123 / 681
4章 魔法少女と人神の祠
119話 魔法少女は祠を開ける
しおりを挟む「どうすればいいんだろう?これ。」
私は祠の穴に宝玉を嵌め込み、頭を悩ませていた。
ただ宝玉を集めて嵌め込むだけじゃダメみたいで、何の反応も無い。
……うーん、どうしよう。迷ったらもう1回文を読んでみるってのが、こういうのの定石だよね。
「えーっとなになに、『空が橙に染まりし時、理を排除せし獣が現れん。太陽に背き月に従う獣は、道を開きし鍵を持つ。鍵は個々に同調し、重なり合う時道は開く。』ね。」
前半はもうどうでもいいとして、問題は後半。
「鍵は個々に同調し……重なり合う時道は開く……それって、宝玉を4つ同時に光らせればいいんじゃない?」
いきなり読み返しの効果が出てきて、少し驚きながらライトを出す。
四つの宝玉全てが光を吸収し、結構な強さの光になった。
その4つの光はゲットした順に光が繋がれていく。
「お、おぉ。なんか神秘的。これで嵌めてみればいいのかな?」
1つずつ嵌めていき、(予想外に、カチッといい音が鳴った)すぐに全部を嵌め終わる。
すると、ゴゴゴゴゴッ!と轟音が鳴り、祠の一部が崩れ去った。
「危なっ、っと。祠がこんな風に崩れていいの?修繕費とか徴収されない?」
そこまでケチケチした神では無いと思う。私にここまでしてくれた(悪い意味でも)神様だから大丈夫でしょ、と開いた入り口に足を運ぶ。
祠の中は、何というか少し暗くて洞窟っぽい雰囲気があった。
「暗いなー、電気くらいつけてくれたっていいのに。」
仕方ないからまたライトを生み出すだと、パキッとヒビが入って消えてしまった。
えっ、何が起こったの?私の魔法が消えた?
いきなりの事態で驚き、勘違いかと思ってまたライトを出したら、やはりまた消える。
「……ここでは魔法が使えない?」
そんな恐ろしい仮説が浮かぶ。
自分の足音ですら体がブルっと震え、狼狽する。そんな私の気も知らずか、明かりはどんどん消えていく。
「本当にどうするの、暗くなったらもう歩けないよ?この服といい、趣味悪過ぎだよ、神様。」
眉を寄せて愚痴を言う。
どうせ聞こえてるんでしょ!何とかしてよ!
「あ、もうお終いだ。帰らせて。ねぇ帰らせて。」
明かりは完全に消え、どうしようもも無くなってしまう。
もし、何とかここまで辿り着けた人間がいたとして、人神の元に行けた人0人なんじゃない?
そもそもここに行ける人すら0な気もする。
絶望の色が見え隠れし始めたその時、光る文字が浮き出てくる。
しかも、光っているのに辺りは明るくならない。
浮いている文字には、こう書いてある。
「原点に立ち返り、寒さが満ちた暗闇を突破せよ。」
すると、この状況に更に謎の文字が現れて、混乱する私の目の前に変なものが転がった。何か魔法少女の勘とかで、それを拾ってみた。
ステッキを腰に挿し、2つのある物を見る。
「というか、何で暗闇のはずなのに物が見えてるの?神様が指定した物なら見える系?」
まず両手に視線を落としてみると、左手にはよく分からない石、右手には尖った金属が握られていた。
「って原始的すぎる!!」
石と金属を思いっきり投げて、地面に叩きつけた。
バンッ!といい音が鳴った。
いや、鳴らなくていいよ。
なんで火打ち石なの!え、これ火打ち石だよね?何でそんなもの落ちてるの?
