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第2章 七魔編-七魔団vsBOX・FORCE-
[第20話:Belli victoria]
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「…おいおい。笑わせんなよ。」
チャンはそう言うと、一瞬のうちに抹梨の目前まで詰め寄った。
「…俺たち、今この場に初めて降り立ったんだぜ?」
チャンはその言葉と同時に、抹梨にも拳を振い
その姿を吹き飛ばした。
(…何言ってんだこいつ…さっきから…。)
矢島はそこまで考えつくと、慌てて葉坂の姿を見た。
「…今まで俺たちとずっと戦っていたじゃないかって?…そうだな、ご苦労なことだ。
どうだ?俺の創り出す、分身幻影の実力は。」
葉坂の姿は、一瞬にして霧のように消え
そして、その言葉と共に"悪魔の大鎌"の刃先を矢島の首筋に当てていた。
「…流石の参謀も、ここまでは想定外ってか?」
葉坂は、馬鹿にした目つきで矢島の姿を見てそう言った。
「…どうする?俺たちはまだ、余裕だぞ?」
チャンも矢島の元に近づくと、そう言って矢島を睨んだ。
「…まじかよ…。」
矢島は、2人の姿を見ながらそう呟いた。
しかしどこか、その目は諦めてはいないように見えた。
「…矢島、お前のことを評価しているのは嘘ではない。
…だからこそ、そこにいるのは勿体無い。
どうだ?"七魔団"の参謀として、樫間に掛け合ってやってもいいんだ。」
チャンは、そう言って矢島を説得した。
「…それも、悪くねぇなぁ…。」
矢島の反応に、チャンは少し驚いた様子を見せた。
チャンは、矢島に裏切るという選択肢がないように見えていたからだ。
「…けどなぁ、俺は先代の事も、桂の事も捨てるわけにはいかねぇんだよ。
"BOX・FORCE"を否定するって事は、"BOX・FORCE"に命懸けてきた人間をも否定するって事だ。
…俺には…それはできねぇ。」
矢島はそう言って俯いた。
それは、矢島にとって一瞬の隙を作るための策でもあった。
しかし_
「…そうか。では教えてやろう。
その命懸けが、後悔に繋がるということをなぁ!」
ボンッ!!!
鈍い音と共に、チャンの拳が矢島の腹部を捉えた。
「…ガハッ…。」
チャンの"悪魔の拳"を食らい、矢島は気絶した。
「…お見事。"作戦勝ち"ってところだな。
…この程度なら、樫間の目的もすぐに終わりそうだな。」
地面に横たわる、矢島、スミレ、抹梨の姿を見て、
葉坂はそう呟いた。
戦場を後にしようと、振り向くとチャンに
葉坂は声をかけた。
「おい、こいつら殺さなくていいのか?」
葉坂の言葉に、チャンは振り向くことなく答えた。
「…殺す必要がない。殺すのは、クリスティーナ・パンダのみで十分だ。
…いい勝負になると思ってたが…大きく見誤っていたようだ…。
樫間の指示通り、奴の元へ向かうぞ。」
チャンがそう言い残すと、2人は姿を消した。
_
所変わって、新宿。
JRのガード下を潜った先の、靖国通りの大交差点。
樫間と東雲は、その交差点の大型ビジョンのあるビルの屋上に降り立った。
「…着いたぞ。」
樫間は、腕の中の東雲をそっと地面に降ろした。
「…ここ…。
…ここで戦おうというのね。」
東雲は、辺りを見渡す前にその場所を理解した。
「つい先日の出来事なはずなのに、随分と長い時間が経ってしまったみたいに感じる…。」
東雲の髪が、夜風に靡いた。
その目は、周囲の景色をどこか懐かしそうに見ているように伺える。
そして、少し寂しそうでもあった。
「…後悔、してるか?」
樫間は、その東雲の様子を伺うようにそう言った。
「…まさか。確かに、ちょっととんでもない世界に来ちゃったなぁって感じはあるけど…。
あのまま歌舞伎町にいたって、私は何も変わらなかったと思う。
…今は、私に与えられた使命があるから。
それを全うできる事に後悔なんてしてないよ。」
東雲は、純粋な目をしていた。
"悪魔の力"を手にした者とは思えない程に、清く、真っ直ぐに…。
「…そうか。
ならば、俺にはその使命を全うさせるという使命があるようだな。」
樫間はそう言うと、急に鋭い目つきで周囲を睨み始めた。
「…安心してくれ。君の命は俺が保証する。
思う存分暴れるんだっ!」
樫間はそう言うと、突然地上に向かって飛び降りた。
「えっ…!ちょっ…。」
東雲は手を伸ばして樫間の奇想天外な行動を止めようとしたが、
樫間の速度はそれを上回った。
樫間は、空中で"悪魔の双剣"を抜刀した。
そして、地面を強く睨みつけた。
そこにいたのは…。
「…来たわね…。かっしぃぃぃぃぃ!!!!!」
