上 下
197 / 681
6章 魔法少女と奴隷商の国

188話 魔法少女は死にかける

しおりを挟む

「ほら、この服とかよくない?」
「動きにくい。」

「女の子なんだから、そんなこと気にしなくていいんだよ。ほら、こっちの白と水色のとか。」
「マシになった。」

「みんなマシって言葉好きすぎじゃない?」

 何をしてるかって?見て分かる通り、服を選んでるんだよ。
 可愛い服選んであげないと。

「核石が編み込んで動きやすくなったさっきのやつ。少し高いけど、まぁいいや。」

「……いいんじゃない。でも、いいの?」
そっぽを向きながら、小さく呟いた。

 雪、獣人ときたら白と水色の組み合わせが映える。まぁ、私にはファッションセンスは無いから知らないけど。

「ツララが気に入るなら、家くらいは買うよ。」
「いらない。」

 お会計は銀貨3枚と小銀貨5枚。うん、高い。3万5千円と、払いますけども。

「似合う似合う、可愛いよ。」
「……ありがと。」
少し紅潮させ、俯きながらいう様を見て、写真を構えたくなる。

 くっ、携帯、スマホ……PCで編集して背景画にしたいっ!
 おっと、いけないいけない。親バカならぬ主バカになってた。

「今の、どっちに対して?」
「むっ!」
「ごめんごめん、どういたしまして。」
引っかきに来るツララを静止しつつ、街道を通る。

「主、おかしい。」
「いきなりの罵倒!?」

「違う、周り。」
指を差し、それに従ってぐるっと見回す。

 ……確かに、人がいない?人払いされてる。ここまで自然にできるってことは……

 万能感知。……人の反応が37!?

「ツララ、しゃがんで!」
私はツララを覆うようにして庇い、その瞬間に背中に痛みが走る。

「……ッ!?」
「主!」
目を見開くツララ。氷みたいな綺麗な色。それを見て、微笑みを浮かべた。

 主、だって。生きててよかった。

「大丈夫。こんくらいでやられてちゃ、生きてけないよ。」
なんでダメージを食らわせられたかは分からないけど、人の反応が方向に目を向ける。

 ツララはどうしよう。逃げさせた方が得策かな。

「ツララは逃げて。できれば、レイティーさん達に知らせてくれればいいよ。」
そう言った瞬間、魔力付与で足に魔力を付与させる。

「走って!」
ツララを突き飛ばし、煙幕代わりにファイボルトを地面に射出した。

 さすがにこれで追いかけるなんてしないと……思う。
 ごめん、西商の人。

「誰か知らないけど、東商の人だよね?死にたいってことでオーケー?」

 そうときたら、サーチアンドデストロイ。隠れてる敵を、殺すだけ。

 気配察知を極限まで練って、全ての感覚を研ぎ澄ませ。
 万能感知、龍でも神でも、今になってはどうでもいい。借りられる力は全部借りる。
 技術は、全てステータスとスキルで賄う。

「連投とか聞いてないっ!」
37人からのナイフの連投に翻弄されつつ、気配を散らされないよう空を飛ぶ。

 2人接近、保険に5人。分かる、手に取るようにね。

 万属剣を5本、そして暗黒弓を10発用意。

「発射!」
無言の暗殺者の達は散り散りに動き、全てを避け切ったと同時に、神速で捉える。

 まずは1人。

 ステッキを思いっきり振り下ろすも、小刀で受け止められる。

「そのくらいの実力はあるってこと?」
何度か鍔迫り合いを繰り広げ、足を払ったら簡単に転けた。

 ま、何かされたら厄介だからぶっ刺しとこ。

 万属剣を2本肩口に突き刺し、ファイボルトでさよならバイバイする。

「あと36人とか、不可能でしょ。」
冷や汗が垂れるのを感じ、コートの袖で拭う。

 多分、この戦いは確実に負ける。
 いくら平和ボケした日本人といえど、もうこの世界に2、3ヶ月近くいる。
 誰が、どのくらい強いかは分かるつもり。

 単純の強さは私に軍配が上がる。でも、技術に差がありすぎる。

 ラッ○ーマンみたいに、腕力とかじゃなくて幸運だけで勝つみたいに、別のところで差が開きまくってる。

「あと1対36とか卑怯だよね?」
敵に対しての愚痴なんて意味はないので、すぐに構を戻して攻撃を感知する。

 さっきと位置が全部変わってる?
 こんなぐるぐる動かれたら……やばっ、耐えきれないかも……

「いっ……ちょ、まっ!?」
10人の襲撃と26人の援護攻撃により、完全に動きが制限される。

 当たってでも逃げろって?無理だよ!いくらステータスが高くとも、痛いものは痛い!

