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2章 魔法少女と竹林の村
39話 魔法少女は旅館と共に
しおりを挟むカロォークの討伐⁉︎どういうこと?
「?」
「?」
「え?」
私たち3人に、静寂が訪れた。
「……なんですか、それ。」
私はそんな空気に耐えられず、消えそうな声でそう聞いた。
「あの?依頼じゃ…」
それから少し経ち、互いに色々と勘違いしていたことが発覚した。
まず、この村の事情から話そう。
この村は今、危機的状況にあるらしい。
さっきも言ったように、この村にはカロォークとか言う魔物が住み着いてしまったらしい。
門番達が対処に向かったらしいけど、攻撃が全く効かなかったとのことだ。
それで、1人の男性が街に依頼届けを出しに行って、そのタイミングで私が『依頼で来た』と言ったことによって、勘違いが発生したということだ。
私がタイミング悪く来たせいで、こんなことが起こったってこと?
私、悪くないよね。だってそんなの知らなかったんだもん。
「だから、帰っても…」
いいですか、と聞こうとした時、お爺ちゃんは机をバッと叩いて身を乗り出した。
「待ってくれないか⁉︎」
「…⁉︎」
ビックリした、えっなに?もう帰りたいんですけど。
「依頼を、受けてくれないか?」
このとおりだ、と言って土下座をしてくる。
ちょっ、土下座はやめてよ、顔あげて、ほんとに、顔は上げて。
…そこまでされたら断りづらくなるじゃん。断りたいよ、断りたいけど流石の私も、そこまで心は鬼じゃない。
もう出会っちゃったんだし、このまま、はい、そうですか。で帰るわけにはいかない。
でもな~面倒くさいし、やりたくないんだよね。
どうしよう、またもや私の心で戦争が起きている。
私の良心と、面倒くささが、ぶつかり合っている。……はぁ、仕方ない。
「分かりました、分かりましたから顔あげてください!」
私はもうやけくそでそう言って、顔を上げさせる。
面倒くさいけど、やるしかないか。仕方ない、私が人肌脱ぐしかないのか。
「本当か?」
「本当です。」
「…!本当に、感謝する。」
また深々と頭を下げ、土下座のような姿勢となる。
なんでよ、せっかく顔上げさせられたのに、なんでわざわざまた下げるの…
「ソラさん、ありがとうございます!村長、良かったですね、これでカロォークも討伐することができます。」
チャールさんは、一緒になって泣いて喜び、自分の村が救われることを喜んでいる。
やめて、そんな期待しないでよ。失敗しづらくなるし、何かあった時に逃げづらくなるじゃん。
もう、後戻りできない段階にいると言うのか?
神様め、こんな時にだけ残酷だぁ…
そういえば、まだ名前聞いてなかった。
私、最近人の名前を覚えられないからね。忘れちゃったら、ごめんってことで。
そんな風に、もう私が名前を忘れてしまった人達に、心の中で謝罪をした。
「ソラ殿、まだ名乗っていませんでしたな。わしの名はアボデルと言う。改めて、よろしく頼む。」
頭を下げながら自己紹介をした。
なんかちゃっかりお嬢さんからソラ殿に呼び方変わってるじゃん。
私、様とか殿とか付けられるほど、偉くないよ。
「分かったから、頭上げて!」
そんなこんなで、私は竹林の村から、討伐依頼を受けることになった。
アボデルさんが、この村1番の宿屋(どっからどう見ても旅館にしか見えない)を用意してくれて、私はそこの特別な部屋に泊まることになった。
明日は、依頼について詳しく話してくれるそうだから、今日はゆっくり疲れを癒して、寝ないとだね。
「まさか、こんな厄介なことになるのは…」
私は部屋に向かう最中に、そうこぼしていた。
ガラガラっと扉を開いて、足を踏み込んだ。
そこには、なんと畳らしきものが敷いてあった。
おぉ!ジャパニーズ畳!私の家にも1部屋和室あったけど、触り心地が違うね。
いいものは違うってこと?
それじゃあ私の家のやつが悪い物みたいになっちゃうね。
言い方を変えよう。やっぱり、世界が違うとこう言う差も生まれるんだね。よし、これでいこう。
私は靴を脱いで、畳に座る。
やっぱり畳は素足の方がいいね。
久しぶりの畳ーあぁ、このまま眠れそう。
でも、ご飯も食べてないから、寝るのは後の楽しみにしておこう。
まぁ私は、弁当で好きなものは後に残しておく派だからね。関係あるか知らないけど。
この部屋は凄いよ、だって庭があるんだもん。
ご飯が来るまで、庭にでもいようかな。
庭に行こうと、立ち上がったと同時に、入り口が開かれた。
ご飯かな?ちょっと早いけど、まぁいいや。お腹空いてるし。
私はどんなご飯がやってくるか楽しみで、ワクワクしながら机に向かっていく。
「失礼致します、ソラ様。当旅館には、あちらに温泉がありますので、好きにご使用ください。そして、代金は払わなくて結構です。」
正座をして、丁寧な言葉遣いでおかみさん?らしき人が説明をする。
あっご飯じゃなかった。私がそれだけご飯食べたかったてことなのかな?
それにしても、温泉かぁ。修学旅行で一回しか入ったことないな。
よっし、入ろうかな?でも先にご飯食べちゃってからの方がいいよね?そうしよう。
「あの、少し早いですけど、夜ご飯出してくれませんか?」
そう言うと、「承りました」と言い、襖を閉じる。
……今気づいたけど、おかみさん、着物着てなかった?着てたよね。着てたよね!
私、温泉も着物も修学旅行以来なんだよね。
パパッと素早くご飯を食べて、温泉入ろーっと。
「にしても、綺麗な庭だね。」
私の興味は、また庭の方に移った。
あと、ステッキずっと握ってると邪魔だから、置いとこうか。別に取られるわけじゃないし、いいよね。
これ、フラグじゃなくて、神様パワーで私が持った状態じゃないと、触れないようになってる。
やっぱり神様、凄い。
この世界に来て分かったことは、神様の偉大さだね。今まで、無神論者だったけど、神様崇めちゃう?まぁ、崇めまではしないけど。
そんな風に、適当に部屋をぶらついていたら、食事の準備ができたらしく、入り口がまた開く。
よっし、ご飯食べますか。
———————————————————————
今度は銭湯じゃなくて、温泉です。
またソラを温泉に入れ込んでやります。
せいぜい楽しみなさい。
ソラ「わーい」
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