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5章 魔法少女と魔物襲来
140話 魔法少女は引かれた
しおりを挟む地獄の時間が流れた。
周りの人が、阿鼻叫喚の地獄絵図とはこのことかと感じるほどのだ。
あのギルマスすらも「その辺にしたらどうだ……?」と声を震わせていた。
今の私はまさしく、全てを破壊する破壊神。
「やめて………やめてくれ………ください。すみません、すみませんでした……力も持たない僕が、聖剣に頼りすぎました……すみません……」
「「「「「「「「「うわぁ。」」」」」」」」」
全員が引く。
そりゃそうだよね。あんなに啖呵切ってた男が、涙と鼻水垂らしながら長すぎる鼻を叩き折られてるんだから。
「あの魔力は……その前に名前なに?」
「は、晴人です。」
「晴人ね。晴人にあの魔力は操れない。だから、聖剣から魔力を漏れ出さないように頑張って。」
「はい!師匠!」
「黙ろうか?」
ステッキを晴人に傾けると、ヒィィッ、っと悲鳴を上げてた。
顔中液体まみれで汚い……水でもぶっかけとこう。そうしよう。
バシャーン、と水を顔面にかけ、ギルマスの元に行く。
「ギルマスー、終わったよー。」
「お、おぅ……良かったな?」
ギルマスが一歩下がる。顔も引き攣ってるように見えるけど、気のせいだと思おう。
「お前、鬼畜だな。あの時は一瞬だったけど……今日のは一段と、その……凄かったな。」
「引かないでよ。あのままバカ晴人を第二線に置いとくつもりだったの?分からない?あの聖剣から出る魔力はやばい、常人が触れられるレベルじゃない」
「じゃあお前はなんなんだよ。」
魔法少女だよ?と上着の中身をチラッと見せる。
「お前に常識は通用しないか……」
諦めたように手を顔に当てる。
周りの人は、私と目を合わせようとしてくれない。はぁ……別の意味でやばくなった?
「危険なことになる前に止められてよかったじゃん。ね?良かったよね?」
「先頭要員がいなくなって、より大変になったな。あいつの分は、お前が働けよ?」
「あ、遠慮しときます。」
「ダメだ。」
ダメですか、そうですか。
ちなみに晴人はというと、可愛いギルド嬢に介抱されながらギルドに戻っていった。
流石にやりすぎたかな?私にトラウマとか抱いてないよね?
「帰って、いいですか?」
「ダメに決まってるだろ。誰がこの街を守るんだ?」
うん、知ってた。
そんなわけで、ギルドの件もひと段落ついた。その後にフィリオと核石での通信で一言をもらい、「何かあったらお前でなんとかしろ」とのことだ。
厳しい。
まぁその後は全員で門を出て、それぞれの位置につく。
「気を引き締めろ!今回はティランとの合同のミッションだ、ミスをすれば大きな被害が出る。位置につけ!」
その言葉が、この戦場の始まりだ。
第一線。私率いる数人の魔法使いと、腕っ節の冒険者の7人ほどのパーティー。
多く人数がいても、弱かったら邪魔になる一方だ。人数は少ないけど、これがちょうどいい。
第二線。率いる人はいないけど、後ろから支援をする。支援する人を守るため、一応強めの冒険者も配置しておく。
私たちは正面。左右から街の精鋭の騎士チームを組んで、対処していくらしい。
「騎士がいるのに、私達いる意味ある?」
「知らねぇーよ。ていうかお前がいれば騎士団くらい吹き飛ばせるんじねぇーか?」
鋭い目つきで口の悪い男が、ガンを飛ばして言ってくる。
こいつの名前は……
「なんだっけ?」
「ディーだ!」
「うっわ、心読んできた。」
「思いっきり言葉に出てんぞ!?」
いちいち名前なんて覚えてられない。特に今回は、他にも6人もいる。覚えられたら奇跡だよ。
お世話になった人じゃないと名前を覚えられないのが、私の脳だ。
「あー分かった分かった。確かに騎士程度私の足元にも及ばないけど、数的にいうと必要なくない?って話。」
「前半のとこは認めるんだな……」
まぁ、そこは潔いほうがいいしね。そんなことより魔物魔物。近づいてきてたら対処しないと。
魔力探知で確認すると、大量の魔力が発生していた。
「えぇ……これ全部魔物の反応なの?」
端っこにいるけど、どんどん近づいてきている。思わず顔が引き攣った。
3万とか、どんだけの魔物が魔力に反応してるの。水竜だけだそんなことあり得る?