「………ッ!!」
結局、高2じゃこんな戦いで頭なんて回るわけがない。何本ものナイフに突き刺され、斬られ蹴飛ばされ……

 あ、これダメなやつだ。神様とか地龍とかとは違うヤバさを感じる。
 なんか、こう……死ぬより酷いことが待ってそう。

 暗殺者、マジパない。

 とかほざいてる場合じゃないよっ!マジで対策とらないと、本気と書いてマジで考えないと。

 気配が近づいてくる。
 でも、分かってても動けないから意味がない。

 え、待って待って待って。その手に持っているこの世界に合わない物体はなんですか?その黒光りしたライフル、どこから持って来ましたか?

 というか暗殺者にライフルとか、軍人に日本刀くらい合わないよ?

 頭の中はパーティーレベルでうるさいのに、いざ声を出そうとしても全く出ない。

 血の出し過ぎ、久々の痛み、喉でも斬られた?

 多分色々混ざってこうなってる。

 もう暗殺者達とは目と鼻の先、ライフルを構える者、小刀を振り下ろそうとする者、その姿を見て私は目を閉じられた。
 意識がシャットダウンされる。

 起きた頃には、天国だね。

———————————————————————

 魔法少女、死亡……?

 次回からは、奴隷少女ツララでお送りいたします。(大嘘)
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

イラついた俺は強奪スキルで神からスキルを奪うことにしました。神の力で最強に・・・(旧:学園最強に・・・)

こたろう文庫
ファンタジー
カクヨムにて日間・週間共に総合ランキング1位! 死神が間違えたせいで俺は死んだらしい。俺にそう説明する神は何かと俺をイラつかせる。異世界に転生させるからスキルを選ぶように言われたので、神にイラついていた俺は1回しか使えない強奪スキルを神相手に使ってやった。 閑散とした村に子供として転生した為、強奪したスキルのチート度合いがわからず、学校に入学後も無自覚のまま周りを振り回す僕の話 2作目になります。 まだ読まれてない方はこちらもよろしくおねがいします。 「クラス転移から逃げ出したイジメられっ子、女神に頼まれ渋々異世界転移するが職業[逃亡者]が無能だと処刑される」

幼馴染達と一緒に異世界召喚、だけど僕の授かったスキルは役に立つ物なのかな?

アノマロカリス
ファンタジー
よくある話の異世界召喚。 ネット小説や歴史の英雄話好きの高校生の洲河 慱(すが だん) いつものように幼馴染達と学校帰りに公園で雑談していると突然魔法陣が現れて光に包まれて… 幼馴染達と一緒に救世主召喚でテルシア王国に召喚され、幼馴染達は素晴らしいジョブとスキルを手に入れたのに僕のは何だこれ? 王宮からはハズレと言われて追い出されそうになるが、幼馴染達は庇ってくれた。 だけど、夢にみた迄の異世界… 慱は幼馴染達とは別に行動する事にした。 自分のスキルを駆使して冒険する、魔物と魔法が存在する異世界ファンタジー。 現在書籍化されている… 「魔境育ちの全能冒険者は好き勝手に生きる!〜追い出した癖クセに戻って来いだと?そんなの知るか‼︎〜」 の100年前の物語です。 リュカが憧れる英雄ダン・スーガーの物語。 そして、コミカライズ内で登場する「僕スキなのか…」がこの作品です。 その作品の【改訂版】です。 全く同じな部分もあれば、新たなストーリーも追加されています。 今回のHOTランキングでは最高5位かな? 応援有り難う御座います。

外れスキル?だが最強だ ~不人気な土属性でも地球の知識で無双する~

海道一人
ファンタジー
俺は地球という異世界に転移し、六年後に元の世界へと戻ってきた。 地球は魔法が使えないかわりに科学という知識が発展していた。 俺が元の世界に戻ってきた時に身につけた特殊スキルはよりにもよって一番不人気の土属性だった。 だけど悔しくはない。 何故なら地球にいた六年間の間に身につけた知識がある。 そしてあらゆる物質を操れる土属性こそが最強だと知っているからだ。 ひょんなことから小さな村を襲ってきた山賊を土属性の力と地球の知識で討伐した俺はフィルド王国の調査隊長をしているアマーリアという女騎士と知り合うことになった。 アマーリアの協力もあってフィルド王国の首都ゴルドで暮らせるようになった俺は王国の陰で蠢く陰謀に巻き込まれていく。 フィルド王国を守るための俺の戦いが始まろうとしていた。 ※この小説は小説家になろうとカクヨムにも投稿しています

異世界に召喚されたけど、聖女じゃないから用はない? それじゃあ、好き勝手させてもらいます!