寒さが満ちた暗闇って、火打ち石で火を起こせってこと?原点に立ち返れって、人間の原点に戻れっていうこと……?流石人神……ってこと、かな。
「……それなら、炎魔法でもなんとか代用できるんじゃない?」
そ•し•て、使えないのは、自分以外に影響を与える魔法だと思う。だから、魔法動力とか動きを見る系のやつなら何とかなる。
「よっし、やってみよう!」と気合を込めて、魔力の流れを読む。
……方向だけ分かった、うん。方向だけは分かった。
「やっぱり普通に炎の魔法でも使おう。火打ち石なんてあっても、使い方知らないし。」
ファイボルトのファイ部分だけを頑張って抽出し、固めて出す。
すると、何と言うことでしょう。空中には炎が舞い、明るく照らされます。
寒さなんてものは元から感じないので今はありませんが、明るくなったことによって、何と言う開放感。
「これで先に進めるようになったし、神様の元までどれくらいあるか分からないけど、頑張りますか。」
体をぐっと伸ばして、準備運動をする。
こんな暗い洞窟みたいなところからは、早く脱出したい。ということで、早足でさっき確認した方向に向かう。
「謎解きとかはめんどくさいから、出来ればゴールでお願いします。」
小声でそんな戯言を吐くも、そんなだらけた願いが叶うはずもなく、また薄暗い空間に入った。
今度はちゃんとした遺跡って感じの雰囲気になって、目を細めて確認したところ、石の直方体が何個も並べられていた。
この光景に眉を顰めつつ、先にテクテク歩き出す。
「ここに火を置ってこと?」
こんなものがあるからには、出口がないことは分かりきっていたけど、松明を置いてくださいと言わんばかりの3本の足のついたかごに、火を灯す。
その瞬間、あたりがパッと明るくなる。
「お、正解だ。」
気づかなかったら危なかったね、と一息ついた。
その松明の近くに、石碑が置いてあるのに気がついた私は、その石碑を読んでみる。
「読んでばっかだね。まぁいいや。なになに、『正解の石を割れ。1つでも失敗すれば、敵が現れる。』なんか物騒なのばっかだ。」
何はともあれ、やらなきゃいけない。私は9つある直方体に振り返って目を向け、ひとつひとつ見ることにする。
直方体は3種類の色があり、文字も書いてある。
そして、今の私の気持ちを言おう。
「ミミックロ○ックじゃん。」
石碑は上の赤の少し前にあって、火はその左側にある。そして、石に付いてる色と文はこうだ。
黒 赤 黒
「赤の石 「黒の石 「1番上の列には
は不正解」 は不正解」 不正解がある」
赤 赤 青
「上の石は 「青の石は 「不正解は隣り
不正解」 不正解」 合っている」
黒 赤 赤
「この石は 「赤の石は 「不正解は隣り
不正解じゃない」不正解じゃない」合っていない」
「これを解かなきゃいけないのか……はぁ。」
深いため息をついて、情報をまとめようと頭を回した。
こういうの、めんどくさいんだよね。
———————————————————————
ミミックロジ○ク、始まりました。皆さんはもう正解はわかってると思いますが、ソラさんは分かりません。
変なところで頭が回らないソラさんです。
0
お気に入りに追加
117
あなたにおすすめの小説
【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く
【本編完結】さようなら、そしてどうかお幸せに ~彼女の選んだ決断
Hinaki
ファンタジー
16歳の侯爵令嬢エルネスティーネには結婚目前に控えた婚約者がいる。
23歳の公爵家当主ジークヴァルト。
年上の婚約者には気付けば幼いエルネスティーネよりも年齢も近く、彼女よりも女性らしい色香を纏った女友達が常にジークヴァルトの傍にいた。
ただの女友達だと彼は言う。
だが偶然エルネスティーネは知ってしまった。
彼らが友人ではなく想い合う関係である事を……。
また政略目的で結ばれたエルネスティーネを疎ましく思っていると、ジークヴァルトは恋人へ告げていた。
エルネスティーネとジークヴァルトの婚姻は王命。
覆す事は出来ない。
溝が深まりつつも結婚二日前に侯爵邸へ呼び出されたエルネスティーネ。
そこで彼女は彼の私室……寝室より聞こえてくるのは悍ましい獣にも似た二人の声。