雷虎の轟きが、新宿一帯を響き鳴らした_。
チャンはそう言うと、一瞬のうちに抹梨の目前まで詰め寄った。
「…俺たち、今この場に初めて降り立ったんだぜ?」
チャンはその言葉と同時に、抹梨にも拳を振い
その姿を吹き飛ばした。
(…何言ってんだこいつ…さっきから…。)
矢島はそこまで考えつくと、慌てて葉坂の姿を見た。
「…今まで俺たちとずっと戦っていたじゃないかって?…そうだな、ご苦労なことだ。
どうだ?俺の創り出す、分身幻影の実力は。」
葉坂の姿は、一瞬にして霧のように消え
そして、その言葉と共に"悪魔の大鎌"の刃先を矢島の首筋に当てていた。
「…流石の参謀も、ここまでは想定外ってか?」
葉坂は、馬鹿にした目つきで矢島の姿を見てそう言った。
「…どうする?俺たちはまだ、余裕だぞ?」
チャンも矢島の元に近づくと、そう言って矢島を睨んだ。
「…まじかよ…。」
矢島は、2人の姿を見ながらそう呟いた。
しかしどこか、その目は諦めてはいないように見えた。
「…矢島、お前のことを評価しているのは嘘ではない。
…だからこそ、そこにいるのは勿体無い。
どうだ?"七魔団"の参謀として、樫間に掛け合ってやってもいいんだ。」
チャンは、そう言って矢島を説得した。
「…それも、悪くねぇなぁ…。」
矢島の反応に、チャンは少し驚いた様子を見せた。
チャンは、矢島に裏切るという選択肢がないように見えていたからだ。
「…けどなぁ、俺は先代の事も、桂の事も捨てるわけにはいかねぇんだよ。
"BOX・FORCE"を否定するって事は、"BOX・FORCE"に命懸けてきた人間をも否定するって事だ。
…俺には…それはできねぇ。」
矢島はそう言って俯いた。
それは、矢島にとって一瞬の隙を作るための策でもあった。
しかし_
「…そうか。では教えてやろう。
その命懸けが、後悔に繋がるということをなぁ!」
ボンッ!!!
鈍い音と共に、チャンの拳が矢島の腹部を捉えた。
「…ガハッ…。」
チャンの"悪魔の拳"を食らい、矢島は気絶した。
「…お見事。"作戦勝ち"ってところだな。
…この程度なら、樫間の目的もすぐに終わりそうだな。」
地面に横たわる、矢島、スミレ、抹梨の姿を見て、
葉坂はそう呟いた。
戦場を後にしようと、振り向くとチャンに
葉坂は声をかけた。
「おい、こいつら殺さなくていいのか?」
葉坂の言葉に、チャンは振り向くことなく答えた。
「…殺す必要がない。殺すのは、クリスティーナ・パンダのみで十分だ。
…いい勝負になると思ってたが…大きく見誤っていたようだ…。
樫間の指示通り、奴の元へ向かうぞ。」
チャンがそう言い残すと、2人は姿を消した。
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所変わって、新宿。
JRのガード下を潜った先の、靖国通りの大交差点。
樫間と東雲は、その交差点の大型ビジョンのあるビルの屋上に降り立った。
「…着いたぞ。」
樫間は、腕の中の東雲をそっと地面に降ろした。
「…ここ…。
…ここで戦おうというのね。」
東雲は、辺りを見渡す前にその場所を理解した。
「つい先日の出来事なはずなのに、随分と長い時間が経ってしまったみたいに感じる…。」
東雲の髪が、夜風に靡いた。
その目は、周囲の景色をどこか懐かしそうに見ているように伺える。
そして、少し寂しそうでもあった。
「…後悔、してるか?」
樫間は、その東雲の様子を伺うようにそう言った。
「…まさか。確かに、ちょっととんでもない世界に来ちゃったなぁって感じはあるけど…。
あのまま歌舞伎町にいたって、私は何も変わらなかったと思う。
…今は、私に与えられた使命があるから。
それを全うできる事に後悔なんてしてないよ。」
東雲は、純粋な目をしていた。
"悪魔の力"を手にした者とは思えない程に、清く、真っ直ぐに…。
「…そうか。
ならば、俺にはその使命を全うさせるという使命があるようだな。」
樫間はそう言うと、急に鋭い目つきで周囲を睨み始めた。
「…安心してくれ。君の命は俺が保証する。
思う存分暴れるんだっ!」
樫間はそう言うと、突然地上に向かって飛び降りた。
「えっ…!ちょっ…。」
東雲は手を伸ばして樫間の奇想天外な行動を止めようとしたが、
樫間の速度はそれを上回った。
樫間は、空中で"悪魔の双剣"を抜刀した。
そして、地面を強く睨みつけた。
そこにいたのは…。
「…来たわね…。かっしぃぃぃぃぃ!!!!!」
雷虎の轟きが、新宿一帯を響き鳴らした_。
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