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2章 魔法少女と竹林の村
43話 魔法少女は討伐に向かう
しおりを挟む今日は、約束の討伐の日。
依頼を無事達成させるために、私は万全な状態にしておいた。
昨日は夜、魔力は使わなかった。(髪を乾かすためには使ったけどね)1人枕投げもしなかったよ。
温泉にもゆっくり浸かって、(それはいつものこと)何があっても大丈夫なようにしておいた。
今の私は、最強ってことだよ。
「ソラ殿、今日は来てくれて、感謝する。」
「行くって言ったからね。」
逆に行くって言って来ない人って、なに?私は、そんな約束を破るような、酷い人じゃないよ。
いい人だよー…….多分。
「ソラ殿1人に行ってもらうのは悪い、チャール。着いて行ってやれ。」
「分かりました、アボデル村長。」
チャールさんは、アボデルさんの頼みを快く受け入れた。
そこから何やかんやあって、アボデルさんの家を出発して、チャールさんを案内係として進み始める。
カロォークがいる場所は、昨日の竹林とは真逆で、ちょっと開けたところだ。
まぁ、開けてなければ、カロォークは大きさ的に入らないよね。
ちゃちゃっと倒して、ちゃちゃっと帰ろう。
「チャールさんは、カロォークって見たことあるんですか?」
「はい、一度だけ。」
私は気になって聞くと、そう返って来た。
へー、見たことあるんだ。どんな印象だったか聞いてみようかな?
「実際に見てみて、どう思いました?」
怖かった?気持ち悪かった?色々あるけど、どうなんだろ。
「最初は、驚きました。この村に、あんなに大きな魔物が現れて…なんとも言えない恐ろしさがありました。」
初めて見た時のことを、話し始める。
「よく分からないけど、凄い重圧があって、竹の力を吸い取っていくんです。そして周りには、枯れ果てた竹が落ちていて…」
想像してみると、ちょっと気持ち悪くなって来た。
…待って、力を吸い取る?
え?あの、やたらと種類が豊富な竹の能力を、カロォークは持ってるってこと?
それって結構まずくない?
「絶望して、言葉が出なくなって、息を顰めてやり過ごしました。」
逃げたら襲ってくるかと思って…、とその時のことを思い出して、一気に震えている。
「でも、今回はソラさんがいるから、大丈夫ですね。」
ニコッと笑って、安心です、と言った。
荷が重たいよ。私は魔法少女だけど、普通の17歳の女の子だよ。そんな子供に、その重荷は辛いよ。
やれるだけやってみるけど、ダメならそれは仕方ない。
その後に、作戦とかも考えるつもりではいるけど、ダメそうなら、諦めるしかない。
「期待しすぎないでくださいね。」
私は改めて、そう口にして歩き進める。
話してる間にも、着実と進んでいって、立ち入り禁止の看板と、ロープの張られてる場所に着く。
「跨いでいってください。」
気をつけて下さいね、と私を気にかけてくれるけど、逆に、自分の足元が疎かになったせいで、躓いた。
「大丈夫ですか⁉︎」
膝についた砂を払いながら、イテテ、と苦痛を漏らす。
「ちょっと貸して下さい。」
「はい?」
私はチャールさんに、膝から手をどかすよう言って、ステッキをかざす。
ちょっと掠ってるだけだけど、念には念を。
これから、カロォークの討伐があるんだから、小さなことでも、解決出来るなら、なるべくしといたほうがいい。
「ヒール。」
ステッキから、癒しの魔力が注がれ、擦りむいた膝が、あっという間に塞がる。
「おぉ、凄いです。これが魔法ですか?」
「まぁ、ね。」
もっと凄いのもあるけど、まぁ、今はこういうのが魔法、っていうのが分かってくれればいい。
竹林までとはいかず、竹藪程度の竹の量で、そこを歩いて進んでいく。
獣道はできるだけ避けて、カロォークがいそうなところを探し回る。
「カロォークの好物は、上質な竹とアボデル村長が言ってましたので、こっちにある、美風竹の方に行きましょう。」
右の方向に指を差し、そうっと、警戒しながら進む。
美風竹?なんだろう、その竹。言葉からすると、美しい竹ってことなのかな?
上質と美しいって、ちょっと違くない?
美味しさで言ったら、食べられるだけの方が良くない?
でも、力をつけるためだったら、再生するあの竹を使った方が、個人的にはいいと思う。
「ソラさん?」
「いや、なんでもないです。」
私も急いで、チャールさんを追って美風竹の元に行く。
「…いませんね。」
「そうですね。」
やっぱり、能力を欲してるか、食糧を欲してるかの2択かな?
そうなると、力だと私は予想する。
「あの、竹の中でも、1番強い力のある竹って、なんですか?」
私は、当たりをつけるために、チャールさんにそんな竹がないかを、聞いてみる。
「そうですね……僕的に、1番厄介なのは、変形竹だと、思うんですけど…」
「じゃあ、それってどこにありますか?」
そこの周りに、カロォークがいるかもしれない。
「変形竹は、その名の通り、自由自在に変形していて、その竹の存在を認識するだけで、数年かかったんですよ。」
すいません、と申し訳なさそうに、俯いてしまう。
そんな貴重な竹なの?分からないだけで、いるのかもしれないけど、見つけられないんだったら、いないも同然だ。
他の竹を、探すしかないのかぁ。
そんな感じで、美風竹のゾーンを抜けていく。
ちなみに、美風竹というだけあって、ツルツルして、光ってて、綺麗だった。
お土産で持って帰ろうかな?
この街と、私の住む街で、交易でもしてくれたら嬉しいんだけど…何かいい案ないかな?
いやいや、そんなことより今は依頼だよ。
首をぶんぶんと振って、考えを振り払う。
「ソラさん、近いかもしれません。」
チャールさんの顔色が変わり、トーンを低めて警戒した様子で、周りを確認する。
私も同じく周りを見ると、枯れ果てた竹が、落ちていた。
———————————————————————
そろそろ敵が登場しますよ。
まだまだ、終わりには遠いですけどね。
ということは?ですよ。どうなると思います?
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