二人がいた場所は二日後には夫婦となるであろうエルネスティーネとジークヴァルトの為の寝室。
これ見よがしに少し開け放たれた扉より垣間見える寝台で絡み合う二人の姿と勝ち誇る彼女の艶笑。
エルネスティーネは限界だった。
一晩悩んだ結果彼女の選んだ道は翌日愛するジークヴァルトへ晴れやかな笑顔で挨拶すると共にバルコニーより身を投げる事。
初めて愛した男を憎らしく思う以上に彼を心から愛していた。
だから愛する男の前で死を選ぶ。
永遠に私を忘れないで、でも愛する貴方には幸せになって欲しい。
矛盾した想いを抱え彼女は今――――。
長い間スランプ状態でしたが自分の中の性と生、人間と神、ずっと前からもやもやしていたものが一応の答えを導き出し、この物語を始める事にしました。
センシティブな所へ触れるかもしれません。
これはあくまで私の考え、思想なのでそこの所はどうかご容赦して下さいませ。
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
平凡令嬢は婚約者を完璧な妹に譲ることにした
カレイ
恋愛
「平凡なお前ではなくカレンが姉だったらどんなに良かったか」
それが両親の口癖でした。
ええ、ええ、確かに私は容姿も学力も裁縫もダンスも全て人並み程度のただの凡人です。体は弱いが何でも器用にこなす美しい妹と比べるとその差は歴然。
ただ少しばかり先に生まれただけなのに、王太子の婚約者にもなってしまうし。彼も妹の方が良かったといつも嘆いております。
ですから私決めました!
王太子の婚約者という席を妹に譲ることを。
【完結】私だけが知らない
綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
【完結】実家に捨てられた私は侯爵邸に拾われ、使用人としてのんびりとスローライフを満喫しています〜なお、実家はどんどん崩壊しているようです〜
よどら文鳥
恋愛
フィアラの父は、再婚してから新たな妻と子供だけの生活を望んでいたため、フィアラは邪魔者だった。
フィアラは毎日毎日、家事だけではなく父の仕事までも強制的にやらされる毎日である。
だがフィアラが十四歳になったとある日、長く奴隷生活を続けていたデジョレーン子爵邸から抹消される運命になる。
侯爵がフィアラを除名したうえで専属使用人として雇いたいという申し出があったからだ。
金銭面で余裕のないデジョレーン子爵にとってはこのうえない案件であったため、フィアラはゴミのように捨てられた。
父の発言では『侯爵一家は非常に悪名高く、さらに過酷な日々になるだろう』と宣言していたため、フィアラは不安なまま侯爵邸へ向かう。
だが侯爵邸で待っていたのは過酷な毎日ではなくむしろ……。
いっぽう、フィアラのいなくなった子爵邸では大金が入ってきて全員が大喜び。
さっそくこの大金を手にして新たな使用人を雇う。
お金にも困らずのびのびとした生活ができるかと思っていたのだが、現実は……。
冷宮の人形姫
りーさん
ファンタジー
冷宮に閉じ込められて育てられた姫がいた。父親である皇帝には関心を持たれず、少しの使用人と母親と共に育ってきた。
幼少の頃からの虐待により、感情を表に出せなくなった姫は、5歳になった時に母親が亡くなった。そんな時、皇帝が姫を迎えに来た。
※すみません、完全にファンタジーになりそうなので、ファンタジーにしますね。
※皇帝のミドルネームを、イント→レントに変えます。(第一皇妃のミドルネームと被りそうなので)
そして、レンド→レクトに変えます。(皇帝のミドルネームと似てしまうため)変わってないよというところがあれば教えてください。
王子は婚約破棄をし、令嬢は自害したそうです。
七辻ゆゆ
ファンタジー
「アリシア・レッドライア! おまえとの婚約を破棄する!」
公爵令嬢アリシアは王子の言葉に微笑んだ。「殿下、美しい夢をありがとうございました」そして己の胸にナイフを突き立てた。
血に染まったパーティ会場は、王子にとって一生忘れられない景色となった。冤罪によって婚約者を自害させた愚王として生きていくことになる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる