上 下
52 / 681
2章 魔法少女と竹林の村

51話  魔法少女は試してみる

しおりを挟む

 レールガン、初めて打つから緊張するね。
暴発とかしたらどうしよう。

 私なら耐えられるかな?
ステータス半減中だから、私でも危ういかもしれない。

 なら、村人達にはちょっと離れてもらおう。

「皆さん、もしもの為に下がっておいてください。危ないですから。」
そう言って、私より1、2メートルほど離してから、発射用意をする。

「それじゃあ、いきます。」
もう一度確認を取り、私は銃の形をしたレールガン発射装置に、指をかける。

 いや、レールガン発射装置って言いづらっ!
名前決めようかな?

 さっきの雷魔法が、神話の神様の名前にしたし、それにまつわる名前にしよう。

 なんだっけ…ミョ、ミョ…ミョなんとか。

 じゃあ、この装置の名前はミョルスカイにしよう。
 ミョなんとかと、レールガンのルの部分と、わたしの名前を混ぜた、なんとも安直な名前に仕上っちゃった。
 まぁいいや。

 さっき作った魔弾を一発装填し、(ミョルスカイには一発しか入らない)魔法を使う。

「魔力充填。トール。射出…」
魔法が込められ、発射の準備が整う。

「軌道修正、完了。そして、焦点を定める……出力調整、100%!」
そして私は指を押し込むと、銃口には魔法陣のようなものが浮かび上がり、銃からはすごい圧力を感じる。

 目に見えないほどのスピードで飛ばされた魔弾は、トールによって雷を纏い、耳をつん裂くような、激しい音を鳴らす。

 いや早っ!目に見えない!
あとめっちゃ電撃が見える。

 その電撃に触れると、竹は溶け出す。
とんでもない兵器が生まれた……

 肝心のレールガンは、綺麗な軌道を描きつつ、周りの竹を触れるまでもなく消し飛ばす。

 最終的には地面にぶつかり、バーンという爆発音と共に無くなった。

「……凄い、威力ですね。」
ははっ、と薄く笑いながら、静寂の中私に話しかける。

「そう、ですね。」
私はそんなありふれた言葉しか、返すことができなかった。

 自分で作っておいてなんだけど、威力高すぎる。

 人間、驚きすぎると言葉が出なくなるっていうのは、本当のことなんだ。

「皆!安心しろ。この武器があれば、カロォークなんて倒せてしまうぞ!」
アボデルさんが、村人達が安心できるようにそう声を張って伝える。

「おぉぉ!やったぞっ、これで悪夢は終わりだ!」
「やった!ありがとう、なも知らないぼうけんしゃさん。」
「まさか、本当にやるとは…」
と、村人達が、次々と私に感謝の言葉をかけてくれる。

 ……なんだろう、この気持ち。
私は、この依頼を受けたくて受けたわけじゃない。
それを、勘違いの結果色々あるうちにで受けて、今、感謝されている。

 別に、私は誉められるような人間でもないし、感謝されるような人ではない。
 今私がしているのは、偽善活動に過ぎない。心からの、善意ではない。

 きっとロアなら、「そんなことないです!ソラお姉ちゃんは凄いです!」とか言ってれそうだけどね。

 感謝されるのは嬉しいし、嫌な気持ちになんて、なりようがない。
 でも、私が感謝されてしまっていいのだろうか?

 本当に感謝すべきなのは、事の発端、勘違いをしたチャールさんや、土下座までして頼んでくれた、アボデルさん。依頼届を出しに行った男性(私は見たことないけど)だと思う。

 だから、私はできる限りの笑みを浮かべる。
そして、ぎこちなくなってしまった顔でこう言う。

「皆さん、ありがとうございます。でも、褒められたようなことはしていません。」
誰もが、口を挟もうとするけど私の言葉に遮られる。

「私は、持っている知識を使い、それを実践しただけです。」

 これは、日本で得た知識。私の力じゃない。そもそも、この力自体借り物だし。

「謙遜も、過ぎれば嫌味だ。」
1人の男性が、私にそう言った。

「では、オレ達は、誰に感謝を伝える?実際、こうして行動してくれているのは、お前だろう。」

「行動しているのは、成り行きですし、この力だって、詳細は伏せますが、借り物です。」

「それでも、お前は力を使って助けようとしている。それだけで、感謝される権利はあると思うが?」

「でも!」
「でもじゃない。」
その低く、力強い声に私はたじろぐ。

「お前のその体はなんだ?心はなんだ?お前はゴーレムでもなければ、からくり人形でも無い。行動まで、借り物では無いはずだ。」
そこで私はハッとする。

 そうだ、私は私の体は、心は足の指先から、髪の毛一本一本、細胞一つ一つ、全てにおいて私のものだ。

 それを動かすのも、全て私。

 それに、私は感謝される人間じゃ無いとか、そんなことを考えてたけど、それを決めるのは私じゃなくてみんなだ。

「世の中には、感謝しないと生きてけない奴もいる。例えば、そこのお人好しバカとか、アボデルの爺さんのようにな。」
さっきのギロっと睨んだような目から一転、眩しいような、カラッとした笑顔で言う。

