118 / 681
4章 魔法少女と人神の祠
114話 魔法少女と謎の祠
しおりを挟む「よっし、着地っと。」
海の中だからか、体の下降がゆっくりになっているため、クルッと回転して足をつく。
この辺で魔力が濃いから、絶対人神いると思うんだけどね。
アトさんの証言もあったし、いると信じよう。
「神のいる場所なんだし、祠的な物があったりしない?……流石にしないよねー。」
あはは、と笑い飛ばしながら海の中を歩行する。
海の中ってこんな感じなんだ、誰でもそうだけど海の中なんて歩いたこと無いから新鮮で面白い。
海の中には、魚魚海藻魔物魚魚海藻海藻海藻魔物魔物魚魚魔物魔物海藻……と、そんな感じ配列になってて、たまに大量の海藻群が広がってる。
通りたくないから避けてるけど。
珊瑚礁みたいなのは無かったよ。沖縄とかにはあるらしいけど、実際に見ることって無いよね。
「魔力反応だけはあるのに……って危なっ!なんでいちいち突進して来るかな?」
殺気立ってる魔物に文句を吐き捨て、不機嫌になりつつも海底を進む。
ほんと、嫌になっちゃうよ。魔物は襲って来るし、人神の手がかりは魔力しかないし。
「……だあ゛ぁぁぁぁぁぁぁ!!なんなの、なんで魔力反応だけあるの!えっ、なに?隠蔽とかされてるわけ?」
とうとう私の怒りが限界に達し、海の中でそう叫ぶ。
反応はあるけど、歩いても歩いても見つからないし、なんか魔法とか仕掛けられてるんじゃない?
というか、この魔力って隠蔽の魔力を更に隠蔽するための魔力じゃないよね?
「お……私、冴えてるぅ。」
私の鋭い勘に嘆息して、歩みを止めた。
この世界にもだいぶ慣れてきて、こういう謎にも敏感になってきたね。
わたしの勘も、この世界に慣れたことによって戻ってきたね。
「で、どうしろと。隠蔽云々の話は分かったけど、分かったところでなんだよね。」
解除方法が分からないんだからどうすることもできない。
勘がいいところで何も出来ない……えー、助けてよ。
この状況を打破するために、何かいいスキルでもないか探していると、あるスキルに目がいく。
水竜之加護
水竜から与えられる加護。あらゆる力を操ることが出来る。
よく分からなかったから置いておいたスキル、水竜之加護。力を操れるっていう竜らしい能力だけど、使い方が分からなかった。
ふと、思いついたことを譫言のように呟く。
「これ使えばいけるんじゃない?力を操れるって、ここに溜まってる謎の魔力も晴らせるってことだよね?」
水竜之加護を使ってみて、(使えてるか分からないけど)目を瞑ってステッキを両手で握る。
取り敢えず、うんうん唸ってみるけどなにも起こらない。
「魔法はイメージ。スキルも一緒でイメージを作ってからやれば、出来る気がする。」
早速実践してみようと、想像を広げる。
魔力を霧として、それを晴らすようなイメージで……
……なにか力を感じる……脈?って言うのかな、そんな感じのやつに力が通ってるように感じる。これが魔力の脈ってやつ?
これに同調して、魔力を動かすよみたいに全方向へ一気に飛ばす。
「……出来、た?…………ん、はぁ?」
魔力感知に力の反応が映らなくなって、成功かと思い目を開ける。すると、巨大な屋敷レベルの大きさの祠(それは祠というのかな?)が目に飛び込む。
えっ、ちょっ待って。なになになになに?これ、なに?