明衣令央
ファンタジー
 糸井織絵は、ある日、オブルリヒト王国が行った聖女召喚の儀に巻き込まれ、異世界ルリアルークへと飛ばされてしまう。  一緒に召喚された、若く美しい女が聖女――織絵は召喚の儀に巻き込まれた年増の豚女として不遇な扱いを受けたが、元スマホケースのハリネズミのぬいぐるみであるサーチートと共に、オブルリヒト王女ユリアナに保護され、聖女の力を開花させる。  だが、オブルリヒト王国の王子ジュニアスは、追い出した織絵にも聖女の可能性があるとして、織絵を連れ戻しに来た。  そして、異世界転移状態から正式に異世界転生した織絵は、若く美しい姿へと生まれ変わる。  この物語は、聖女召喚の儀に巻き込まれ、異世界転移後、新たに転生した一人の元おばさんの聖女が、相棒の元スマホケースのハリネズミと楽しく無双していく、恋と冒険の物語。 2022.9.7 話が少し進みましたので、内容紹介を変更しました。その都度変更していきます。

いるだけ迷惑な最強勇者 〜ハズレスキル『味方弱化』が邪魔だと追い出されたので、この異世界で好き勝手させてもらいます!〜

束音ツムギ
ファンタジー
【完結保証!】  ——気づけば、クラスごと異世界に召喚されていた。  そんなクラスの中でも目立たない、ごく普通の男子『梅屋正紀』も勇者として召喚されたのだが、《味方弱化》という、周囲の味方の能力値を下げてしまうデメリットしかないハズレスキルを引いてしまう。  いるだけで迷惑になってしまう正真正銘のハズレスキルを手にした俺は——その場で捨てられてしまう。 「そんなに邪魔なら俺から出ていってやる」と、一人で異世界を旅する事になった俺は、旅の途中で《味方弱化》スキルに隠された効果が、Sランクスキルをも凌駕できるほどの最強の効果であった事を知る。  いるだけで迷惑な最強の勇者『梅屋正紀』が、異世界で無双するッ! 【小説家になろう】【カクヨム】でも連載中です!

『殺す』スキルを授かったけど使えなかったので追放されました。お願いなので静かに暮らさせてください。

晴行
ファンタジー
 ぼっち高校生、冷泉刹華(れいぜい=せつか)は突然クラスごと異世界への召喚に巻き込まれる。スキル付与の儀式で物騒な名前のスキルを授かるも、試したところ大した能力ではないと判明。いじめをするようなクラスメイトに「ビビらせんな」と邪険にされ、そして聖女に「スキル使えないならいらないからどっか行け」と拷問されわずかな金やアイテムすら与えられずに放り出され、着の身着のままで異世界をさまよう羽目になる。しかし路頭に迷う彼はまだ気がついていなかった。自らのスキルのあまりのチートさゆえ、世界のすべてを『殺す』権利を手に入れてしまったことを。不思議なことに自然と集まってくる可愛い女の子たちを襲う、残酷な運命を『殺し』、理不尽に偉ぶった奴らや強大な敵、クラスメイト達を蚊を払うようにあしらう。おかしいな、俺は独りで静かに暮らしたいだけなんだがと思いながら――。

役立たずと言われダンジョンで殺されかけたが、実は最強で万能スキルでした !

本条蒼依
ファンタジー
地球とは違う異世界シンアースでの物語。  主人公マルクは神聖の儀で何にも反応しないスキルを貰い、絶望の淵へと叩き込まれる。 その役に立たないスキルで冒険者になるが、役立たずと言われダンジョンで殺されかけるが、そのスキルは唯一無二の万能スキルだった。  そのスキルで成り上がり、ダンジョンで裏切った人間は落ちぶれざまあ展開。 主人公マルクは、そのスキルで色んなことを解決し幸せになる。  ハーレム要素はしばらくありません。

クラス転移したひきこもり、僕だけシステムがゲームと同じなんですが・・・ログアウトしたら地球に帰れるみたいです

こたろう文庫
ファンタジー
学校をズル休みしてオンラインゲームをプレイするクオンこと斉藤悠人は、登校していなかったのにも関わらずクラス転移させられた。 異世界に来たはずなのに、ステータス画面はさっきやっていたゲームそのもので…。

処理中です...