 この前、チャールさんに説教みたいなことしちゃったけど、本当に説教が必要だったのは、私の方みたいだね。

「それじゃあ、頼んだぞ。カロォークの討伐。」
そう言って、肩をポンと叩く。

「ちょっと、誰がお人好しバカですか⁉︎」

「チャールがそうだなんて、一言も言ってないぞ。自分でそれを言うと言うってことは、自覚があるってことだな。」

「はっ、嵌められた…」
そんな風に2人は言い合い、一方は飄々と笑って見せ、もう一方は、グデッとしている。

 なんか、私がこんな風に考えてるのが、バカみたいに思えてきた。

「やりますよ。絶対。」
村に帰ろうとする名前を知らないその人に、声をかけて呼び止める。

「そうか。」

「討伐したその時は、これまでに無いくらいの感謝をしてくださいね。」
改めて対面すると、小っ恥ずかしくなって、そんな軽口で笑わせようと試みる。

「随分と態度がでかくなったもんだな。」
「あなたが言ったんですよ。」
と言うと、お互いにどこからともなくぷっと吹き出す。

「ははっ、面白い小娘だ。しゃあねぇ、オレの名前くらいは言っておこう。オレはトレンストだ。」

「私は空です。」

 もう一度、背景お母さん、お父さん。

私はこの異世界で、色々な人と出会っていい人ともたくさん出会いました。
今回みたいに、私のことを正してくれる人もいます。
これからもこの世界で生きていこうと思います。

 まぁ、カロォークを討伐できない限り、この先もなにも無いんだけど。

———————————————————————

 とんでもないネタ切れ感、そしてここに書くことの少なさがとんでもなくなり始めてます。






しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

イラついた俺は強奪スキルで神からスキルを奪うことにしました。神の力で最強に・・・(旧:学園最強に・・・)

こたろう文庫
ファンタジー
カクヨムにて日間・週間共に総合ランキング1位! 死神が間違えたせいで俺は死んだらしい。俺にそう説明する神は何かと俺をイラつかせる。異世界に転生させるからスキルを選ぶように言われたので、神にイラついていた俺は1回しか使えない強奪スキルを神相手に使ってやった。 閑散とした村に子供として転生した為、強奪したスキルのチート度合いがわからず、学校に入学後も無自覚のまま周りを振り回す僕の話 2作目になります。 まだ読まれてない方はこちらもよろしくおねがいします。 「クラス転移から逃げ出したイジメられっ子、女神に頼まれ渋々異世界転移するが職業[逃亡者]が無能だと処刑される」

幼馴染達と一緒に異世界召喚、だけど僕の授かったスキルは役に立つ物なのかな?

アノマロカリス
ファンタジー
よくある話の異世界召喚。 ネット小説や歴史の英雄話好きの高校生の洲河 慱(すが だん) いつものように幼馴染達と学校帰りに公園で雑談していると突然魔法陣が現れて光に包まれて… 幼馴染達と一緒に救世主召喚でテルシア王国に召喚され、幼馴染達は素晴らしいジョブとスキルを手に入れたのに僕のは何だこれ? 王宮からはハズレと言われて追い出されそうになるが、幼馴染達は庇ってくれた。 だけど、夢にみた迄の異世界… 慱は幼馴染達とは別に行動する事にした。 自分のスキルを駆使して冒険する、魔物と魔法が存在する異世界ファンタジー。 現在書籍化されている… 「魔境育ちの全能冒険者は好き勝手に生きる!〜追い出した癖クセに戻って来いだと?そんなの知るか‼︎〜」 の100年前の物語です。 リュカが憧れる英雄ダン・スーガーの物語。 そして、コミカライズ内で登場する「僕スキなのか…」がこの作品です。 その作品の【改訂版】です。 全く同じな部分もあれば、新たなストーリーも追加されています。 今回のHOTランキングでは最高5位かな? 応援有り難う御座います。

