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7章 魔法少女と過去の街

205話 魔法少女は安否確認をする

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 レイティーさんが手を振っていたところへ向かった私は、森の近く入り口辺りを探す。

「あれ?おっかしいな。こっち側だったはずなのに……」
「主、こっち。」
私が迷っていると、ツララがコートを引っ張って指を差す。

 おっ、流石ツララ。私のツララはやっぱり世界1だよ。なんのかは知らないけど。

「分かるの?」
「うん。匂いがする。」
犬の嗅覚は人間の3000倍とか聞くけど、本当にそうなんだ、と感じた。

「ソラ、ツララちゃん……?」
「レイティーさん!?」
いつもとは雰囲気が違って、髪から少し色が抜けていた。

 凄い体調悪そう……っていうか、そういう段階じゃないよね!?
 なにこれ?衰弱死寸前の人って言われても疑えないレベルだよ?

 焦りすぎて、脳内が荒れる。

 私は今魔力無いし……えっと、どうすれば?ん?えーっと、うん。

「大丈夫よ。少し、魔力が無くなっただけだから。」
「……魔力無くなるだけでそんな風になるの?」
「あなた魔法使いでしょ……?経験あるでしょ?」

「あるけど、耐えられるレベルの脱力感と倦怠感だけだよ?今も現在進行形で魔力不足だし。」
千切れかけのフードを揺らしながら、ほらほらと体を晒す。

「ふっ……馬鹿じゃないの?そんなことしても、分からないわよ…………、」
まるでコンセントを抜かれたパソコンのように、レイティーさんの意識がプツッと切れる。安らかな顔で眠る姿から、安堵の気持ちが窺える。

 このままだとただの綺麗なお姉さんなのにね。いや、性格が悪いとかじゃないよ?口調が姐さんチックというかなんと言うか。
 まぁいいや。

「ねぇツララ。レイティーさんお願いできる?宿屋まで運ぶの、頼んでいい?」
隣をピッタリついてくるツララに、仕事を与えてみる。

「……やる!」
前のめりになって、鼻息をふんすっと出しながら言う。やる気があっていいことだ。

 もうツララは、我がマジックガールコンポレーションの従順なる社員だね。
 直訳でダサいって?黙っときなさい。

「ありがと。また後で合流しよう。」
頭にトントンと手を置いて、私はウェント達を探すことにした。

 で、あの人達はほんとどこに行ってんの?
 返事の1つでも返してくれないと分からないよー!

「ちょっとー、探すの手間だから自分で出てきてよー。私も疲れてるんだから、早くー。」
適当に3人を探しつつ、ため息を吐いて今度は休憩できるところを探した。

 私の働きを考えたら……大丈夫だよね?

「おい……声聞いたから出てきてやったのに、なんで休んでるんだよ……」
「あ、ウェント。いたんだ。」

「いたんだ、じゃない。いたんだ、じゃ。」
呆れたような顔で私を見てくるので、私も同じような目で見る。

「見た感じ1人で歩けそうだね。宿に戻っていいよ。」
「心配ぐらいしてくれよ……」

「じゃ、あとの2人も探してくるから。ウェントはなんとかして。」
ウェントを通り過ぎ、手を後ろに振る。

 感謝はしてるけど、こんなあちこちで倒れられてとね。こっちの身にもなってほしいよ。

 え?こんな危険な仕事させられる向こうの身にもなれって?
 私はめんどくさいほう選んであげたんだから、そこは感謝してほしいよ。

「危ない、ところだった。」
「もう十分危ない状況ですよ!」
私が歩いてると、そんな声が聞こえてきた。

 ライとトイン、なんか話してるけど何話してるんだろう。

 チラッと横目で見てみると、全身傷だらけのトインが、ライに薬を塗られている場面だった。

 ……いや、ね?私だって感謝がないわけではないですし、むしろどんどん感謝してますし?
 こんなね?ことになって申し訳ないとも思ってますとも。

 頭で言い訳をして、正当性を保つ。

「お、おーい?大丈夫じゃなさそうだけど大丈夫?」
日本語、じゃなくて異世界語がおかしくなったけど、今は気にしてられない。

「生きていたんですか?良かったです。」
こっちの声には気にも止めず、治療を施し続ける。なんかできる男っぽくてかっこいい。

「面目ない。間違いを起こし、少し手間取った。」
「いや、死者が出てないだけマシだよ。」
はい水、と水の入ったコップを差し出す。

「悪い。」
受け取ると、トインはごくごくと喉を鳴らして水を一気に呷る。

 おぉ、豪快な飲みっぷり。ただの水だけど。
 そう、我がマジックガールコンポ………

「魔法、いただけますか?」
ライの声で、決め台詞が途中で切られた。

「………ごめん、魔力無いから無理。」
手を両手に上げ、満身創痍であることを伝える。

 といっても、大した外傷はないけど。でもまぁ、痛いものは痛い。

「レイティーさんとウェントは先に宿に戻ってるから、終わり次第2人も宿に戻ってね。私は今、眠気というアッパーと、倦怠感というボディブローと闘ってるから、帰らせてもらうよ。」
そうして私は、多少ふらつきながら目的地である宿屋へ向かう。

 やばい、今まで戦ってきたどの敵よりも強いかもしれない……

  だるさと眠さを兼ね備えた、見えざる敵。
 実態がないから余計めんどくさい。レッ○ブルが翼でも授けてくれたらいいのに。

 眠くて正常に働いていない頭で、おかしい思考送り返しながら宿屋を目指した。

「あー、ねむい……」
今日の最後の一言だった。

———————————————————————

 ステータス

 名前 ツララ
 
 年齢 15歳

 種族 氷狼族 

 レベル 28

 攻撃620   防御390 素早さ500

 魔法力320 魔力350

 装備 魔力増強の指輪 付与の髪留め

 魔法 氷結 氷華 雪礫 氷爪 氷瀑 氷槍
魔力識別眼

 スキル スピード補正 物理上昇
魔法少女の庇護 超人体力 忍耐 獣圧 従順

 調教度 レベル7
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