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第2章 七魔編-七魔団vsBOX・FORCE-
[第27話:Invisibilia atramento]
しおりを挟む遂に本部襲撃を始めた樫間達"七魔団"。
"七魔箱"の能力によって、本部40階に到達した道影と東雲の前に現れた特殊部隊員たち約20名程が、一斉にマシンガンの引き金を引いて2人を狙った。
「地獄に落ちろぉぉぉぉぉぉ!!!!」
無数の弾丸が2人目掛けて飛んでくる。
…が、しかし…
その全ての弾丸は空中で動きを止めた。
そして、その全てが方向転換して特殊部隊員たちを襲撃した。
「「「うわぁぁぁぁぁっっっ!!!」」」
特殊部隊員たちは防弾チョッキに身を包んでいたが、何名かはそれをすり抜け被弾していた。
「怯むなぁぁぁぁぁ!!!撃てぇぇぇ!!!」
特殊部隊員たちは、再びマシンガンの引き金を引いた。
「…学習能力のねぇ奴らだなぁ?」
すると今度は、道影が"悪魔の大槌"を大きく一振りしてその弾丸全てを弾き飛ばした。
「…つまらねぇ。潰すぞ。」
道影はそう言うと、黒いオーラを全身から放出させた。
「…"黒浮弾滅"っ!」
道影のその呟きと共に、衝撃波が特殊部隊員たちを襲った。
すると、特殊部隊員たちの身体がふわふわと浮遊し始めたかと思えば、そこから仲間同士で激しくぶつかり合った。
衝突の衝撃で、特殊部隊員たちは次々に気絶していく。
「…俺の能力の対象者は皆、ゴムボールのように浮かび跳ね上がって、縦横無尽に飛び回っちまうのさ。」
道道影がそう言うと、最後に残った2人の特殊部隊員が激しく空中で激突した。
その2人も気絶したのを確認すると、道影は東雲に怪しい笑顔を見せた。
「…"浮遊"と"物体操作"、相性最強じゃねぇか…。」
道影はそう呟いた。
道影のあまりにも怪しい微笑みに、東雲は背筋を震わせた。
_
一方、チャンは"肉体強化"によって驚異的な速さで特殊部隊員たちを倒して行った。
「…特殊部隊…ねぇ。」
チャンは地面に転がる特殊部隊員たちの姿を見下ろして、そう呟いた。
「…チャンさん。」
チャンは突然、名前を呼ばれた事に驚き背後を確認した。
そこには江神がいた。
「…そこの角、"電気室"がある。
ダウンさせてもいい?その方が早い気がするんだけど…。」
江神はそう言うと、チャンの立つ通路の奥を指差した。
「なるほど、いい案だな。」
チャンはそう答えた。
「…"クリスティーナ・パンダ"って人、どんな人なの?」
ふと、江神はチャンにそう問いかけた。
チャンは少し黙って、それから何かを思い出したかのように答えた。
「…俺の知るのは、"偽り"の奴だけだ。
但し、これまでの間その"偽り"を守り抜いてきた奴だ…。只者ではないのは確かだ。」
チャンがそう答えると、江神はそれを聞きながらスッと電気室に向かった。
「…仲間とは、やはりそうやって"偽り"によって生まれて、そして最後全てを裏切っていくのね…。
紘さんは、私や私たちの事を裏切ったりしないよね?チャンさん。」
江神は静かにそう言った。
その言葉には、計り知れない大きくて黒いものがあるとチャンは感じていた。
「…その問いに対する答えは1つ。
"樫間 紘紀"はそんな次元の人間じゃない、って事だけだ。」
チャンは江神の後に続いて電気室に向かいながら、そう言った。
チャンの答えに、江神は何かを思いとどまって立ち止まった。
すると、立ち止まる江神のすぐ横をもの凄い勢いで風が流れて行った。
どぉぉぉぉぉぉぉぉん!!!!!!!!
そして、大きな衝撃音と共に電気室の頑丈な扉が吹き飛んだ。
チャンが殴り飛ばしたのだ。
「…安心しろ。俺はお前を信じている。
"悪魔の巨兵"の実力、見せてみろ。」
_
一方、樫間と堀崎は本部に侵入せずに正面入り口前に残留していた。
「…何故本部に侵入しなかった?堀崎。」
樫間は怒っている様子はなく、ただ単純にその疑問を堀崎にぶつけた。
「1番賢い方法があるからさ。」
堀崎は自慢げにそう言って、45階建ての本部ビルを見上げた。
「樫間、このビルの最上階に何があるか知ってるか?」
堀崎は不意に、樫間にそう問いかけた。
「…さぁ。」
樫間は不思議そうに堀崎を見てそう答えた。
樫間には、堀崎の考えがまだ読めていなかった。
「…ありゃおそらく…敵の大将首だぜ。樫間。」
堀崎は笑みを浮かべてそう言った。
その目は"千里眼"を発動していた。
「…なるほど。やっとお前の考えが読めた。」
樫間はそう言うと、"悪魔の双剣"の白刀を抜刀した。
抜刀のモーションのまま、その刃先は堀崎を掠めた。
「…つっ…、流石樫間。」
樫間に突然斬りつけられたにも関わらず、堀崎はそれを見越していた様であった。
「…行くぞ堀崎。ここからは、甘くないぞ。」
樫間がそう言うと、2人の姿は一瞬にして消え去った。
堀崎が"千里眼"で敵の位置を特定したと察知した樫間は、"白刀"で堀崎を斬りつける事によって、堀崎に"速さ"を与えた。
2人の思考が合致した時、2人は既にその動きに入っていた。
ビル内部に侵入はせず、2人は外壁スレスレを高速飛行して最上階へ向かった。
本部最上45階は、一面展望ガラスで囲まれていた。
そのガラスが勢いよくぶち破られる。
「「…っ!?」」
2人は突入と同時に、驚いた表情を見せた。
堀崎は確かに敵の姿をその目で捉えていた筈であったが、そこには誰もいなかった。
「…俺の"千里眼"が狙いを外すわけねぇ…。」
堀崎は慌てて、再び"千里眼"を発動させ、索敵した。
「…っ!樫間!エレベーターだっ!」
堀崎が何かを見つけてそう叫んだ。
その時、樫間がエレベーターに目をやると、その階数表示は確かに下へ降っていた。
…かなり高速に…。
樫間は咄嗟に、通信機に手を当てた。
「…総員、本部離脱っ!本丸が外に逃げやがるっ!」
そう言い終わると、樫間は割れた展望ガラスに向かって走り出した。
「…何してる堀崎っ!降りるぞっ!」
樫間はそう言うと、窓から飛び降りた。
「…まじかよ…。」
嫌々そう呟きつつも、堀崎も樫間に続いて落下した。
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