上 下
33 / 58

33話 諜報部の活躍

しおりを挟む
 リュウトたちは、領地経営とナチラス聖国とドアイル帝国の対応が忙しく、特別に王立学園の卒業試験を受けて全員が無事に合格して卒業したのだ。

 海の見える城で暮らし始め、此処での生活にも慣れて、相変わらずナチラス聖国とドアイル帝国の動向を見ながら軍の質の向上の為の訓練をしている。

 戦力を上げる為に兵士の数を増やそうとして募集していたが、応募してる人は大勢いるのだが兵士に向いている人が少なく。

 そういった人たちを兵にしても軍に付いて行けずに、戦力にならないので募集をやめて、今いる兵士の実力を上げて倍以上の数の敵に勝つための厳しい訓練に日夜励んでいる。

 最近は、冒険者としての活動も少なくなっていたが、領地のギルマスのギョウムが城に来て。

「最近、辺境伯領の森に見た事の無い鬼みたいな魔物が現れて、森に入った冒険者が襲われ、中には殺された冒険者もいるのです。魔獣とは違い、二本足で歩き人間に近いが牙と角があるので魔獣とは呼ばずに魔物と呼んでいます」

 此の世界には、ラノベ小説の定番のゴブリン、オーク、オーガが居ないのに気が付いていたが、この世界には4本足で歩く魔獣しかいなと思っていたのだ。

 リュウトは気になり。

「その魔物は一種類ですか? どんな顔をしているか分かりますか」

「私は実際に見ていなので分かりませんが、三種類いるそうです。出来たら、リュウト様に辺境伯領に行って調べて欲しいのです。依頼を受けて頂けませんか」

「分かった。シャロム辺境伯家とは親密な間柄だから明日にでも行ってみるよ」


 その晩に、リュウトが天守閣にある露天風呂に入り、1人で暗い海と星空を見てのんびりとしていると、ダンライが露天風呂に来て。

「あれ、リュウト居たんだ」

「うん、星空が余り綺麗だから風呂に浸かりながら見ていた」

「へぇー リュウトは意外とロマンチストなんだ」

「意外とはなんだよー! 此れでも夢多き青年だから」

「プッ、ハーハハ、失礼、思わず笑ってしまったよ。本当の事を言うと、僕はリュウトが最初から普通の人と違うと思っていたよ。リュウトが龍人王様と知った時は僕たちと別世界の人だと思った。

 でも、その後も変わらなくて僕と友達付き合いをしてくれて嬉しかったし、そんなリュウトが夢多き青年なんか言うから笑えて僕たちと同じ人間で良かったと思ったのさ」

「そうか、ありがとう。今のダンライの言葉は嬉しいよ。此れからも親友ととして宜しく」

「アッ! やっぱりいた~」

 そう言って騒ぎながら、ナナファ―ナとサヨナァにライナが水着姿で露天風呂に乱入して来たのだ。

 サヨナァはダンライの側に行き、ナナファ―ナとライナはリュウト側に行き腕を絡ませたので両側に2人の弾力のある柔らかい物が当たり、どうしたものかと嬉しいような困った様に困惑したのだ。

 ライナが上手くいった顔で。

「リュウト、両手に花で良い気分でしょう」

「う、うん。でも・・・・・・」

 サヨナァはダンライに。

「ねぇー 男同士で何を話していたの? やっぱりエッチな話なの」

「そんな話はしていなよ。リュウトと知り合ってからの事を話していた」

「本当かしら?」

 リュウトとダンライは裸なので、この状況に下半身が反応し始めてしまい。

 頭にのせていたタオルで下半身を隠して難を逃れて女性たちがお風呂から出た後に。

「うちの女性たちは、肉食系だよな」

 と言い、頷き合ったのでした。


 そんな騒ぎのあった次の日にリュウトたちは、移転してシャロム辺境伯家に行き、魔物の調査を始めたのだ。



 その頃、諜報部の責任者ハンドイは、諜報部の全員を集めて、此れからの諜報活動の指示をして。

「サスハ、君はナチラス聖国に潜入して教皇の正体と動向を探れ」

「はい、了解です。多すぎると見つかりやすいので俺は部下を3人だけ連れて行きます」

「分かった。サイゾィ、君は同じようにドアイル帝国を探れ、但しお前は女だから捕まると何をされるか・・・・危険だから慎重に行動して少しでも危ない時は撤退しなさい」

「はい、了解です。でも女だからと差別しないでください。此の仕事に危険は付き物ですから」

 2人が音もなく部屋を去ると、ハンドイは。

「さて、俺はこの国に入り込んでいる、スパイどもの排除をしなくては」

 独り言を言い、リュウトから渡された探知と鑑定を組み合わせた闇魔法使いだけに反応する魔道具の腕時計を付けて仕事に出かけた。

 ハンドイが付けた腕時計に見える魔道具は闇魔法使いに反応する様にしたかと言うと、スパイなど諜報員は闇魔法を使える者の職業だからだ。

 リュウトが開発したスパイを発見する為の魔道具は腕輪の周囲2kmに闇魔法使いがいると、赤く点滅する。

 相手の位置が分かる仕組みで今日から初めて使うがハンドイは諜報員全員に腕時計を配り、国内に潜入しているスパイの排除に乗り出した。

 その日だけでナチラス聖国のスパイ5人とドアイル帝国のスパイ3人を見つけて後を追うと、ナチラス聖国のスパイ5人はリュウトの身元の調査とリュウトに関する事を調べ回っていた。