「わ、わたしたちはどうすれば?」
不安そうにしている魔法使い部隊が、おろおろと聞いてくる。
「後ろに下がっといて。補助が必要なら言うから。」
そう言って後ろに下がらせる。
ふぅ~……こっからは、嘘もまやかしも効かない、戦争みたいなもの。
本気を出さなきゃいけないみたいだ。
レイタースタートを起動させ、セットする。あとはこれを射出すれば、周りの魔力に反応しながら強くなってくれる。
「それじゃあみんな、行ってくるから。」
「1人で行く気なのか!?」
別の冒険者が驚いた表情で見つめてくる。
「だって、足手まといは少ない方がいいでしょ?4人で頑張って。取り逃した魔物くらいなら、4人でいけるでしょ?」
そう言うと、返事も聞かずに私は木に跳ぶ。
神速。
人蹴りでここまで跳べるなんて、流石神速。使い過ぎには注意だけど。
神速以外使う気がないならいいけど、そんなことはありえないし。
準備は万端。刀は持った、ステッキもある。レイタースタートは完璧。
ミョルスカイは最終手段。ほんとにやばくなったら、一気に掃除する感じで。
「ここからは命懸けだ。ステータスチェックを入れよう。」
名前 美水 空
年齢 17歳
職業 魔法少女
レベル 36
攻撃820 防御810 素早さ1120
魔法力1590+1 魔力1630
装備 魔法少女服 魔法少女ステッキ
魔法 アクアソーサーⅤ 魔導書Ⅵ(-7) 神速Ⅵ
ファイボルトⅣ+1 万属剣Ⅳ+1 投擲Ⅲ+1
鑑定眼Ⅴ+1 食材生成Ⅲ+1 魔導法Ⅴ+1
トールⅣ 物質変化Ⅲ 空中歩行I+1
アースアイスⅢ エアリスリップⅢ
魔力喰らいⅣ
スキル 魔法生成 魔力超化 魔力付与
万能感知 魔法記憶 詠唱破棄 覚醒
魔法分解 振れ幅調整 身体激化 水竜之加護
調教 基本能力上昇 人神魔力
SP 350
いろんなスキルが増えたけど……調教ってなに?
調教
魔物や動物を使役する際、操りやすくなる。(ものにより効果が多くある)
ほうほう。ここで手に入れた意味は分からないけど、無いよりマシなスキルでしょう。
あとは分かりやすくて助かる。
もう一つ、ステッキの能力も見ておかないと。
魔法少女ステッキ(2)
[特殊効果]魔法少女 武装 スイングアップ 超速移動 自動治癒 擲力上昇 魔装 雷鳴速 錬成 竜適正
[特殊耐性]魔法耐性 水斬耐性 風斬超耐性 閃光耐性 水流無効 火雷超耐性 刺突耐性 神雷耐性
雷無効
[特殊属性]氷結 万能属性 特異体質 魔道士
死神 天使 神
[特殊性質]黒鱗 水杖 頑強 魔法動力 炎上
……こっちも色々増えた。
「これだけ強くなれば、魔物も怖くは無い。ヒーローになるぞー!」
おー!と気合を込め、私は森の奥へと進んでいく。
———————————————————————
久しぶりのステータスチェック。強さがピンとこないだろうから、適当に決めてみました。
一般市民
攻撃25 防御12 素早さ20
魔法力8 魔力50
一般冒険者
攻撃80 防御50 素早さ45
魔法力15 魔力65
精鋭騎士
攻撃120 防御80 素早さ60+馬
魔法力50 魔力120
よくみてみれば、ソラは超理不尽チートです。勝てるわけがありませんね。
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