魔法最弱の世界で魔法少女に転生する〜魔法少女はチート魔導士?〜

東雲ノノメ

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4章 魔法少女と人神の祠

113話 魔法少女はようやく到着する

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「あー……疲れた。馬車で遊んでたから気づかなかったけど、ここまでの距離があるなんて。」
地図とか途中で欲しくなったけど、そこまで我が儘は言えないな、と膝に手をつきながら思う。

 魔法少女服の七不思議の1つなんだけど、(実際はもっとあるけど)何故か汗をかかないんだよね。日本にいた頃の私なら、汗でビッショビショだ。

「ようやく着いたけど、もう2度と走っては来たくないね。神速無しはほんとにキツイ。」
肩で大きく息をしながら、私は門にギルドカードを渡す。昨日帰ったばっかの私を、門番達は訝しむようには見てるけど、素通りする。

 はい、戻ってきましたティラン。やっぱり潮風の匂いがするね。1日ぶりのはずだけど、凄い懐かしい感じがする。

「流石にフィシアさんの家には泊まれないから……適当な宿でもとればいっか。」
幸い宿屋の場所は大体分かるから、(冒険者の出入りが激しい場所があった)先に1泊とっておくことにする。

 人神がいるってのは分かったけど、どこにいるかは分からないんだよね。
 なら今から探しに行こうかな?うん、早めに探して悪いことは無い。
 ……その場合、宿屋っていらなくない?

 今は昼過ぎ。休みたいけど、頑張って居場所を突き止めて戻ってくれば明日の朝くらいになってると思う。

 ……いや、それじゃあこの無くなりかけの魔力はどうするの。いくら私でも、神を相手にそこまで舐めプは出来ない。

「よし、宿屋に泊まろう。」

 そういうことで、今は安心安全の宿屋の中です。お値段は少し張ったけど、出せないほどでは無い。

 ふっ。今の私には、泊まれない宿屋なんて無いんだよ。
 ………調子に乗りすぎたかな?

「やっぱりベッドは落ち着くなー。お値段高めのおかげで、部屋とベッドが広いね。」
寝返りがうてるベッドは、フィシアさんの家以外では初めてだ。

 本格的に家作ろうかな?土地だけだったら普通に買えそうだし、あとは私の力量次第ってとこだ。

 ミスったらご自慢の魔法で吹っ飛ばせばいいし。

 相変わらず物騒な考えをしてるのは、ご愛嬌ということに……なりませんか、そうですよね。

「明日からは大変なんだから、今日くらい惰眠したっていいよね?」

 ご飯はさっき下の食堂で食べた、上着は脱ごう。洗濯はめんどくさい、歯磨き?そんなものあるとでも?

 1つ失敗なんだけど、魔導書の魔法を統合しちゃったけど、別々にして魔法使うの大変なんだよね。

 例えばエアリスリップなんて、威力が高すぎるから風と水に分ける必要がある。
 それがまた大変なんだよ。

「舐めてたら痛いて合うよ。」
次なる魔法少女への伝言として、この言葉を残しておく。次の魔法少女なんて、生まれなくてもいいけどね。

「神様もこの世界にそんなの転生させちゃダメだよ。ちゃんと剣と魔法の世界に転生させてあげて。その時は、ちゃんと魔法少女で。」
しっかりと恨みを持ってる私である。

 今日はそのまま宣言通りに惰眠を貪り、翌朝。

 鳥の鳴き声……では無く、川のせせらぎ……でも無く、冒険者達の足音で目が覚める。

 冒険者の朝は早く、(私は例外)いい依頼を誰よりも早く受けたいという一心で、バタバタしている。

「うるさくてうるさくて、こっちはたまったもんじゃない……」
両耳を指で塞ぎ、顔を顰める。

 冒険者御用達の宿屋らしいけど、こういうことなんだね。
 これって自然の目覚ましだよね。朝早くなったらこうやって起こしてくれて、まぁ迷惑だけど。

 その騒々しさに私はとうとう限界がきて、朝ごはんを食べてすぐに部屋を後にした。

 海に行くと船は何隻かを残して全て出払っていて、「都合がいいね」と思いながら空間歩行を使う。

 トントントンのステップで空を跳び、この前反応があった場所まで行く。

 途中で船に鉢合わせそうになったから、慌てて逃げたりもした。
 ちなみに、空中歩行って結構意識しないと出来ないから、ながらでやると少し難しい。

「ひぃ。1歩間違えたら海に真っ逆さまだよ。」
ちゃんと足元を確認して、危険が無いことに安心する。

 海の上の歩行は怖いんだよ。戦闘中は敵に気を取られてるから大丈夫だけど、こういう場合は怖い。

「来るなー。なにも来るなー。」
私は懇願する。これから会う神様に。


 まぁ、私がここまで祈ってるってことは、それはフラグということで、何かが起こるということ。

「海に沈んでるね、うん。」

 話は数分前に遡る。

 私は一通り祈り終わり、バッと前を向いた。するそこには何と鳥がいた。目が合ったね、あれは
 目と目が合ったら何とやら。ドーンと私の胸にぶち当たり、今ここ。

「なんで喋れてるかって?そんなの簡単だよ。ステッキの効果にある、水流無効のおかげだよ。」
ゆっくりと現実を噛み締めながら、海底に沈んでいく。幸か不幸か、落ちたのは丁度反応があったところだった。

「私、誰に喋ってるんだろう。」
誰かにツッコまれた気がして、ついそう解説してしまった。

 話を戻そう。

 水流無効があるならさ、水圧無効も欲しいんだけど。動けたとしても、圧が重くて魔力で無理矢理動かすしかない。

「で、私はここからどうすればいいわけ?もう空は跳べないよ?」

 なに?SP使ってくださいってこと?仕方ないなぁ……じゃないんだよ!
 もう、こんなところでSP使わなきゃいけないなんて。

 はぁ、と大きめなため息をついて画面を開く。

 魔法 アクアソーサーⅤ 魔導書Ⅵ(-7) 神速Ⅵ
  ファイボルトⅣ+1 万属剣Ⅳ+1 投擲Ⅲ+1
 鑑定眼Ⅴ+1 食材生成Ⅲ+1 魔導法Ⅴ+1
トールⅣ 物質変化Ⅲ 空中歩行Ⅰ 
 アースアイスⅢ エアリスリップⅢ 

 空中歩行にプラスして、水中歩行でもつけたそう。そうすれば海でも歩けるでしょ。

 空中歩行I+1っと、これでいいでしょ。
はぁ、大切なSPがぁぁ……

———————————————————————

 大事な大事なSPが無くなっちゃったソラさんです。
 海に突き落とされたソラさん、不幸ですね。
 

 









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