 帝国のスパイ8人は軍部の動向と戦力を調べていたが8人のスパイ全員を捕獲して、此れもリュウトから渡された催眠自白魔道具で自白させたのだ。

 ナチラス聖国のスパイは、巫女長にリュウトを徹底的に調べるように命令されていて、ドアイル帝国のスパイはオスガン王国の軍を調べるよう指令されていた。

 反対に、相手の知っていることを聞いたが、重要な情報は無く、サスハとサイゾィの調査待ちの状態なのだ。

 その後もスパイの捕獲を続けて20人を捕獲し、王国からスパイを排除したが、捕獲したナチラス聖国スパイは執拗にリュウトの情報を集めていたのが気になり、リュウトに報告したのだ。

 帝国に潜入したサイゾィは、冒険者を装い情報を集めていた。帝国は大陸の制覇を隠す気は無く、平民でも知っている位で大事な情報は無かった。

 何か重要な情報は無いかと、サイゾィは部下と3人である日に、帝城に忍び込み探っていると、第3将軍の行動がおかしく調べると、ナチラス聖国が送り込んだスパイだったのだ。

 サイゾィはリュウトに連絡して指示を仰ぐと、聖国と帝国の関係を悪化させるように言われて、第3将軍が聖国のスパイだという証拠を集めて第2将軍の部下に近づき、何回か一緒にお酒を飲み、一線は越えないが女の武器を使って惚れさせ。

「あのさ、私の情報を買ってくれない。此の情報を上官に知らせて、アンタが出世したら私がアンタの女になっても良いからさ」

「ほ、本当か! 分かった。情報の書類を第2将軍に渡すよ」

 だが、その男の前にサイゾィが姿を現すことは、二度となかった。

 証拠の書類を見た第2将軍は、驚いて自分の部下に調べさせると本当で皇帝に報告した。

 皇帝も最初は「まさか」と思ったが、調べると本当なので第3将軍を牢屋に叩き込み拷問して自白させ、皇帝は。

「ナチラス聖国め、許さん。聖国を最初に攻めてやる」

 こうして、ナチラス聖国とドアイル帝国の間に亀裂が入り、険悪な状態になったのだ。

 この功績でサイゾィはリュウトから報奨金と屋敷を貰い、後に大好きなサスハに告白し結婚してその屋敷で暮らしたのです。

 一方ナチラス聖国に潜入したサスハは、
闇夜に紛れて湖の中央にある大聖堂に忍び込む事に成功し。

 影魔法で大聖堂内を調べて教皇の住む部屋を見つけ、天井裏に気配を消して潜み、辛抱強く保存食を食べて教皇が現れるの待ち、5日目に教皇が姿を現したのだ。

 教皇が着替える時の姿を見てサスハは、驚いて声が出そうになり、慌てて手で口を押えた。

 何と、教皇は30歳位の女性で背中には黒い羽根が生えて、身体全体が黒い皮膚でまるで悪魔みたいだったのだ。


 着替えが終わると、教皇が鈴を鳴らし、今度は同じ姿の筋肉隆々の男性が現れ、二人はベッドの上で男女の交わりを始めて、事が終わると教皇が。

「フッ、フッ、フッ、此れで半年後には又、分身が生まれるわ。今度は何人が生まれるかしら。帝国が第3将軍をスパイだと気が付いて最初に此の国を攻めるみたいだけど滅ぶのは帝国なのに・・・・・・」

 2人が部屋を出るとサスハはこれ以上いても情報は得られないと思い、王国に帰る為に大聖堂を後にしたのでした。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

異世界に召喚されたが勇者ではなかったために放り出された夫婦は拾った赤ちゃんを守り育てる。そして3人の孤児を弟子にする。

お小遣い月3万
ファンタジー
 異世界に召喚された夫婦。だけど2人は勇者の資質を持っていなかった。ステータス画面を出現させることはできなかったのだ。ステータス画面が出現できない2人はレベルが上がらなかった。  夫の淳は初級魔法は使えるけど、それ以上の魔法は使えなかった。  妻の美子は魔法すら使えなかった。だけど、のちにユニークスキルを持っていることがわかる。彼女が作った料理を食べるとHPが回復するというユニークスキルである。  勇者になれなかった夫婦は城から放り出され、見知らぬ土地である異世界で暮らし始めた。  ある日、妻は川に洗濯に、夫はゴブリンの討伐に森に出かけた。  夫は竹のような植物が光っているのを見つける。光の正体を確認するために植物を切ると、そこに現れたのは赤ちゃんだった。  夫婦は赤ちゃんを育てることになった。赤ちゃんは女の子だった。  その子を大切に育てる。  女の子が5歳の時に、彼女がステータス画面を発現させることができるのに気づいてしまう。  2人は王様に子どもが奪われないようにステータス画面が発現することを隠した。  だけど子どもはどんどんと強くなって行く。    大切な我が子が魔王討伐に向かうまでの物語。世界で一番大切なモノを守るために夫婦は奮闘する。世界で一番愛しているモノの幸せのために夫婦は奮闘する。

