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45話、辺境伯領内にオークが現れる
しおりを挟むサビオが目覚めてから2か月が過ぎてもナチラス聖国の動きは無く、リュウトたちはサビオに精神修行をさせられていた。
彼は精神魔法の使い手で、能力が7以下の者なら相手の精神を支配して思うように操る事が出来るのだ。
それを聞いたダンライが。
「それなら、普通の人の能力は多くても4くらいだから、ナチラス聖国の国民を味方にすれば戦争しなくとも堕天使の教皇たちだけを倒せば良いのではないのですか」
「それは無理だ。私が操れる人数は一度になら100人までだ」
「残念、でも戦争に成ったら、指揮官を精神操作して優位に戦いを進める事が出来るでしょう」
「それは可能だが、将軍クラスになると能力も高くなり、稀に8の者がおるのでそんな時は1人しか精神操作が出来ないのだ」
そう言いながらサビオはリュウトたちに精神に攻撃している。精神攻撃に対する対抗策は自分の意志の強さだけで、リュウトには精神攻撃は効かない。
ナナファ―ナとダンライは油断すると催眠術に掛かった様になる、2人は強い意志で精神攻撃を跳ね返していた。
能力が7のサヨナァはサビオに操られたり、跳ね返したりの繰り返しだった。
慣れて来ると自分の意志の力で跳ね返せるようになり喜んでいる。
余談だが後に諜報部のサスハがサビオの精神攻撃魔法を真似て少し練習しただけで出来るようになり。
能力4以下の人なら精神攻撃出来る様になってサビオを驚かしていたのは別の話だ。
それから数日してシャロム辺境伯家から緊急連絡があり、魔物が森に現れて街に向かっていると言って来たのだ。
急いでベレー帽特殊部隊の10隊1100人を連れて移転扉から辺境伯領に飛ぶとガンゾイ辺境伯が待ち構えていた。
「リュウトよく来てくれた。魔物の数は10匹だが領兵では倒すことが出来んのだ。もうすぐ街に近づくので何とかしてくれんか。このままでは領民に被害が出そうなのだ」
「分かりました。俺たちは直ぐに出発します」
街の外に出ると魔物が遠くに見えて鑑定してみると普通のA級魔物のオークなのでいい機会と思い、ベレー帽特殊部隊に戦わせる事にした。
「ジャンク、丁度10匹だから、一隊が1匹相手に戦わせてみろ」
「はい、了解です。おい、お前ら訓練の成果を見せるチャンスだ。一隊が1匹を相手にして倒してみろ、リュウト様の前で無様な戦いは見せるなよ」
「はい、ジャンク将軍、日頃の訓練の成果をリュウト様にお見せします」
ベレー帽特殊部隊がオークに向かい走り出して戦い始めた。
最初に炎の攻撃魔法でオークの動きを止めて次に斧を振りかざして来たオークを防御魔法使いが盾のバリア―を張り防いだ。
槍使いと剣士が四方から攻撃して傷を負わせ、最後は獣人戦士二人が肉弾戦で傷つき弱ったオークを倒したのだ。
他の隊も同じように隊員同士が上手に連携して危なげなく10匹のオークを倒してしまい。
隊の連携が上手で戦士たちが1人も傷を負わずに、A級魔物のオークを倒した事が嬉しくて、これならS級魔物でも倒せるのではないかと思い拍手をして絶賛した。
「ベレー帽特殊部隊は凄いな。A級魔物を軽々と倒したのには驚いたよ。良くここまで訓練して強くなったな」
褒められた戦士たちは嬉しそうに。
「ありがとうございます。此れも、リュウト様の指導のお陰です」
ライナが可笑しそうに悪戯な顔で。
「閻魔大王将軍のジャンクのシゴキの賜物じゃじゃないの。 アッハハ」
「え~! ライナそれは無いよ。俺は閻魔大王かよー」
ジャンクの言葉に全員が爆笑して、オークを倒したベレー帽特殊部隊と俺たちは意気揚々と街に帰ったのだ。
街に帰ると、戦いを見ていた人たちが歓声を上げて出向てくれ、ガンゾイ辺境伯が驚いた顔で。
「リュウトたちが戦わなくて、戦士たちだけでA級魔物を倒すとは信じられん・・・・・・驚いたよ」
その日は、久しぶりにサヨナァが両親と話したいだろうと思い、ガンゾイ辺境伯の屋敷に泊まる事にしたのだ。
夕食の後に、ガンゾイがジャンクに隊の構成や戦い方、訓練の仕方を詳しく聞き辺境伯軍でも取り入れる事にしたみたいで、2人は熱心に意見交換している。
辺境伯軍には槍を使う者が少なく、弓使いが多いので槍使いの代わりに弓使いを入れた隊の構成にした。
それを聞いた弓が得意なエルフ族のライナが俺の許可を取りプテラノ軍にも弓部隊を作り、自ら弓部隊をシゴキいや、訓練してベレー帽特殊隊の剣士を一人減らして代わりに弓使いを入れたのだ。
弓使いを入れると遠方からの攻撃も出来て攻撃の幅が広がり、いい結果を生んだのだ。
辺境伯領内にオークを送り込んだのはナチラス聖国だと思い、そろそろ堕天使たちが何か仕掛けて来るか、それとも一気に宣戦布告して来るだろうと思って臨戦態勢を取ったのだ。
諜報部のハンドイが報告に来て。
「いよいよ、敵が動き出しそうです。如何やら、帝国が先に動いてバンダイ公国に攻めそうです。
もしかしたら陽動作戦かも知れませんので注意が必要です。それと、これは内密ですがサスハとサイゾィが結婚するみたいです」
「そうか、それはめでたい事だ。孤児院の卒業生が2人を慕って諜報部に入っている者もいるので、いい影響を与えるだろう。嬉しい事だ。引き続き聖国と帝国の監視を頼む」
ハンドイの報告を聞き、堕天使の本隊は魔物の部隊だと思ってナチラス聖国に一番近い辺境伯領からの攻撃が本命だと思い。
もしかしたら帝国領と接しているプテラノ領とバンダイ公国にも戦力を割かせる為に攻撃して来るかも知れないと考えて、3面作戦を立てる事にしたのだ。
一番可能性の低い自分のプテラノ領と帝国の境界線に久しぶりに龍神王の姿で飛んでいき、其処に防御壁を長さ10km、幅2m、高さ10mに作り。
防御壁の上には監視塔を設置してもしもの時には、軍を素早く移動出来る様に移動扉も設置した。
同様にバンダイ公国と帝国の境界線、辺境伯領とナチラス聖国の境界線にも防御壁を作り、移動扉を設置して防御壁の内側には3か所とも、千人を収容出来る砦を加えた。
こうして、堕天使サリスン・ナチラス教皇と戦う準備を整えたのだ。
仲間も担当部署を決めて、プテラノ領の砦にサビオを、辺境伯領の砦をダンライとサヨナァに、バンダイ公国の砦をナナファ―ナとライナを担当させて俺リュウトは、どこにでも行けるように待機する事にしたのである。
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