BOX・FORCE

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第2章 七魔編-七魔団vsBOX・FORCE-

[第15話:Invidia・Segnities・Cupiditas]

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「…"焔馬装:ナイトホース"っ!」

彩科院は力の限り、道影に向かって"裁馬刀"を振った。

「…弱ぇんだよ。お前如きじゃなぁ!!!」

道影は、向かい来る彩科院にそう叫んだ。
彩科院は一瞬動揺したように動きが止まったが、怯まずそのまま突っ込んだ。

「…つまんねぇよ。お前。」

道影はそう呟くと、担いでいた"巨大ハンマーリヴァイアサン"を左腕で持ち上げ、彩科院に向かって振った。

彩科院は空中で身動きが取れない上に、その身体の勢いは真っ直ぐ道影に向いていた為、
"リヴァイアサン"を避けられなかった。

「…グハッ…!」

彩科院は真っ向から"リヴァイアサン"を喰らって、勢いよく屋敷の母屋に吹き飛ばされた。

屋敷の一部が大きく損壊し、彩科院は大広間のある辺りで静止した。

「…鬼介様っ!」

怪音を聞きつけた彩科院家の執事、日向ひゅうがが慌てて彩科院の元に駆け寄った。

「…爺…全隊員に…緊急…連絡…。"悪魔…襲来"…。」

彩科院はそれだけ呟くと気を失った。

「…ふっ、つまんねぇ。俺が部隊Cに挑めば良かったぜ。ズルいなぁ樫間。」

道影は、余裕堂々そう言った。
彩科院では力不足だったのか、強敵と思われる部隊Cの元へ向かった樫間に嫉妬した。

「…そろそろあの2人も片付くか。
終わったら、新宿集合…ね。」



_


「…何なんだ…お前のその"眼"…。そして、その"悪魔の力"とやら…。」

白峰は、目の前の堀崎を見るやいなや、思いをそのまま呟いた。

「…俺たちはのだ。"七魔箱デビルズボックス"に。
そして、樫間に…な。」

堀崎は、そう言うと"悪魔の弓ベルフェゴール"を構えた。
が狙う先は、白峰ただ1人。

「…答えになってねぇぞ。」

白峰も、負けじと"炎鳥皇フェニキス"を構えた。

「…それを知って、お前はどうするんだ?俺たちを止めてみせるか?
それとも…それを知った上で、俺たちに敗北するか…?」

堀崎はそう言って白峰を煽った。
堀崎の挑発が、白峰の冷静さを徐々に欠いていく。

「負けるわけがない!お前たちには負けない!
…隊長…樫間だろうと誰だろうと、戦ってみせる!」

白峰は見事に挑発に乗ってしまった。
"悪魔の弓ベルフェゴール"を引く堀崎に向かって、白峰は走り出した。

「…馬鹿かコイツは…。」

堀崎はそう呟くと、ギリギリまで白峰を引き付けた。
白峰が射程圏内に入ると、その右手の"悪魔の矢"は
"悪魔のオーラ"を纏いながら放たれた。

黒い一閃の矢は、ブレる事なく白峰に向かって進んでいる。

(…やってみせる…!)

白峰は、前に構えた両拳に炎のオーラを纏った。
そして、矢との距離が3m程に近づいた時
白峰は突如、炎のオーラを纏った左拳を自身の右側の空間に向かって放った。

誰も何もないはずの場所に拳を打ち込んだ白峰。
しかしその瞬間、堀崎に向かって真っ直ぐに進んでいた白峰の身体は、大きく左側に進行方向を変えた。

白峰の身体が左側に逸れた時、その右側を"悪魔の矢"が通過した。


「…何?」

堀崎は、白峰の瞬間移動トリックに驚いていた。
それも束の間、再び白峰は堀崎に向かって来る。

(…"炎鳥皇"の炎を推進力に、拳を放って瞬時移動を可能とする…"炎燕翼えんえんのつばさ"、いけるっ!)

白峰は勝利を確信した。
いや、してしまった。

「…"悪魔の五月雨ベルフェゴール・インブリ・サジッタールム"。」

そう言って放たれた堀崎の"悪魔の矢"は、雨の様に無数に白峰に襲いかかった。
勝利を確信する白峰の裏で、堀崎は容赦なく次弾を用意していた。
"炎燕翼"で高速移動する白峰だが、全てを避け切るにはそのスピードは不十分であった。


左肩、右腿、右腹部、右腕と、白峰の身体に
"悪魔の矢"が突き刺さる。

(…くっ…ここで…やられる…訳には…。)


白峰の拳の炎は、徐々にその勢いが衰えていった。

"悪魔の五月雨"が止むと、白峰はその場に立ち尽くした。
しかし、そのまま両膝を着いて俯いてしまった。


「…我々は"悪魔"だ。逆らおうとした事を悔やむが良い。」

堀崎は、気力を失って俯く白峰にそう言い放った。

「…道影も仕留めたか…。」

堀崎は少し離れた場所で戦闘を行っていた道影の姿を確認してそう呟いた。



(…まだ…まだここで…やられる訳には…俺には…俺に…は…。)

白峰は気を失い、その場に倒れ込んでしまった。
その拍子に、首に付けたネックレスが壊れて外れてしまった。

そのネックレスに付いていたのは、犬の形をしたアクセサリー。

(…里…海…ご…めん…。)


_


戦士としての本能は、まだ衰えてはいなかった。


「…もうすぐ、パパが帰って来るからね。」

大きくなった自身の腹部に手を当ててそう言ったのは、菊野 里海…否、白峰 里海である。

ふと、彼女の顔を風がよぎった。
部屋の窓は閉まっているはず、と彼女は辺りを見回した。

「…渉くん…。」

彼女は、静かにそう祈り続けた。

_


(…助けて…聡ちゃん…!)

咲波は、必死にそう願い続けた。
彼女の背後から迫るのは、"悪魔の腕マモン"を広げてた江神であった。

ふと、咲波はポケットの中を漁り、何かのスイッチを取り出した。

(…お願い…っ!)

彼女は、逃げる最中それを押した。

しかし、何も起きない。

何度も何度も必死に逃げながらを押すが、状況は変わらない。

背後からは、江神の"悪魔の腕マモン"が迫る。


(…聡ちゃん…!)


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