ちょっと古びたお屋敷じゃん、これ。いや、それについてもそうだけど、建ってる場所が問題なの。
「なんで穴に建ってるの?」
そうだ。なんとこの祠、海底の穴の底に建っているのだ。
うん、一旦整理しよう。
これを隠すために隠蔽魔法が敷かれていた。そこに私がやってきて、どこに行っても魔力反応が消えないことに疑問を持って、スキルで魔力を分散させた。
するとそこにはあら不思議、巨大な穴があってその中には祠があるじゃないですか。
「って、なんでいきなり!?」
ステッキでビシッとツッコミを入れるも、私以外誰もいないので虚しくなってくる。
……こんなところでウダウダ言ったて、どうにもならないことは分かりきっているので、フワッと風船のように(?)穴に入る。
「入り口とかあるのかな?無いと入れないか。」
問題を自己解決しながら、ウロウロと祠の周りを探索する。
しばらくすると入り口らしき場所を見つけることができ、覗いてみると小さな丸い穴が、菱形で上下左右1つづつで合計4つある。
「なにこのRPG感。宝玉を差し込めってこと?」
こういうのは大抵、周りに中ボスがいて宝玉とかを落としてくれるってやつだよね。
「あれ?なんかマークが書かれてる。」
丸い穴のそばに動物の絵のようなものが描かれていて、時計回りに犬、鮫、シャチ、鳥。
なんの脈絡も無い動物……何の意味があるの、これに。
「謎解きにすらなって無いお粗末な謎解きだけど、こっちの方が楽でいっか。」
私の謎解き能力を試す時が来たと思ってけど、使うことはなさそうだ。
それじゃあ、書いてある通りに魔物を探そう。どうせどこかに犬、鮫、シャチ、鳥の魔物がいるはず。
「この世界の人達水準でいくと、これは難しいのかな?」
あまりの簡単さに、そんな疑問が浮上する。
これを見た瞬間、「魔物のドロップ品を差し込むんだ!」なんて発想には至らないはず。
第一、魔法も無しに水中戦なんて出来る人はいないと思う。
そういうのも含めて簡単にしてくれてるんだったら、文句は言えないね。
「そんなことはどうでもいいとして、早く魔物探しに行こう。」
祠から一旦離れ、魔物を探すことにする。
どうせ魔力感知には引っかかるでしょ、と気楽に考えてたけど……やってみた結果、ダメだった。
そう簡単に見つけさせないぞという、確固たる意志を感じないでも無い。
どうしようかな。
———————————————————————
祠(笑)を見つけたソラ。果たして、祠の中に人神はいるのか?
0
お気に入りに追加
117
あなたにおすすめの小説
【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く
【本編完結】さようなら、そしてどうかお幸せに ~彼女の選んだ決断
Hinaki
ファンタジー
16歳の侯爵令嬢エルネスティーネには結婚目前に控えた婚約者がいる。
23歳の公爵家当主ジークヴァルト。
年上の婚約者には気付けば幼いエルネスティーネよりも年齢も近く、彼女よりも女性らしい色香を纏った女友達が常にジークヴァルトの傍にいた。
ただの女友達だと彼は言う。
だが偶然エルネスティーネは知ってしまった。
彼らが友人ではなく想い合う関係である事を……。
また政略目的で結ばれたエルネスティーネを疎ましく思っていると、ジークヴァルトは恋人へ告げていた。
エルネスティーネとジークヴァルトの婚姻は王命。
覆す事は出来ない。
溝が深まりつつも結婚二日前に侯爵邸へ呼び出されたエルネスティーネ。
そこで彼女は彼の私室……寝室より聞こえてくるのは悍ましい獣にも似た二人の声。
二人がいた場所は二日後には夫婦となるであろうエルネスティーネとジークヴァルトの為の寝室。
これ見よがしに少し開け放たれた扉より垣間見える寝台で絡み合う二人の姿と勝ち誇る彼女の艶笑。
エルネスティーネは限界だった。
一晩悩んだ結果彼女の選んだ道は翌日愛するジークヴァルトへ晴れやかな笑顔で挨拶すると共にバルコニーより身を投げる事。
初めて愛した男を憎らしく思う以上に彼を心から愛していた。
だから愛する男の前で死を選ぶ。
永遠に私を忘れないで、でも愛する貴方には幸せになって欲しい。
矛盾した想いを抱え彼女は今――――。
長い間スランプ状態でしたが自分の中の性と生、人間と神、ずっと前からもやもやしていたものが一応の答えを導き出し、この物語を始める事にしました。