異世界転生~チート魔法でスローライフ

リョンコ
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。 43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。 その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」 大型連休を利用して、 穴場スポットへやってきた! テントを建て、BBQコンロに テーブル等用意して……。 近くの川まで散歩しに来たら、 何やら動物か?の気配が…… 木の影からこっそり覗くとそこには…… キラキラと光注ぐように発光した 「え!オオカミ!」 3メートルはありそうな巨大なオオカミが!! 急いでテントまで戻ってくると 「え!ここどこだ??」 都会の生活に疲れた主人公が、 異世界へ転生して 冒険者になって 魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。 恋愛は多分ありません。 基本スローライフを目指してます(笑) ※挿絵有りますが、自作です。 無断転載はしてません。 イラストは、あくまで私のイメージです ※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが 少し趣向を変えて、 若干ですが恋愛有りになります。 ※カクヨム、なろうでも公開しています

いきなり異世界って理不尽だ!

みーか
ファンタジー
 三田 陽菜25歳。会社に行こうと家を出たら、足元が消えて、気付けば異世界へ。   自称神様の作った機械のシステムエラーで地球には帰れない。地球の物は何でも魔力と交換できるようにしてもらい、異世界で居心地良く暮らしていきます!

その幼女、最強にして最恐なり~転生したら幼女な俺は異世界で生きてく~

たま(恥晒)
ファンタジー
※作者都合により打ち切りとさせて頂きました。新作12/1より!! 猫刄 紅羽 年齢:18 性別:男 身長:146cm 容姿:幼女 声変わり:まだ 利き手:左 死因:神のミス 神のミス(うっかり)で死んだ紅羽は、チートを携えてファンタジー世界に転生する事に。 しかしながら、またもや今度は違う神のミス(ミス?)で転生後は正真正銘の幼女(超絶可愛い ※見た目はほぼ変わってない)になる。 更に転生した世界は1度国々が発展し過ぎて滅んだ世界で!? そんな世界で紅羽はどう過ごして行くのか... 的な感じです。

【改稿版】休憩スキルで異世界無双!チートを得た俺は異世界で無双し、王女と魔女を嫁にする。

ゆう
ファンタジー
剣と魔法の異世界に転生したクリス・レガード。 剣聖を輩出したことのあるレガード家において剣術スキルは必要不可欠だが12歳の儀式で手に入れたスキルは【休憩】だった。 しかしこのスキル、想像していた以上にチートだ。 休憩を使いスキルを強化、更に新しいスキルを獲得できてしまう… そして強敵と相対する中、クリスは伝説のスキルである覇王を取得する。 ルミナス初代国王が有したスキルである覇王。 その覇王発現は王国の長い歴史の中で悲願だった。 それ以降、クリスを取り巻く環境は目まぐるしく変化していく…… ※アルファポリスに投稿した作品の改稿版です。 ホットランキング最高位2位でした。 カクヨムにも別シナリオで掲載。

虐げられ続け、名前さえ無い少女は王太子に拾われる

黒ハット
ファンタジー
 【完結しました】以前の小説をリメイクして新しい小説として投稿しています。  名前も付けられずに公爵家の屋敷の埃の被った図書室の中で育った元聖国の王女は虐待で傷だらけで魔物の居る森に捨てられ、王太子に拾われて宰相の養女となり、王国の聖女と呼ばれ、波乱万丈の人生をおくるが王太子妃になり幸せになる。

2回目の人生は異世界で

黒ハット
ファンタジー
増田信也は初めてのデートの待ち合わせ場所に行く途中ペットの子犬を抱いて横断歩道を信号が青で渡っていた時に大型トラックが暴走して来てトラックに跳ね飛ばされて内臓が破裂して即死したはずだが、気が付くとそこは見知らぬ異世界の遺跡の中で、何故かペットの柴犬と異世界に生き返った。2日目の人生は異世界で生きる事になった

【完結】家庭菜園士の強野菜無双!俺の野菜は激強い、魔王も勇者もチート野菜で一捻り!

鏑木 うりこ
ファンタジー
 幸田と向田はトラックにドン☆されて異世界転生した。 勇者チートハーレムモノのラノベが好きな幸田は勇者に、まったりスローライフモノのラノベが好きな向田には……「家庭菜園士」が女神様より授けられた! 「家庭菜園だけかよーー!」  元向田、現タトは叫ぶがまあ念願のスローライフは叶いそうである?  大変!第2回次世代ファンタジーカップのタグをつけたはずなのに、ついてないぞ……。あまりに衝撃すぎて倒れた……(;´Д`)もうだめだー

処理中です...