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2章 魔法少女と竹林の村
51話 魔法少女は試してみる
しおりを挟むレールガン、初めて打つから緊張するね。
暴発とかしたらどうしよう。
私なら耐えられるかな?
ステータス半減中だから、私でも危ういかもしれない。
なら、村人達にはちょっと離れてもらおう。
「皆さん、もしもの為に下がっておいてください。危ないですから。」
そう言って、私より1、2メートルほど離してから、発射用意をする。
「それじゃあ、いきます。」
もう一度確認を取り、私は銃の形をしたレールガン発射装置に、指をかける。
いや、レールガン発射装置って言いづらっ!
名前決めようかな?
さっきの雷魔法が、神話の神様の名前にしたし、それにまつわる名前にしよう。
なんだっけ…ミョ、ミョ…ミョなんとか。
じゃあ、この装置の名前はミョルスカイにしよう。
ミョなんとかと、レールガンのルの部分と、わたしの名前を混ぜた、なんとも安直な名前に仕上っちゃった。
まぁいいや。
さっき作った魔弾を一発装填し、(ミョルスカイには一発しか入らない)魔法を使う。
「魔力充填。トール。射出…」
魔法が込められ、発射の準備が整う。
「軌道修正、完了。そして、焦点を定める……出力調整、100%!」
そして私は指を押し込むと、銃口には魔法陣のようなものが浮かび上がり、銃からはすごい圧力を感じる。
目に見えないほどのスピードで飛ばされた魔弾は、トールによって雷を纏い、耳をつん裂くような、激しい音を鳴らす。
いや早っ!目に見えない!
あとめっちゃ電撃が見える。
その電撃に触れると、竹は溶け出す。
とんでもない兵器が生まれた……
肝心のレールガンは、綺麗な軌道を描きつつ、周りの竹を触れるまでもなく消し飛ばす。
最終的には地面にぶつかり、バーンという爆発音と共に無くなった。
「……凄い、威力ですね。」
ははっ、と薄く笑いながら、静寂の中私に話しかける。
「そう、ですね。」
私はそんなありふれた言葉しか、返すことができなかった。
自分で作っておいてなんだけど、威力高すぎる。
人間、驚きすぎると言葉が出なくなるっていうのは、本当のことなんだ。
「皆!安心しろ。この武器があれば、カロォークなんて倒せてしまうぞ!」
アボデルさんが、村人達が安心できるようにそう声を張って伝える。
「おぉぉ!やったぞっ、これで悪夢は終わりだ!」
「やった!ありがとう、なも知らないぼうけんしゃさん。」
「まさか、本当にやるとは…」
と、村人達が、次々と私に感謝の言葉をかけてくれる。
……なんだろう、この気持ち。
私は、この依頼を受けたくて受けたわけじゃない。
それを、勘違いの結果色々あるうちにで受けて、今、感謝されている。
別に、私は誉められるような人間でもないし、感謝されるような人ではない。
今私がしているのは、偽善活動に過ぎない。心からの、善意ではない。
きっとロアなら、「そんなことないです!ソラお姉ちゃんは凄いです!」とか言ってれそうだけどね。
感謝されるのは嬉しいし、嫌な気持ちになんて、なりようがない。
でも、私が感謝されてしまっていいのだろうか?
本当に感謝すべきなのは、事の発端、勘違いをしたチャールさんや、土下座までして頼んでくれた、アボデルさん。依頼届を出しに行った男性(私は見たことないけど)だと思う。
だから、私はできる限りの笑みを浮かべる。
そして、ぎこちなくなってしまった顔でこう言う。
「皆さん、ありがとうございます。でも、褒められたようなことはしていません。」
誰もが、口を挟もうとするけど私の言葉に遮られる。
「私は、持っている知識を使い、それを実践しただけです。」
これは、日本で得た知識。私の力じゃない。そもそも、この力自体借り物だし。
「謙遜も、過ぎれば嫌味だ。」
1人の男性が、私にそう言った。
「では、オレ達は、誰に感謝を伝える?実際、こうして行動してくれているのは、お前だろう。」
「行動しているのは、成り行きですし、この力だって、詳細は伏せますが、借り物です。」
「それでも、お前は力を使って助けようとしている。それだけで、感謝される権利はあると思うが?」
「でも!」
「でもじゃない。」
その低く、力強い声に私はたじろぐ。
「お前のその体はなんだ?心はなんだ?お前はゴーレムでもなければ、からくり人形でも無い。行動まで、借り物では無いはずだ。」
そこで私はハッとする。
そうだ、私は私の体は、心は足の指先から、髪の毛一本一本、細胞一つ一つ、全てにおいて私のものだ。
それを動かすのも、全て私。
それに、私は感謝される人間じゃ無いとか、そんなことを考えてたけど、それを決めるのは私じゃなくてみんなだ。
「世の中には、感謝しないと生きてけない奴もいる。例えば、そこのお人好しバカとか、アボデルの爺さんのようにな。」
さっきのギロっと睨んだような目から一転、眩しいような、カラッとした笑顔で言う。
この前、チャールさんに説教みたいなことしちゃったけど、本当に説教が必要だったのは、私の方みたいだね。
「それじゃあ、頼んだぞ。カロォークの討伐。」
そう言って、肩をポンと叩く。
「ちょっと、誰がお人好しバカですか⁉︎」
「チャールがそうだなんて、一言も言ってないぞ。自分でそれを言うと言うってことは、自覚があるってことだな。」
「はっ、嵌められた…」
そんな風に2人は言い合い、一方は飄々と笑って見せ、もう一方は、グデッとしている。
なんか、私がこんな風に考えてるのが、バカみたいに思えてきた。
「やりますよ。絶対。」
村に帰ろうとする名前を知らないその人に、声をかけて呼び止める。
「そうか。」
「討伐したその時は、これまでに無いくらいの感謝をしてくださいね。」
改めて対面すると、小っ恥ずかしくなって、そんな軽口で笑わせようと試みる。
「随分と態度がでかくなったもんだな。」
「あなたが言ったんですよ。」
と言うと、お互いにどこからともなくぷっと吹き出す。
「ははっ、面白い小娘だ。しゃあねぇ、オレの名前くらいは言っておこう。オレはトレンストだ。」
「私は空です。」
もう一度、背景お母さん、お父さん。
私はこの異世界で、色々な人と出会っていい人ともたくさん出会いました。
今回みたいに、私のことを正してくれる人もいます。
これからもこの世界で生きていこうと思います。
まぁ、カロォークを討伐できない限り、この先もなにも無いんだけど。
———————————————————————
とんでもないネタ切れ感、そしてここに書くことの少なさがとんでもなくなり始めてます。
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