センシティブな所へ触れるかもしれません。
これはあくまで私の考え、思想なのでそこの所はどうかご容赦して下さいませ。
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
【完結】私だけが知らない
綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
私はお母様の奴隷じゃありません。「出てけ」とおっしゃるなら、望み通り出ていきます【完結】
小平ニコ
ファンタジー
主人公レベッカは、幼いころから母親に冷たく当たられ、家庭内の雑務を全て押し付けられてきた。
他の姉妹たちとは明らかに違う、奴隷のような扱いを受けても、いつか母親が自分を愛してくれると信じ、出来得る限りの努力を続けてきたレベッカだったが、16歳の誕生日に突然、公爵の館に奉公に行けと命じられる。
それは『家を出て行け』と言われているのと同じであり、レベッカはショックを受ける。しかし、奉公先の人々は皆優しく、主であるハーヴィン公爵はとても美しい人で、レベッカは彼にとても気に入られる。
友達もでき、忙しいながらも幸せな毎日を送るレベッカ。そんなある日のこと、妹のキャリーがいきなり公爵の館を訪れた。……キャリーは、レベッカに支払われた給料を回収しに来たのだ。
レベッカは、金銭に対する執着などなかったが、あまりにも身勝手で悪辣なキャリーに怒り、彼女を追い返す。それをきっかけに、公爵家の人々も巻き込む形で、レベッカと実家の姉妹たちは争うことになる。
そして、姉妹たちがそれぞれ悪行の報いを受けた後。
レベッカはとうとう、母親と直接対峙するのだった……
平凡令嬢は婚約者を完璧な妹に譲ることにした
カレイ
恋愛
「平凡なお前ではなくカレンが姉だったらどんなに良かったか」
それが両親の口癖でした。
ええ、ええ、確かに私は容姿も学力も裁縫もダンスも全て人並み程度のただの凡人です。体は弱いが何でも器用にこなす美しい妹と比べるとその差は歴然。
ただ少しばかり先に生まれただけなのに、王太子の婚約者にもなってしまうし。彼も妹の方が良かったといつも嘆いております。
ですから私決めました!
王太子の婚約者という席を妹に譲ることを。
【完結】実家に捨てられた私は侯爵邸に拾われ、使用人としてのんびりとスローライフを満喫しています〜なお、実家はどんどん崩壊しているようです〜
よどら文鳥
恋愛
フィアラの父は、再婚してから新たな妻と子供だけの生活を望んでいたため、フィアラは邪魔者だった。
フィアラは毎日毎日、家事だけではなく父の仕事までも強制的にやらされる毎日である。
だがフィアラが十四歳になったとある日、長く奴隷生活を続けていたデジョレーン子爵邸から抹消される運命になる。
侯爵がフィアラを除名したうえで専属使用人として雇いたいという申し出があったからだ。
金銭面で余裕のないデジョレーン子爵にとってはこのうえない案件であったため、フィアラはゴミのように捨てられた。
父の発言では『侯爵一家は非常に悪名高く、さらに過酷な日々になるだろう』と宣言していたため、フィアラは不安なまま侯爵邸へ向かう。
だが侯爵邸で待っていたのは過酷な毎日ではなくむしろ……。
いっぽう、フィアラのいなくなった子爵邸では大金が入ってきて全員が大喜び。
さっそくこの大金を手にして新たな使用人を雇う。
お金にも困らずのびのびとした生活ができるかと思っていたのだが、現実は……。
冷宮の人形姫
りーさん
ファンタジー
冷宮に閉じ込められて育てられた姫がいた。父親である皇帝には関心を持たれず、少しの使用人と母親と共に育ってきた。
幼少の頃からの虐待により、感情を表に出せなくなった姫は、5歳になった時に母親が亡くなった。そんな時、皇帝が姫を迎えに来た。
※すみません、完全にファンタジーになりそうなので、ファンタジーにしますね。
※皇帝のミドルネームを、イント→レントに変えます。(第一皇妃のミドルネームと被りそうなので)
そして、レンド→レクトに変えます。(皇帝のミドルネームと似てしまうため)変わってないよというところがあれば教えてください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる