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5章 魔法少女と魔物襲来

163話 魔法少女は家を完成させる

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 魔法はイメージ。イメージすれば、大抵のことは出来る。なにせ私は魔法少女だから。

「ま、ほとんど一級建築魔法のお陰だけどね。」

 そんなのはどうでもいい。ガンガン作っていこう。次だ、次ぃ!

 木材は魔法によって移動し、魔力でガッチリ固定されていく。

「いっけー!組み立てろー、そして豪邸を完成させろー!」
早いことで、もう枠組みが出来ていた。

 凄いスピードだ。私の思う通り動く。これが、一級建築魔法、建築に関しては最強だね。

 海沿いにありそうな、横に広めの洋館みたいな形になってる。
 うんうん、想定通り。

 ちゃんと庭の場所も確保できてるし、オールオッケー。

「……私、何してるんだろう。うん、なんもしてない。私の家じゃなくてこれ、神様の家じゃん。」
神様の凄さ加減に、少し悲しくなってきた。

「悲観しても何も変わらないし、運も私のステータスだよね!そうそう、前向きパワー!」
無駄に元気な声を出し、笑顔を取り繕う。

 意味がないことは分かってる。でも、この独り言も十分意味がない。


 そして、その状態のまま数十分間棒立ちしていた。

「出来た。」

 より正確に言うと、出来ちゃった。
 まさか、こんな簡単に家が作れるとは。

「……でもね、うん。いいんだよ?可愛いよ、大きいよ?でもね……」
大きく目を開く。そして、息も吸う。

「なんでピンク色なの!なんで!」
これも、魔法に全て頼りきりだった私への罰なのか、と思ってしまう。

 屋根は淡いピンク、壁は薄ーいピンク。そして、屋根には猫の耳が乗っかっている。

「は?なんでこういうところで魔法少女色出してくるのな?」
頭を押さえながら、唸っている。

 凄いんだよ、とても凄いんだよ?でもやっぱり可愛いんだよ。

 思考停止でやったから、ピンク色強めになった。

「…………………………ん、ぅぅ、……うだうだしてたって、いいことは無いよね。」
世迷言を並べ、長いため息を吐いた。

長い間があったような気もしないでも無いけど、まぁ気のせいだ。

「一応、ね?完成ということで。」
薄く笑って、丘の少し下に降った。家全体を見える角度から、ゆっくりと家を見上げた。

 おぉ。ここから見ると、結構迫力がある。畑は……後々作っていこう。そうしよう。
 耕すのはめんどくさいけど、お米とか栽培したいしね。

 そんなこんなで、思わぬ形ではあるものの、家作りが終わったのであった。

「家作りにそんな時間使ってもしょうがないし、時間は有効活用しないとね。」

 そして新たに始まる、内装作り。

「と、いっても。細かいものはもう作り終わってるし、買い終わってるんだよね。」
頬を掻きながら、がらんどうな空間を見渡す。

 私はあの休日、ただだらけていたわけじゃない。……だらけてた割合も多いけど。
 はっはっはっ、しっかり材料は用意してるんだよ。
 流石私、魔法少女だけはある。

 因果関係が分からない、というツッコミはやめてもらおう。私の心が傷つくから。

「好きなように家具を配置すればいいか。大体誰用とか決めて作ったから、LLDKとその他諸々の部屋を……っと。」
色々配置していく。

 フィリオの家と比べると、だいぶ小さい。だけどそれなりの家になったんじゃない?

 2階の奥側の部屋を私の部屋にして、後の4部屋はロアサキの部屋、ネルの部屋、物置。そして物置という名の収納場所。

「結局物置じゃん。」
脳内のボケに、自然と体がツッコミを入れてしまう。

 違う違う、早く家具置いていかないと。

「えっとー、机はこっち。キッチンはここだから、冷蔵庫と……食器棚も置かないと。ここにはコンロと水道。核石埋めないとなぁ……」
テキパキと仕事をこなす。目を慌ただしく動かし、汗を拭う。

 何故ここまでできるかって?みんな大好きなゲーム、マイ○ラで建築することとかよくあったからだよ。
 こう見えても、美術の評価は5ですから。

 当たり前だけど、誰にもツッコまれない。

「トイレ設置完了、お風呂設置完了!家具小物セット終了!終わったぁー!」
リビングのソファに飛び乗り、寝転んだ。笑顔で前を向くも、私の目には見慣れた液晶画面は映らない。

 テレビ無いと、やっぱり落ち着かないなぁ。電気もエアコンもトイレも風呂も、現代風な洋館を模して作ったけど、(一部を除いて)テレビが無いのは落ち着かない。

「あったって見れないんだけど。」
色々考えてるとどうでも良くなってきたので、あっけらかんとして立ち上がる。

 でもなぁ、何かが決定的に足りない気がする。何か、私に必要な何か……

「そうだ!あれだ!」


そして私は、ダイニングの机に突っ伏していた。

「なに、してんだろう。」
白い机の端には、白い三角形が追加され、その白い三角形の中にはピンクの三角形がある。

 うん、人格乗っ取られてない?確かに外見に反して中身はしょぼめだったよ?うん。

 だけどね、なんでほとんど全ての家具に

「魔法少女七不思議の1つだ。」
頭を抱え、呆然と寝るだけしかできない。

 みんな、残りの不思議も見つけてね。

「……………………………………出来ちゃったものは仕方ない。こうなったら、偶然の産物としてこれを、世に残してやろうじゃないの!」
ステッキを天井に向かって伸ばし、おー!と気合を入れる。

 私の取り柄は適当なところ。ならここは、適当に対処するのが大人魔法少女の対応ってものでしょう。

「見た目も中身も、別にしっかりしたものなんだからどうでもいいよね。」
うんうん、と頷いて、自信をつける。

 みんなも、家を作るときはその場のノリと勢いに任せて作らないようにね。

 今後の教訓となったのであった。

———————————————————————

 ソラさんの適当ぶりが、家作りに支障をきたしました。
 猫邸の完成ですね。畑やお花畑でも作って、人神の花園を再現しましょう!まずはマタタビから!

 ※猫はおりません。
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