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4章 魔法少女と人神の祠

130話 魔法少女は凄い人

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「まぁまぁ、絶句しない。」
私は目を、千切れるほど開いて人神を見る。

 全ての神の雰囲気を感じる?それじゃあ、人神、魔神、霊神、龍神の全員の魔力を持ってるってこと?

「……どういうこと?」

「そのままの意味だよ。其方の特異性は、そこにある。人神、まぁ余の力を持つ肉体。魔神の圧倒的魔法能力。霊神の特殊な効果を持つスキル、龍神固有の戦闘スタイル。その全てを、継承してる。」
何でも無いように……とはいかないけど、真剣な面持ちで語る。

 って、ことは……?私って世界に1人しかいない、超凄人物なんじゃないの?

「ま、余が伝えたいのはそれだけ。さっき、神眼で見てみたんだけどね、それが伝えられてもう満足だよ。」
そう言ってゆらりと手を振り、後ろに振り向く。

 どこに行くの?ここが人神の部屋じゃなかったけ?

 私が疑問に思って見つめていると、人神が視線に気づいたのか振り返って眉を顰めた。

「何してるの?帰ったら。」
「……え。そんな、あっさり…?」

「他に何かあるの?余はここから出て行かないといけない。早く帰ってくれない?」
「えぇ……」と困惑した声を上げるも、無視された。

 まだ状況が飲み込めてないし、そんないきなり「帰っていいよ」って言われても、どうしていいか分からない。

「はぁ。最後の最後まで、手間をかけさせてくれる。其方は、其方らしく生きれば良い。神の力がなんだ。転生したなら、好きなように生きればいい。」
「違う。」

「ん?」
私の一言に、意味が分からないというような目つきで一瞥する。

 私がここにきた理由は、人神が目的であって、そうでない。

「私の目標は、私を転生させた神に会うこと。人神の元に来たのは、可能性があったから。転生させたのが人神じゃないなら、用は無い。」

「神に向かって、その口はどうかと思うけど……それなりの信念があるみたいだね。」
大きめのため息がひとつ聞こえ、人神がまた口を開く。

「どこに行っても、たらい回しにはなると思う。結論、転生させたのは創滅神だよ。辿り着き方は余も知らない。後は、自分で頑張って。」
今度こそ帰れと言わんばかりに、シッシッ、と手で払ってくる。

 私、そんなに邪魔?まぁ邪魔だろうけど。気に入ったって言ってきた割には……ね?

 それにしても、創滅神。急にスケールが大きくなってきた。水竜さんに教えてもらったけど、どこにいるかは皆目見当もつかない。

 この世界を作った創造神的な神だったよね、たしか。

 ヘルプミー!さっき鳥を強くしてきたじゃん。鳳凰みたいな奴。返事くらいしてよ。神として。

「……はぁ。やっぱダメか。」
聞こえないくらいの小さな声で呟いたけど、もう人神の姿は無い。代わりに、辺りが揺れ始めた。

 ……ッ!?ここから移動するって、ここを吹っ飛ばすってこと?

 慌てて外に出てみると、花園や神殿は無く洞窟もどきに直結していた。

「あそこは持って行くんだ、強情だね。……じゃなくて、早く逃げないと。」
なんでこうなるの!と少しキレ気味で走り、レールガンで開けられた穴を通り抜ける。

 証拠隠滅でもするつもり?それとも何?私を殺したいの?

 神のことと私のことを知れたのはいいけど、逃げきれなきゃ意味無いじゃん!

 出口までは、謎解きが無い分案外簡単に行くことが出来た。
 でも、そうは言ってもギリギリだった。

 私が「セーフッ!」と言って出てきた瞬間、ドッシャーンッ?グッシャーンッ?何でもいいや。って、祠が崩れ落ちた。

 水の中だから、凄い水流がたった。水圧がものすごかったってことくらいしか分からない。目なんて開けてられなかったからね。

「私、突然放り出されたけど……どうすればいいの?帰ればいいの?このまま宿に戻れってこと……?」
私は、ボロッボロに崩れ落ちた祠を死んだ目で見つめた。

 あははは……振り出しに、戻っちゃったね。創滅神とか言われても、結局、どこにいるか全く分からないよ。

「まぁ、追い出されちゃったものはしょうがないね。そろそろあのうるさい宿屋に戻ろうっと。」
人神の魔力が混ざった、残り少ない魔力を頼りに海中を跳ぶ。

 もう外は暗い。そんなにあそこにいたんだ。周りは真っ暗だし、魔力感知が無かったら進めないね。

————————————

「うーん、どこに行こうか。」
ブロンド髪の少年は、1人海底で頭を抱えた。

 彼の名はエディレン=メヴィス、人神である。
そんなエディレンが悩むこととは、ずばり次の棲家についてである。

 ここはもう魔力が溢れかえってしまい、そろそろ出なければと思ったところで特異な少女、美水空と出会い、紆余曲折あってここにいるのだ。

「移動するのはめんどくさいから、出来るだけ魔力の薄いところがいいんだけどなぁ。」

 怠惰なエディレンは、些細なことでも面倒くさがる面がある。
 今は1000年は過ごせるような、他者が入り込めないような場所を探している。

「まぁ、ここから適当に歩けばいいかな。今日は適当に休んで、明日からは余の力で一気に飛んでいこう。」
はぁ~あ、とエディレンは欠伸をした。

 そんな時、エディレンはどこからか殺気を感じ取る。それは人間だが、凄みを感じさせる。転成者だろうか。

「余はこれからやることがある。用があるなら、さっさと言ってくれ。」
エディレンは無愛想に、振り返りもせずに言い放つ。

 そこから現れたのは、1人の青年。整った顔立ちをしていて、軽く筋肉もついている。世間一般で言う、イケメンというものだ。

 その後、エディレンはこの青年から逃げることになる。

———————————————————————

 キャー、人神サンガヤラレチャウー。

 副反応ですが、もう完全に治りました。頭痛が痛い(?)こともありませんし、昨日も20時間眠れました。…嘘です。







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