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1章 魔法少女と異世界の街

14話  魔法少女は見られてた

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 炎と水を用意した私は、スネイクを宙に浮かせていた竜巻を消した。

 その直後私はゆっくり炎を落とし水も少ししてから落とす。
その上に蓋をして、完全に密閉した。

 ここまでくれば、後はもう簡単。

 今、壁の内側で起こってることを適当に説明するとこうだ。

 スネイクは今は落ちている途中なので何も出来ない。炎はスネイクに迫りそれと同時に水もやってくる。

 スネイクが地面につく前に炎が目の前にやってきて、その炎に水が落ちてくる。

 水は一瞬のうちに蒸発し、水蒸気となる。
密閉された空間で、水蒸気は逃げる場所がなく、そのまま膨張する。
 
 そう、これは水蒸気爆発だ。

 そのまま膨張し続けた岩の壁は言葉じゃ言い表せないほど巨大な音と共に爆発した。

 その威力は絶大で、洞窟の壁まで削り、最初より広くなった。

 スネイクは力つきたのか、爆風と共に壁にぶつかり、倒れる。

「やった、倒…せた。」
私は魔力の使い過ぎと、精神的疲労によってその場に座り込む。

「よかったぁ、倒した。」
私はそのまま床に寝そべった。

「誰も来てないし、いっか。」
そんなことを考えてたら。

「ソラ…ちゃん?大丈夫!?」
あっ、エリカ。

 エリカの存在忘れてた。
今の戦い、見られてた?ってか今魔法少女服なんだけど。え?

 そんな考えが頭をぐるぐると周りその場に倒れてしまった。

————————————

 ソラちゃんはスネイクと対峙して互角に戦う。

「ソラちゃん…」
私は不安になる。

 ソラちゃんとは私と同じくらいの歳なのに、あんなに大きな魔物にも恐れず立ち向かっていける勇気があってすごいと思う。

 それは無謀ではない。ちゃんと戦えているのだから。私じゃ到底無理だ。

 それからソラちゃんは色々な魔法を試したあと、最後の一撃のように炎と水を作った。

 どうやったらあんなに速く、あんなに強い魔法が作れるの?そもそもなんで攻撃魔法で傷がつけられるの?

 いくら魔力があっても魔法自体が弱いから戦えないはず。
でもソラちゃんは戦ってる。

 どういうことが分からず、段々混乱してくる。

 すると突然ソラちゃんの方から爆発音が聞こえ、それと同時に爆風が起こる。

 私はよろけながらなんとか岩場に掴まり、耐えた。

「ソラちゃん!」

 私は急いでソラちゃんの元へ駆け出す。

 すると、私の顔を見たソラちゃんは倒れた。
その時のソラちゃんの格好は可愛らしいけど、ちょっと露出の多い服だった。

————————————

「ソラちゃん!ソラちゃん!」

 うーん、もう少し寝かせて…って

「はっ、私はなにを?」
エリカが目の前にいる。私は魔法少女服を着ている。地獄のような状態だ。

 私はそっと床に頭をつけ、眠りにつく。

「ちょっと!2度寝しないで!」
エリカが怒ってくる。

「ごめんごめん。」
私は謝りながらエリカの前に座る。

「色々聞きたいことがあるんだけど。」
エリカが言う。

 ナンノコトカナーワタシ、ワカンナイナイナー。

「とぼけた顔しない。」
おっと、ばれてた。

 この服のこと?それとも服?もしかして服?
私の頭には服のことしか無い。

「その格好、なに?」
やっぱりそうでしたか。これだけ服服言ってたのに違ったみたいギャグにはならなかった。

「いや、その、これは…あれだよ。そう、凄い装備でね、便利なんだよ。」
そう濁して言うと

「そんなスカスカな装備、売れないよ。防御が全然出来ない装備は装備って言わないよ。」
ど正論が返ってきた。でも本当に凄い装備としか言いようがない。色んな意味で。

 しょうがないよ、神様からもらったチート装備だなんて言えないもん。

「まぁ、そんなことはいいとしてソラちゃん、大丈夫?」
心配してくれる。

 心以外なら、大丈夫。
私はメンタル的に大ダメージを受けている。
服のことと戦いのことで。
 服の方がダメージが大きいのはなんでだろう。

「…戻ろうか。」
 私はエリカにそんな提案をする。

「大丈夫?…でも早く戻って休んだ方がいいか。」

 私は宿に戻るため倒れてるスネイクをステッキで収納する。

 凄いよね。こんなギルド一つ分くらいあるの巨体をこんな小さいステッキに入るんだから。
 神様チート様々だね。

「え?ソラちゃん!?何したの!」
あっエリカにまた見られた。これくらい(全然これくらいなんてものじゃ無いけど)いいか。

「私は収納の能力があるステッキを持ってるから、仕舞っただけだよ。」

「仕舞っただけって…」
呆れ顔で見てくる。

 私もエリカの立場だったらそんな感じになったと思う。

「まぁいいや、ソラちゃんの行動にいちいち驚いてたら疲れちゃう。」
はぁーと溜息をつきながら言う。

 エリカは苦労して冒険者をやってるのに対して私はチートの力で冒険者をしてる。溜息もつきたくなるか。

「あと、ソラちゃん。その格好じゃ色々不便でしょ。たまたま私も似たような服持ってたからこれ着て。」
私は「ありがとう」と短くお礼をして着る。

 やっぱり上に何か着ると気が落ち着くね。

 私はエリカと一緒に洞窟を出るため出口に向かう。

「ふーはぁ…久々の外の空気だー。」

「久々ってさっき来たばっかじゃん。」
あれ、そうだっけ。

「エリカ、帰ってきたのか。」
ゼンが腕を組んで私たちを見上げる。

 見えてるのかな?それ。

「うん、ただいま。もう、色々大変だったんだから。」
私はエリカに降りることを伝えると、引き攣った顔をする。

 さっきあんなに叫んでたからね。今度はちゃんと行こう。そうしよう。
 そう思ってたんだけど。

「キャーーーーー!」
思ったより跳ねちゃった。
私は心の中でエリカに謝っておく。

「もう、行きも途中も帰りも、散々だよ。」
涙目になって言う。
そんな怖い?

「洞窟には何があった?」
ゼンは聞く。

「中にはたくさんスネイクがいたけど…ソラちゃんが全部倒しちゃった。」
ほらと核石と素材の入った袋をゼンに渡す。

 ゼンも目を開いて驚いてる。

「それとソラちゃんが凄いの倒したの。」
エリカは私にあのボススネイクを出すように言う。

「はいはい。これだよ。」
私はステッキから巨大なスネイクを出す。

「……!!なんだ、これは。」
声が出ないほど驚いてる。
大変だったからね、倒すの。そんなに驚いてくれるとなんだか嬉しい。
 ロアにもこのこと喋ろうかな。ってかロアの父親に会ったことないなぁ。

 私はステッキにスネイクをしまい早く行くよう言う。
 正直早く帰って寝たい。
報告したらすぐ帰ろう。

 そう決意しながら、冒険者ギルドに向かう。

———————————————————————

 ソラは無事に睡眠は出来るのか!?
(題名で分かります。)
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