外れスキル?だが最強だ ~不人気な土属性でも地球の知識で無双する~

海道一人
ファンタジー
俺は地球という異世界に転移し、六年後に元の世界へと戻ってきた。 地球は魔法が使えないかわりに科学という知識が発展していた。 俺が元の世界に戻ってきた時に身につけた特殊スキルはよりにもよって一番不人気の土属性だった。 だけど悔しくはない。 何故なら地球にいた六年間の間に身につけた知識がある。 そしてあらゆる物質を操れる土属性こそが最強だと知っているからだ。 ひょんなことから小さな村を襲ってきた山賊を土属性の力と地球の知識で討伐した俺はフィルド王国の調査隊長をしているアマーリアという女騎士と知り合うことになった。 アマーリアの協力もあってフィルド王国の首都ゴルドで暮らせるようになった俺は王国の陰で蠢く陰謀に巻き込まれていく。 フィルド王国を守るための俺の戦いが始まろうとしていた。 ※この小説は小説家になろうとカクヨムにも投稿しています

いるだけ迷惑な最強勇者 〜ハズレスキル『味方弱化』が邪魔だと追い出されたので、この異世界で好き勝手させてもらいます!〜

束音ツムギ
ファンタジー
【完結保証!】  ——気づけば、クラスごと異世界に召喚されていた。  そんなクラスの中でも目立たない、ごく普通の男子『梅屋正紀』も勇者として召喚されたのだが、《味方弱化》という、周囲の味方の能力値を下げてしまうデメリットしかないハズレスキルを引いてしまう。  いるだけで迷惑になってしまう正真正銘のハズレスキルを手にした俺は——その場で捨てられてしまう。 「そんなに邪魔なら俺から出ていってやる」と、一人で異世界を旅する事になった俺は、旅の途中で《味方弱化》スキルに隠された効果が、Sランクスキルをも凌駕できるほどの最強の効果であった事を知る。  いるだけで迷惑な最強の勇者『梅屋正紀』が、異世界で無双するッ! 【小説家になろう】【カクヨム】でも連載中です!

『殺す』スキルを授かったけど使えなかったので追放されました。お願いなので静かに暮らさせてください。

晴行
ファンタジー
 ぼっち高校生、冷泉刹華(れいぜい=せつか)は突然クラスごと異世界への召喚に巻き込まれる。スキル付与の儀式で物騒な名前のスキルを授かるも、試したところ大した能力ではないと判明。いじめをするようなクラスメイトに「ビビらせんな」と邪険にされ、そして聖女に「スキル使えないならいらないからどっか行け」と拷問されわずかな金やアイテムすら与えられずに放り出され、着の身着のままで異世界をさまよう羽目になる。しかし路頭に迷う彼はまだ気がついていなかった。自らのスキルのあまりのチートさゆえ、世界のすべてを『殺す』権利を手に入れてしまったことを。不思議なことに自然と集まってくる可愛い女の子たちを襲う、残酷な運命を『殺し』、理不尽に偉ぶった奴らや強大な敵、クラスメイト達を蚊を払うようにあしらう。おかしいな、俺は独りで静かに暮らしたいだけなんだがと思いながら――。

役立たずと言われダンジョンで殺されかけたが、実は最強で万能スキルでした !

本条蒼依
ファンタジー
地球とは違う異世界シンアースでの物語。  主人公マルクは神聖の儀で何にも反応しないスキルを貰い、絶望の淵へと叩き込まれる。 その役に立たないスキルで冒険者になるが、役立たずと言われダンジョンで殺されかけるが、そのスキルは唯一無二の万能スキルだった。  そのスキルで成り上がり、ダンジョンで裏切った人間は落ちぶれざまあ展開。 主人公マルクは、そのスキルで色んなことを解決し幸せになる。  ハーレム要素はしばらくありません。

クラス転移したひきこもり、僕だけシステムがゲームと同じなんですが・・・ログアウトしたら地球に帰れるみたいです

こたろう文庫
ファンタジー
学校をズル休みしてオンラインゲームをプレイするクオンこと斉藤悠人は、登校していなかったのにも関わらずクラス転移させられた。 異世界に来たはずなのに、ステータス画面はさっきやっていたゲームそのもので…。

異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します

桂崇
ファンタジー
小さな町で酒場の手伝いをする母親と2人で住む少年イールスに転生覚醒する、チートする方法も無く、母親の死により、実の父親の家に引き取られる。イールスは、冒険者になろうと目指すが、周囲はその才能を惜しんでいる

処理中です...