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5章 魔法少女と魔物襲来

閑話 定期神集会(前編)

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 定期神集会当日。

 ピンクの髪をした、間伸びした声を持つ露出狂———ミュールが、取っ付き難いルー(龍神のことである)を定期神集会に呼んでくれるということで、エディレンはそれに甘えることにした。

 定期神集会への行き道である神の光に照らされた、輝かしい自然があった。

 そして、そこを歩く2人の少年と青年がいた。

 薄いブロンドの髪を持つ少年。
 人神 エディレン・メヴィスである。

 もう片方の、漆黒の髪を持つ気怠げの青年。
 魔神 ヴァルディートである。

「久しぶりの集会だ。500年ぶりだっけ?」

「200年ぶりだよ。ヴァルは眠りこけて来なかっただけ。」
エディレンは呆れながら、ヴァルを睨んだ。

 今日は、実に1000年ぶりのまともな集会なのである。

 今まではルーが出席しずに、丸一日過ぎたり、ヴァルディートが集会中気付かれずに眠り続けてたりと、まともな集会がなかった。

 そのため、これだけしっかりと進められそうな定期神集会は久しぶりであった。

「ヴァルも魔神らしい服装で定期神集会に臨むなんて、久しぶりなんじゃない?」

「魔神Tが1番丁度いいから。それだけの理由だ。めんどくさいから着たく無いんだよ。」
不服そうに自分の服装を見るヴァルディート。

 光の道はもうすぐ途絶え、定期神集会が行われる樹園が現れるはずだ。
 樹園は、森の中にパックリと丸い穴を開けたような形で、椅子と机だけの簡素な作りである。

「イベランの続きやりたいけど、仕方ない。向こうは自動操縦モードに切り替えておいたし、帰ってきてからランキングでも見て本腰入れるか。」
今でもゲームのことを気にかけるヴァルディートに、エディレンの怒りもそろそろ限界に達しそうになっていた。

 その時。

「おーい、暇人さぁーん。こちらですよぉー。」

「だから、誰が暇人だこら。前回の分と合わせて、2回殴らせろ。おい。」
いつの間にかミュールの眼前に移動し、睨みを効かせていた。

 掴む胸ぐらが無いため、睨むしか無いのである。

「ヴァル、出合頭に殺気全開にするな。」
「は?この変態が悪いんだよ。」

「あらあらぁー怖いわぁー。」

「棒読みするな。はぁ……なんでボクが譲歩してやらなきゃならない。」
ミュールを睨みながら、席の1つに座った。

 エディレンはこの状況に深いため息を吐いて、ヴァルディートの隣に座った。

「はぁーい、皆さんお集りになりましたね。」
「……………………」
「さっさと終わらせてよ。」
「喧嘩してないで、早く本題に入って。」
それぞれが口を開き、集会が始まる。

 1番まともなまとめ役、そして露出狂であるミュール。口を開くことが少ない老人、ルー。大人な子供、ヴァルディート。子供な大人、エディレン•メヴィス。

 この個性が偏った神たちが4人集まり、これからまともな話し合いが行うことができるのか。

「それじゃあ、始めましょう?今回の本題はぁ、エディレン君の見たっていう、特例転生者についてだよねぇ?」

「うん、そうだ。」
エディレンはミュールと主導権を交代し、話を始める。

「今回見た特例転生者は2人。1人は空という少女、もう1人は謎の青年だ。」

「………特例が、2人現れたと?」
荘厳な声が響く。龍神、ルーが口を開いたのだ。

「ルーさんも分かるはずだよ。龍が、死んでいるはず。確認すれば分かることだ。」
「……………了解した。」
すぐに口を閉じ、押し黙るルー。

「空は余と直接戦った。そして、1度とはいえ。まだ成長段階で、性格的にも放っておいてもいいだろうね。でも、次の1人だ危険だ。」
ミュールは驚き、ルーは奇妙な物を見るように眉を上げ、ヴァルディートは知らされていたため、反応は無い。

 ミュールはエディレン、彼の実力を知っていた。世界に新たな概念を作り出し、現在では絶滅が危惧されているが、一時期多くの人間が使っていたのは事実だ。
 それなりの魔力も持ち、新しい概念。そう、空力も自由に扱える。

 そんなエディレンの本気の一撃を喰らって息をする人間なんて、いようはずもない。そう思ってきた故の驚きだ。
 それが成長段階で、その上がいるという。
 脳のキャパシティーが驚きで埋まってしまう。

「余の相手では無かった。だが、人間ではあり得ないほどの高威力の魔法を放っていた。それも躊躇うこともなく。そして、強力なスキルも所持し、レベルも高い。」

「創滅神。」
今まで口を噤んでいたヴァルディートが、ようやく口を開いた。

「そう。今ヴァルが言ったように、特例転生者は基本、創滅神が転生させる。なにか、とても厄介なものを生み出したのかもしれない。あの神は。」
次の瞬間、ルーが立ち上がる。

 喋りすらしないルーが、何故に立ち上がったのか。それはすぐ知ることになる。

「……たった今、龍が新たに殺された。過去殺された龍を見ても、その殆どが、能力を余さず抜き取られている。」
明らかにいつもより狼狽しており、その特異さを物語る。

 龍とは、普段から死ぬような生物では無い。それが、この短期間でいくつもの龍が死んだ。それも同じ手口で。

「同一犯を疑うしか無い、ということだ。」
エディレンが、淡々と言葉を発する。

「なら、さっさとその転生者を殺しちゃえばいい。そうすれば、万事解決でしょ?」
呑気に片手を小さく挙げ、嘲笑うような笑みを浮かべていた。

「ダメよぉ、そんなこと。創滅神が、何をするか分からないのにぃ、余計な真似は避けたほうがいいと、ワタクシは思うわよぉ?」
張り付くような声が耳に纏わり付き、嫌そうに手で払っていた。

「……それについての話し合いを、今しているのだ。殺す殺さぬは、また別の問題である。」
もう1度着席し、ヴァルディートにそう言い放つ。それを彼は、不服そうな目で見つめていた。

「この2人をどうするか、それが今回の定期神集会の本題。1番決めたいのは、後者の青年だ。」
エディレンはそう言うと、椅子に腰を下ろした。

 これから、本格的な話し合いが行われる。

 今までは拠点問題や種の絶滅、誕生の操作、明日の食事等、意味がありそうで薄いものが多かった。
 それが、自分の身に何か危険が起こる可能性があるというのだ。
 真面目な話し合いになるのは確実だろう。

 かくして、人神 エディレン•メヴィスを中心として定期神集会が始まった。

———————————————————————

 ようやく開けました、定期神集会。
 ずっと開きたかったのですが、話をどこで区切ってどこで入れ込めばいいか分からなくなったので、最後に入れました。

 作者的には、この四神ししんたちのことは好きなので、バンバン出していきたいと思いつつ、物語の進行上出せずに悲しんでます。

 あ、ソラさんももちろん好きですよ?

ソラ「謎のフォローありがとう。でもいらないよ」
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