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第1章 NAMELESS編-序編-

[第5話:Rose II]

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『自由が丘上空と板橋上空に、NAMELESSと思われる生体反応あり!数は…自由が丘が4と板橋が…8!?"リコリス"、"ローズ"、現場急行願います!』

"ローズ"と合流して3日目、激しいサイレン音と共に、そのメッセージは各隊員に渡った。

『樫間、お前は俺と板橋行くぞ。残り4人は自由が丘へ向かえ!』

獅蘭は、専用メッセージで各隊員に伝えた。




自由が丘上空ー

白峰、迅雷寺、菊野、蓮田が現場に集まると、そこには4体のNAMELESSがいた。

「腕何本あるんだよありゃ…」

蓮田は、NAMELESSを見上げて呟いた。
NAMELESS特有の菱形の腕が、それぞれ8個ずつ、縦横無尽に飛び回っていた。
それが、4体分…。

「OK…とりあえず、各ペア2体ずつ始末する。やれるか?」

蓮田は言った。

「了解です。」

白峰が答える

「了解っ!」

迅雷寺は答え、箱装を起動した。

「えぇ…どうしよう…勝てるかなぁ…」

菊野は怯えながら言った。

「大丈夫だ。つべこべ言ってねぇで起動しろ!」

蓮田は菊野に言う。
菊野は自身の箱装を起動し、言った。

「30秒で片付けるよ!」

そう言うと、真っ先に飛び出した。

「ったく、扱いのめんどくせぇ女だぜ。」

蓮田は言うと、 自身の箱装を起動した。
すると、小型の鼠が蓮田の肩に現れた。

「頼むぜベイビー。派手にやろうか!」

そう言うと、鼠が光りだし、蓮田の手にはそれぞれ2個ずつの小型爆弾が現れた。

「喰らいな。"閃光せんこう"っ!」

蓮田は、2体のNAMELESS目掛けて、その爆弾を投げ込んだ。
2体のNAMELESSは爆撃の反動で身動きが取れなくなっている。

「まだまだ、"火箭ロケット"っ!」

NAMELESSの背面から蓮田は現れ、無数のロケット花火のような武器で攻撃する。

「椎ちゃん、あの爆風に四方八方から雷打ち込めるか?」

蓮田は、迅雷寺に言った。

「四方八方から雷を打ち込む…それなら!」

迅雷寺は刀を構える。すると、刃に大量の雷が発生した。

「"桂流七の舞、粒星獅子りゅうせいしし"っ!」

迅雷寺は刀を大きく振った。刀に纏われた雷は空高く舞い上がる。すると、無数の流星群のように雷がNAMELESSに降り注ぐ。

「まだまだっ!"五の舞、桜乱獅子おうらんしし"!」

今度は、刀を地面に大きく振った。すると、地面に当たった雷は無数に分散し、NAMELESSに向かって飛び散った。

爆風が晴れ、そこには2体のNAMELESSが麻痺して動けなくなっている。

「よし、決めてくれ。」

蓮田は言った。

「"三の舞、飛雷獅子"っ!」

迅雷寺が刀を地面に突き刺すと、NAMELESSの下から雷の柱が現れた。
それは、見事に2体の核を貫いた。

「椎ちゃん、中々やるね。」

蓮田は迅雷寺を見ながら、感心した。

「ありがとうございます!」

迅雷寺は笑顔で答えた。



一方、白峰&菊野サイド。


「…よし、俺が2体を弱らせるので、菊野さん最後決め…って、あっ!」

白峰は、作戦を菊野に伝えようとするも、菊野はそれを他所にNAMELESSに突っ込んだ。

「"菊野流弐の咲、菊葉衝きくばしょう"っ!」

菊野の一振りで、無数の葉がNAMELESSを襲う。
菊野の攻撃は、2体のNAMELESSに直撃するも、相手は怯まず菊野に向けて突っ込む。

「効いてない?…ならばっ!」

菊野はすかさず、迎えうつ。

「ちょ、待て!菊野さん!」

白峰は止めに入ろとするも、菊野は聞く耳を持たない。

「陸の咲、菊空陣きっくうじんっ!」

菊野は刀で大きな弧を描くと、それを打つようにNAMELESSに飛ばした。
2体に直撃し、1体は怯んで動けなくなっていた。

「チャンス!"肆の咲、菊死刃きくしのやいば"っ!」

菊野が怯んでいる1体目掛けて攻撃をしようとすると、後ろからもう1体が攻撃態勢に入っていた。

「なっ…!」

菊野は背後から来る攻撃を避けられずにいた。

「…"炎槌えんづち"」

そう言うと、白峰は菊野の背後にいるNAMELESSに上空から炎の拳を打ち込んだ。

NAMELESSは、そのまま地面に勢いよく落ちた。

「…全く、油断しちゃダメじゃん。菊野さん。」

落ちたNAMELESSを見ながら、白峰は言った。

「渉さん…」

菊野は一瞬、普段の乙女な菊野の表情で、白峰を見つめた。

「さ、決めるよ。」

白峰はそう言うと、落ちたNAMELESSに向かった。

「美しく、儚く、燃え散れ。"炎美えんび"っ!」

白峰の炎を纏った拳が、NAMELESSを貫いた。

菊野も我を取り戻し、攻撃をした。

「"参の咲、菊〆斬きくじめぎり"っ!」

鋭い軌道を描き、蔦の攻撃がNAMELESSを真っ二つに斬り裂いた。
2体のNAMELESSは、静かに消滅した。

「白峰、菊野、撃退完了です。」

『了解。よくやった。』

白峰の通信に、蓮田が答えた。




一方、板橋の樫間と獅蘭は…

2人とも、かなりの戦闘を行なったのか、息は切れ、損傷も激しい。

「…ふぅ…やるな、紘紀。そっちあと何体だ?」

獅蘭は、ボロボロになりながら、背後にいる樫間に言った。

「あと2体…そっちは?」

樫間も、腕から流れる血を押さえながら獅蘭に言った。

「ふっ…俺はあと1体半ってところかな。」

2人とも立つのがやっとほどの状態だが、再び武器を構えた。

「…どうする?…応援呼ぶか?」

樫間は獅蘭に言った。

「…バカ言え。やるんだよ。俺らで。行けんだろ?」

獅蘭は、笑みを浮かべながら言った。

「…そう言うと思ったぜ。」

獅蘭の答えに、樫間は、全身に力を入れた。

「…聡悟さんところで訓練してて良かったぜ。自分の限界は、まだまだ先にあるって事を知れたからなっ!」

そう言うと、樫間は氷の龍の鎧を纏った。
その鎧は、以前の戦闘より鋭く大きなものになっていた。

「"双頭氷龍銃ツインバーストヴルム…第3形態…氷暴双牙龍アイスバーストフルヴルム"っ!」

樫間を背中越しに見ていた獅蘭も、全身に力を入れた。

「へっ…やるじゃん。…"永猿棒モンキーマジック斉天大聖形態せいてんたいせいモード"っ!」

獅蘭の持つ棒状の武器、"永猿棒モンキーマジックが太く長く成長し、獅蘭の両肩、両手首、両足にオレンジ色の炎のようなオーラが纏われた。そして、腰には尻尾のようなオーラも出ている。

『白峰、菊野、撃退完了です。』

『了解。よくやった。』

白峰と蓮田の通信が、2人の耳元の通信機に届いた。

「さて、俺らも終わらせるぞ!」

「もちろんだ。」

獅蘭と樫間は、それぞれ目の前にいるNAMELESSに向かって飛び出した。


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