にいいでしょ。もう十分でしょ。これから役立たずになるんだから黙ってて。」
そう言いながら、文句を垂れるウェントを馬車に押し込む。

 これも恵理さんのため。別に情があるとかいうわけではないけど、流石に同郷がそう何度も死ぬのは見たくない。

 あの時見た聖剣の人、死体が発見されたって話があった。
 そんなに転生者が死ぬのは、私だって嫌だ。全くの悪人っていうわけではないんだから、酌量の余地はあるずだ。

 少なくとも、私はそう思う。ランクA程度の私が、どれだけ抗議できるか、だけどね。
 マジックガールコンポレーションの権威はどれだけ振るえるんだろうね。

 ま、なんとか頑張りますよ。

「ほら、ツララも行くよ。」
「主の家?」
「そう。私の住んでる街の家に、今から帰るの。向こうには私の友達?知り合い?というか、世話になってる人がいるから、紹介するよ。」
そう説明しつつ、座席に座らせる。人が増えたからか、手狭に感じる。

 これでまた2泊3日の旅。魔力はまだ心許ないし、レイティーさんにこれ以上してもらうのも気がひける。
 これからの冒険者生活に支障をきたすかもしれないし。

 なんとか私1人でやりますか……

 と、思っていた私がいた。

「主、やりたい!」
突然ツララがそんなことを言い出した。物は試しということで、実際にやらせてみると凄いもので、超人体力で疲れないし、獣圧もあって魔物が怯んでる。見たことない魔法まで使い始めて、もうやりたい放題だった。

 これ、ステータスが上がり切ったら私でも相手せるの難しいんじゃない?発想が柔らかい……

 ちなみに、どんな魔法を使ったかと聞いたら聞き覚えのある魔法がほとんどだった。

 要するに、ツララは機転と応用を繰り返してたみたいだ。社長として嬉しい限りだね。

 料理はその分大変だったけど、(現役相撲部の夕食くらい食べてた)まぁ食べ盛り伸び盛りでどんどんこれから身長が伸びるだろう。
 私もまだ後5センチは伸びる予定だし。たくさん食べて運動して、ちゃんと寝ないとね。

 寝る時は大体1人が起きて見張りをし、時間になったら別の人を起こして仮眠して……の繰り返しだけど、寝る時も見張りの時もそばにツララがいて可愛かった記憶がある。
 この可愛さ、ロアとネルにも見てほしい。

 そんなことがあり、もうすぐそこではないけど外壁が見え始めた。久しぶりで懐かしい感覚があるけど、1ヶ月も離れてない。
 感覚とは恐ろしい。

「ツララ、あの街が私達の街だよ。」
「主の街?」
「私の街ではないけど、私の住んでる街だよ。」
頭を撫でながら、窓を覗く。

「ようやく長い旅も終わりだな。」
「あら?アンタは特になにもしてないじゃない。」
「は?それなりの仕事はしたつもりだ。」

「まぁまぁ、喧嘩はやめて下さい。ただでさえ狭いのに、これ以上されたら叩き出しますよ。」
ライらしくない辛辣なセリフに驚き、2人は黙る。

 おぉ。一喝できる男ってすごいね。好きかどうかは別として。

 こんな安いコント(恵理さんコメント)をしてる間に、いつの間にか門が近くになっていて、「おう、嬢ちゃんもお疲れ」と手を振ってくれた。

 優しい門番さんもいるんだねぇ。もう歳なもんで、涙が……
 っていうのは置いといて、この街には優しい人がいっぱいだ。

「あぁ~。あんなきな臭ささ漂う澱んだ空気じゃなくて、平和で満たされた優しい匂いだー。」

「匂いは変わんないだろ。」
「雰囲気ってものがあるでしょ、雰囲気ってものが。」
もうすぐ停車とのことなので、私も一旦落ち着いて座ることにする。

 これはどうでもいいけど話だけど、途中からツララは私の膝へと席が変わった。
 ツララの体はひんやりしてて、気持ちよかったことを覚えてる。

 いつもの停留所に馬車が停められ、この馬車はまた別の依頼で出されることになるだろう。
 ちなみにここに置いてある馬車は、街が依頼を出す時に使うらしい。

 騎士達が使ったり、今回みたいに領主直々だったり、そう言った時に使うらしい。
 御者さん談だ。

 今回1番迷惑をかけたのって、御者さんなんじゃなかろうか。
 特にすることもなく宿屋にほっぽり、馬車を1日中運転する。絶対キツイ。

 今度、お詫びの品でも持ってこう。

「皆さん、停車しました。」
そういうと、ウェントは一目散に馬車を降り、肩をゴキゴキと鳴らしてた。

 この風景を見ると、帰ってきた感がしみじみと感じられる。

 ……なんでだろうね。ギルド裏の小高い丘の頂上付近に、なぜかお家が見える。
 そう、我が家だ。

 ここから見えるんだ。私の家。

———————————————————————

 ステータス

 名前 ツララ
 
 年齢 15歳

 種族 氷狼族 

 レベル 38

 攻撃910   防御530 素早さ700

 魔法力550 魔力520

 装備 魔力増強の指輪 付与の髪留め

 魔法 氷結 氷華 雪礫 氷爪 氷瀑 氷槍
   魔力識別眼 氷結波

 スキル スピード補正 物理上昇
魔法少女の庇護 超人体力 忍耐 獣圧 従順
 立体機動 氷魔法能力上昇

 調教度 レベル8



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