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1章 魔法少女と異世界の街
2話 魔法少女は女の子を助ける
しおりを挟む女の子の泣き声が、どんどんこちらに迫ってくる。
「助けてっ…助けてっ!…誰かぁ…」
泣きながら誰かに助けを求める。
可哀想…だけど私も戦い方なんて知らないし、
あぁでも女の子を見殺しなんて出来ないし…
「あぁ!もう。助けるよ、助けてあげるよ!」
声の聞こえる方に走り出すと、女の子が見えてくる。
「……!助けて!お願いします!助けてください!」
そう顔をぐちゃぐちゃにしながら私に言う。
「分かった。で、何に追われてるの?」
魔物?だよね。なんか聞こえてきたし。
「ケルベロスっていう魔物。すごく、怖いの。」
鼻水をすすりながら答えてくれる。
ケルベロス?あの頭が三つある犬みたいのだよね。だから犬の鳴き声なのかな?
すると前の草木の隙間からなにかがこっちにやってくる。
そう、ケルベロスだ。
「あれが…ケルベロス?」
なんか小さい。でも可愛いとは思えない。だって顔が怖いんだもん。
「うん…そうです。」
「ねぇ、危ないから下がってて。」
私は女の子に優しく言ってあげる。
「わかりました。」
素直に後ろに下がっていく。
うーむ、どうしよう。戦う手段がない。
あっれやばいやばい。どうやって倒せばいいのこれ?
なんか汗が出てきたんだけど。
私が焦っているとピコーンと音が聞こえてくる。
視界に手紙のような画面が広がる。
空様へ
すみませーん。スキルがあっても魔法が使えないから戦えませんよね。なので特典として一つ好きな魔法を使えるようにしておきます。
神様より
よっしゃ!タイミングいい!
「えーと…どうしようなんの魔法がいいんだろう。」
えーい、悩んでる暇なんてない!
「アクアソーサー!」
頭の中で水の刃が回転している様子を浮かべ、魔力を流す。
すると目の前に水の刃が現れる。それを飛ばすイメージで魔力を込める。
「やった出来た!」
私は小さくガッツポーズをする。
「グルルルルルルゥゥゥ!」
ひぃなんか唸りながら避けてきたんだけど。
なんで避けてくるの!そんな意味のないことを言う。
「もう、どうにでもなれぇ!」
私は五つのアクアソーサーを作り出し、攻撃する。
バラバラに動き回るアクアソーサーにケルベロスは翻弄される。
「当たれぇ!」
魔力をまた込め、速度が上がる。
ケルベロスは避けきれず、当たっていく。
「グルゥアァァ!」
どんどんケルベロスに私の攻撃が当たり動かなくなる。
「たっ倒した…よね?」
ステッキでつんつんして確かめる。
するとまたピコーンと音がなる。
「……ッ!びっくりした…」
一呼吸おき、確認してみる。
名前 美水 空
年齢 17歳
職業 魔法少女
レベル 1 → レベル 3
攻撃100 → 130 防御80 → 100
素早さ150 → 180 魔法力350 → 390
魔力500 → 550
装備 魔法少女服 魔法少女ステッキ
魔法 アクアソーサー(new)
スキル 魔法生成 魔力強化 魔力付与
魔力感知(new)
SP 0 → 250
最後に二つ、倒した魔物をステッキの先でさわるとその魔物の能力を手に入れられるからねーそれとその魔物からは適当なアイテムが手に入るよー
あと矢印は次からないからね。 神様より
…なんか神様のノリが軽くなってない?
そんなことはどうでもよくて、倒した魔物をステッキの先でさわる?さっきやったよね?
確認のためもう一度ステッキで触れてみる。
魔法少女ステッキ
攻撃150 防御100 素早さ180 魔法力200 魔力200
スキル
収納 魔法力上昇 魔法耐性 俊敏(new)
なんかステッキにもステータスがあるんだけど。
これって自分のステータスにプラスされるってことでいいよね?
「俊敏…早くなるってやつか…」
色々と考えていたら、女の子がこっちにくる。
「…ありがとうございました。私、何もできないけど…助けてくれてありがとうございました。」
何度も何度も頭を下げる。
女の子に泣きながらそんなに頭を下げられると悪いことしてる気分になるね。
「大丈夫、別に見返りとか求めてないからね。」
安心させるためにそう言う。
「お姉ちゃん、魔法が使えるの?」
「うっうん使えるよ。」
一つだけだけど。使えるには使えるよ。
「でも、お母さんが魔法使いは弱くて、一人で魔物なんか倒せないっていってたよ。」
えっ魔法使いが弱い?なんで?
「なんで魔法使いは弱いの?」
なんでだろう、すごい気になる。
「えっとまず魔法の数が少ないんだって。あと攻撃ができるほど魔力と才能を持った人がほんとに少ないんだって。」
えぇ…神様ーそれはないでしょ。魔法少女に転生させてその転生先は、まさかの魔法が弱い世界?
酷いよね、それ。
「私は…その、あれ特別なの。うん特別。」
戸惑いながら女の子に言う。
私、挙動不審すぎじゃない?
「そうなんだ…凄いです!」
子どもの純粋な眼差しが私に向く。
違う、違うんだよ。これは仕方のないことなんだ。あと私は凄くないよ。凄いのは神様だよ。
「ねぇ私は旅をしていてこの森で迷っちゃったんだ。だから街に案内してくれる?」
丁度よかったので街の場所を聞くことにする。
話も変えたかったし。
「分かりました!私でよければ。」
そう言ってくれる。ありがたいなぁ。
「ありがと。」
お礼を言っておく。
「ありがとうって言うのは私だよ。あと私の名前はロア。お姉ちゃんは?」
「私?私は空。」
ロアに名前を教える。
「ソラお姉ちゃんですね。いい名前です。」
ロアは笑ってそう言ってくれる。
その笑顔は100点満点の笑顔だった。
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