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2章 魔法少女と竹林の村

34話  魔法少女は気になる

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 ようやくお店のことも落ち着いてきて、私もゆっくり出来るようになった。

 まぁ、ほとんどゆっくりしてたけどね。お店の方は、顧客も獲得したみたいで繁盛しているようだ。
さすがにあの時のような繁盛ぶりは見せることは無かったけど、普段から繁盛してるので、そこは安心した。

 私は久々、では無いけど冒険者ギルドに行こうと思う。

「ソラさん。依頼ですか?」
ファーテルさんが受付から挨拶をしてくる。

 …ほんとにいつもいるね、ファーテルさん。この人に、休みあるのだろうか。

「体、気をつけてください。」

「は、はぁ。」
意味がわからない、と言った様子で眉を顰めつつ短く言った。

 突然あんなこと言われたらそうなるか。知らないうちに、声に出ていたよ。

 よーし、適当に依頼を確認してみようかな?

「依頼、依頼、依頼っと。」
観察眼を発動して、依頼ボードの確認を始める。

 面白そうなのがないなぁ、護衛とか卵回収とか色々あるけど、こんなこと言ったらなんだけど、全部つまらなさそう。

 …?この『アボルデルの探索』ってのなに?
聞いてみよう。

「ファーテルさん、このアボルデルってなんですか?」
私は受付まで行ってそう聞いてみる。

「あぁ、アボルデルですね。森の先にある竹林です。」

 竹林?竹林かは確認してないけど、森の先にあっあこの間の黒の穴?まさか、まさか?それだったら私やるよ、依頼。

「迷いの竹林と呼ばれていて、近くにあるのに、中を知るものは誰1人いないんです。」

 そうなんだ。でも、迷いの竹林ねぇ。面白そうだね。行ってみようかな?

「今まで行った冒険者達は、全員帰ってこなかったんですよね。」
はぁ、とため息をついてそう言っている。

 ……め、めっちゃ、怖いじゃん。それ。
えっ、怖くなってきた。どうしよう、この依頼。

 欲と欲のぶつかり合いが起こっている。
私の探求欲と防衛欲が、激しい戦争を起こしている。

 竹林にを探索したい、調べたい、知りたい。そんな欲求と、竹林で遭難したりするのが怖くて、行きたくないという防衛欲。

 でも、圧倒的に探求欲の方が上回る。

 新しい魔物、新しい魔法、新しいスキル、新しい出会い、新しい冒険にはそういうものが付き物だからね。
 うわー楽しみになってきた。

「ファーテルさん、その依頼、受けてもいいですか?」
冒険者カードを渡して、そう言った。

「ソラさん?話聞いてました?」
「危ないんですよ、ほんとに、嘘じゃ無くて」とマシンガンのように、高速で止めてくる。

 だったら、カードを張る必要あったの?ってなりますよ。

「いやいや、私は大丈夫だから、速くカードに依頼受諾中の確認入れて。」
余裕余裕、とファーテルさんに言う。

 私の探求欲を舐めてもらっちゃあ困るよ。
織田信長とかが鳴かぬなら 殺してしまえ ホトトギス みたいな句を読んでたけど、私だったらこうだ。
      鳴かぬなら
      (鳴く)器官を探そう
        ホトトギス

だ。知りたいことも、答えも、待ってたってやってきやしない。だから、私は自分で答えを探して、それで納得したうえで満足したい。

 それは自己満かもしれないけど、それで私はいいと思ってる。
どこかの家康さんは待とうと言ってたけど、待つことがいいとは限らない。

 他人任せじゃなくて、自分で乗り越えてこそ楽しくなる。

 ゲームだって、全て1人で攻略したし、友達からは「歩く攻略本」と呼ばれていた。

 まぁ、そんなことはどうでもいいけどね。
考え方は人それぞれだ。

「ほんと、なんですよね。」

「ほんとなんですよ。」

「まじ、なんですか?」

「まじなんす。」

「本気と書いて、マジですか?」

「本気と書いてマジです。」
ゲームで、変な名前にした時に聞き返しまくってくるやつみたいな感じで、何度も聞いてくる。

「……分かりました。」
最後は根負けしたようで、素直に受諾中マークを入れた。

「ありがと、ちゃんと戻って来るから。」

「絶対ですよ、ほんとに危険なんですから、ソラさんがいなくなったら、この街にとって大損害ですから!」

 絶対なんて言っちゃったら、フラグが立ちそうな気がするから、あの言葉に頷くのはやめよう。

 そして私がいなくなると損害?そんなもの出るの?
 そんなわけないよね、ははは。ないよね?

「まぁ、それはそうと魔法を創ろう。」
そう呟いて、椅子に腰掛ける。

この前のモノパージで、SPも結構貯まったし、作っちゃいますか。

 スキルの底上げよりも、今はスキルの数がないとだしね。

 まずステの確認から行きましょうか。

 名前 美水 空
 
 年齢 17歳

 職業 魔法少女

 レベル 23

 攻撃560   防御610                

素早さ800   魔法力1020   魔力1100

 装備 魔法少女服 魔法少女ステッキ

 魔法  アクアソーサーⅤ 魔導書Ⅵ(-2) 神速Ⅴ      ファイボルトⅣ+1 万属剣Ⅳ+1 投擲Ⅲ
 鑑定眼Ⅴ+1 食材生成Ⅱ+1

 スキル 魔法生成 魔力強化 魔力付与 
 魔力感知 魔法記憶 身体強化 詠唱破棄
  覚醒 魔法分解 振れ幅調整

  SP   565

 ふむふむ、中々にいいんじゃない?
そしてこの振れ幅調整とは、なに?見てみよ。

 振れ幅調整
ステータスの値を好きにいじることが出来る。
例)魔力1100  防御610→魔力1200  防御510
そしてSPを使用することによって、そのステータスの上昇が高まる。

 うぉ、ここにきてこんなスキルが手に入ったよ。チートレベルなんじゃない?地味に。

 こういうステータス系のやつは、アニメとかでみるに当たりだからね。
ステータス極振り!とか、そういう系も多かったしね。

 実際やってみた結果がこちらになります。

攻撃500   防御500                

素早さ700   魔法力1180+1   魔力1210

 SP465

といった感じに振れ幅を調節しといた。

 このプラスマークは振れ幅上昇のやつだと思う。

 ってスキルに気を取られてたせいで、魔法創ってないじゃん!夢中になりすぎてた。

 えっと、いい魔法はないかなっと。
……よし、これでいいかな。

 新魔法、魔導法。
効果は魔法全般の威力の上昇、それと魔法に類する秘術等が扱いやすくなる。
といった風になった。

 秘術?はよく分かんないけど、火力を上げるのは大切だと思ったからそうした。
(本当は補助魔法か攻撃魔法を創ろうと思ってた。なんて、口が裂けても言えない)

 これをちゃちゃっと強化して、っと。
魔導法Ⅲ+1、完成。

 ちなみにこの+は、魔法の変形を可能にするというものだ。
簡単に言うと、私の魔力や、それに触れたものの形を自由に変えられるという、神魔法に仕上がったわけだ。

 私は満足げに、椅子から立ってギルドを出た。

———————————————————————

 久しぶりの、ステータスチェックでしたね。
色々厄介になってきました。これからもどんどんややこしくなります。
 大変ですね。
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