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2章 魔法少女と竹林の村

59話  魔法少女とお礼

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 こう何度も神速を使うと、速さの感覚が完全になくなるね。
 速すぎてもうよく分からなくなってきた。

 神速は便利過ぎるから、ほんとに使わないといけない時だけにしよう。

「……今はその時ということで。」
言い訳を1人でしながら、私は村に神速で戻る。

 今回は仕方ない。これだけ遠いんだから神速を使わないと、時間までに村に帰れなくなっちゃう。

 だからこれは仕方のないことなんだよ。

 そのままのスピードで竹藪を掻い潜り、またすぐに村に着いてしまった。

 時間は昼時。真上に太陽が昇っていて私の肌をジリジリと焼いてくる。

「これは早急に上着を確保しないと……」

 あの謎の店の人には悪いけど、何度もお世話になりそうだね。こんな短時間で、また上着がなくなるんだもん。

「ここの人は理解があってよかった。なかったら酷いことになってたよ。」
村人たちに感謝をしながら、私はアボデルさんの家に向かう。

 そろそろ私も街に戻らないとって思うけど、1つしたいことがあるんだよね。
 ほら、この村ってどこにも交流がないから今回みたいに危機が迫ってもどうにも出来ない。

 依頼届を出しに行ったっきりの被害者まで出てしまっている。これはなんとかしなくては。

 ということでアボデルさんの家に着き、コンコンとノックをして扉を開ける。

「失礼します…アボデルさーん。いますかー?」
反応がなかったのでガラガラと玄関の扉を開き、中に人がいないかを確認する。

「って、寝てる……」
アボデルさんが、居間で寝転び少しいびきをかいて寝ていた。

 これって、入ってもいいものなのだろうか?住居侵入罪とかならないよね?

 そもそもこの世界に住居侵入罪があるの?無いでしょ。

 まぁ常識的に考えて、勝手に入るのはよくなよくない。

 仕方ないからここからアボデルさんを起こすことにする。

「あの、戻ってきたんですけど、今大丈夫ですか?」
普通に考えればどこからどう見ても大丈夫じゃないけど、今の私にそんな考えは無かった。

「……あぁ、すまない。寝てしまっていた。」
私の声で起きたアボデルさんが、そう言ってすぐに部屋に通してくれた。

 そこで、私がさっきしたことを説明した。

 竹藪の奥、この巨大竹の周りに洞窟があって核石から魔物が生まれていたことや、魔水のことも一応伝えておいた。

 この村の周りのことだ。ちゃんと伝えないと、また何かあった時に対処ができなくなっちゃう。

「ふむ……そんなものがあったとは。」
      
「一応、そこにいたカロォークも討伐しておきました。」
討伐の証として一応核石のかけらを持ってきといたから、ステッキから取り出して見せる。

「本当に何から何まで感謝しかない。」
そう言ってまた頭を下げる。

「そろそろ、私も帰りたいんですけど、一つ相談乗ってもらってもいいですか?」

「ソラ殿の頼みなら。」
そう言ってくれるので、私は遠慮なく話すことにする。

 何をしたいかというと、この村とあの街をつなげたいと考えている。

 そのためには、私の力で竹林を移動させて開けさせる必要がある。
 その許可を貰いたい。

 その許可を貰ったら、次はフィリオのところに行って貿易の許可を貰おうと思う。

 まぁ、それが貰えなかったら普通に道を作るで終わらせよう。

「そんな事をしてもらってもいいのか?この村にとって嬉しい事しかないが……」

「別にいいですよ。そうした方が私もこの村に行きやすいですし。」

 竹は簡単に動くし、街に戻ってフィリオに押しつけちゃえばなんとかなる。
 そこまで距離が離れてるわけでもないから、馬車の速度とか分かんないけど半日もかからないと思う。

「じゃあ街に戻りますのでまた会いましょう。」
私は少し急ぎめに立ち上がり、アボデルさんの家を出る。

「ソラ殿、気をつけてな。」
そう言ってくれたので、手を振っておいた。

 ちょっとカロォークに時間かけすぎた……カフェの食材とか足りてるかな?
 一応少し多めに渡してるけど、無くなってたら申し訳ない。

 久しぶりにロアとも会いたいし、帰ったらその日はゆっくり過ごそうかな?そうしよう。

 最近忙しすぎたからね。17歳の女の子に、肉体労働は似合わない。やっぱり子供は元気に遊ぶのが1番だね。

「でもまた忙しくなりそう。」
門を出たあたりで、そんな風に呟いてみる。

 だって貿易に関わるんだから、絶対大変でしょ。

「フィリオに押し付けようかな。」
本気でそんな考えをして、最後はよしそうしようと決断する。

 私も悪魔じゃないから、最初から最後まで押し付ける気はない。途中から押し付けるんだよ。

 最初はちゃんとやるよ?本当だよ?
誰かにそんな言い訳のような言葉を吐き、少し神速は使わずに走って行くことにした。

———————————————————————

 すみません、今回めっちゃ短めです。
話が思いつかなかったんです。許して下さい!!


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