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3章 魔法少女と水の都

81話  お出かけ (ロア視点)

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「行ってらっしゃい、2人とも。」

「「はい!」」
私たちはソラお姉ちゃんに返事をしてから、3人揃ってお屋敷を出ました。

 今日はネル様とハリア様と一緒に、お出かけをする日です。

 本当はソラお姉ちゃんも一緒が良かったんですが、ネル様が3人で行きたいと言っていたので、そうすることにしました。

 貴族の人に挟まれて遊びに行くのは初めてだし、少し……いえ、とても不安でした。

 違いますっ!別に、ネル様やハリア様と遊びに行くのが嫌なわけじゃないんですよ!
 ただ、身分の差というんでしょうか?それが気になるんです……

「ロア~行きますよ。」

「あっ、はい。今行きますっ!」
私はちょっと小走りをして、ネル様に追いつきます。

「ぼく、だれかとあそびに行くなんて、はじめてで楽しみです。」
もじもじして照れたような、喜んでいるような表情で微笑んでいます。

 ネル様が言っていた通り、とっても可愛いですね。なんだか私も、お姉ちゃん気分です。

 あっ、私はサキのお姉ちゃんでした。
もしここにサキがいたら、私のことをぽかぽか叩いてきそうですね。

「なら、一緒にいい思い出を作りましょう。たくさん遊びましょう。」
ネル様は手をとって、門を出ます。私も続いて門を出て、ネル様たちを追いかけます。

「あの、今日はどこに行くんでしょう?」

「折角のティランなんですから、川や海を見に行きましょうよ。いいですよね、ハリア。」
ネル様は楽しそうに聞きます。

「いいですね、ネルお姉さま。ですが、お母さまは海は今、危険だとおっしゃっていたのでやめておいた方がいいと思います。」

「じゃあ、川に行きましょう。4つの中で、1番綺麗な川に行きますよ。」
張り切った様子でずんずん進んでいくネル様を、ハリア様は急いで追いかけます。

 なんで海は危険なんでしょうか?少し気になりますが、ソラお姉ちゃんに迷惑をかけるわけにはいきませんから、行きません。

 それから私たちはまず、軽く街を観光することにしました。

 理由は、目的の川が少し離れた人の少ないところだから、川に行くついでだそうです。

「ロアお姉さまは、ソラお姉さまのどこが好きなんですか?」
街を歩いていた時、ハリア様がそう聞いてきます。

 ロアお姉さまなんて……そんな風に呼ばれるほど、私は偉くないんですが……

「優しいところ……です。」
少し言葉に詰まりましたが、なんとか絞り出しました。

 でも、実際ソラお姉ちゃんはとっても優しいです。

 初めて会った時も、どこの誰とも知らない私を、無償で魔物から助けてくれましたし、お父さんを助けてくれたりと、いつも私のことを考えてくれています。

 ソラお姉ちゃんなら、いつものすまし顔で「私はそんな大層な人間じゃないよ」と言いそうですね。

 何故だか笑えてきてしまって、堪えるのが大変です。すみません、ソラお姉ちゃん。

「確かにあまり身分を気にしないところや、接しやすいところもあります。いい人柄なので頼られやすいし、頼りやすいですね。」
ネル様は言っては失礼ですけど、そぐわない分析?をしてソラお姉ちゃんを説明します。

「何かあったらソラさんに言えば、嫌々でも引き受けてくれますよ。」

 そういえば、ソラお姉ちゃんが領主様とお会いになったのは、私のためだとお姉ちゃんが言っていた記憶があります。

 何かのために、一生懸命頑張れるのは素敵だと思います。
 私もサキのために、見習わないとですね。

「ロア、あそこに可愛い髪飾りがありますよ!」
「ほんとですね。……綺麗。」
とても綺麗な髪飾りに、思わず息が漏れ出てしまいました。

「買ってあげましょうか?お父様から。お小遣いもいただいてありますし。」
記念に、と可愛い笑顔で聞かれたので、私は断ることが出来ずに了承してしまいます。

「あ、ハリアには同じ色のネックレスを買いましょう。」
「いいのですか?ありがとうございます!」
お礼を聞いたネル様は、すぐに売店で買いに行きます。

 買った髪飾りは、明るい青色をした髪飾りで、ソラお姉ちゃんの髪の色にもよく似ています。
 ネックレスも、同じ色の石の入ったものを買い、プレゼントしていました。

 私も、ソラお姉ちゃんのお見上げに何か買っていきましょうか?

 そう思って売店キョロキョロ見渡します。

「ロア?何しているんですか?」

「ソラお姉ちゃんへのお土産をと……」
そう返している時、たまたまある指輪が目に入りました。

 吸い込まれていきそうな深い青、つい見入ってしまいます。

「あの指輪ですか?」

「そうしようと思ってます。」
「きれいな色です!」
ハリア様はネックレス貰って、喜びを漏らしながら指輪を見ました。

 私もお父さんがお小遣いを少しくれたので、それで買いに行こうと思います。

「あの、その指輪を1つ……」

「銀貨2枚だよ。」

 うぅ、少し高いですが、いつものお礼と考えれば安いものです。

 銀貨2枚を手渡すと、私の手のひらに綺麗な指輪が乗ります。

「あと、それを仕舞う箱ね。」
箱に指輪を入れ、私はそれをポッケに入れます。

「ソラお姉ちゃん、喜んでくれますかね……」
「喜びますよ、きっと。ロアの選んだ、ロアが買ったものなんですから。」
ネル様に手を引かれ、次は軽食を取るそうです。

 川に行くのはどこへいったのでしょう。街の観光が中心になっているような気がします。

 でも、そのおかげでいいものにも出会いましたし、結果オーライ?ですかね。

———————————————————————

 これでようやくソラの観光……な訳がありません。次もロアの話です。(本当はこの話が予定よりだいぶ長引いたから無理矢理次の回に持ってっただけ)

 そしてこの約80話の中で、ソラが完全に忘れているものがあります。
 今回の水の都編での戦いでは、まぁまぁ重要になりそうですね。





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