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32話、ナチラス聖国とドアイル帝国の動向

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 ナチラス聖国とドアイル帝国に対する対策を実行している頃、ドアイル帝国では大陸の制覇に向けて軍備増強に励んでいたのだ。

 ドアイル帝国のデルタシァ・ドアイル皇帝38歳は、自分の代で大陸を制覇しようと目論み、兵力をいまの倍の10万にする為に、バンダイ公国の僻地に盗賊を装た兵たちに奴隷狩りをさせたり、貧民街の若者を強制的に兵士にさせて兵を増やしていたのです。

 ドアイル帝国の帝都アルカに帝都を見下ろすようにそびえ建つ、帝城の会議の間の上段には冷酷な顔をした。氷の帝王と呼ばれているデルタシァ・ドアイル皇帝が部下たちを睥睨して。

「第1将軍、奴隷部隊の現状を報告せよ」

「はい、如何やら奴隷たちを皇帝様の思う通りに動かす事が出来そうです。闇魔法を使える者たちが従属させる為の首輪を作る事に成功しまして試した所。成功して指揮官に反抗すると首輪が締まり苦しくなり、反抗を続けると死に至りますので命令に従い従順な行動をするようになりました」

「ほぅー そうか。闇魔法使いたちに褒美を取らせよ。第2将軍魔法部隊の様子はどうだ」

「はい、お喜び下さい。念願の共同魔法の開発に成功して5人で火の魔法を放つと、今までの2倍の威力のある火力で敵を攻撃出来ます」

「ふむぅ、良くやった。共同魔法の研究者たちにも褒美を取らせよ」

第3将軍が、皇帝の顔色を伺いながら。

「皇帝様、大陸を制覇するための戦いはいつ頃になるでしょうか。又最初はどの国から降伏させるのでしょうか」

「まだ思案中でだが、早ければ1年後で兵力が次第では2年後になるかも知れん。最初にどの国を攻めるかは決めておらんが、第3将軍はどの国が良いと思うのだ」

「私は、多民族国家で団結しにくいバンダイ公国がよろしいかと存じます」

「そうか、お前の部隊は諜報が得意だったなバンダイ公国の弱点を探っておけ。今日の会議は終わりだ」

 会議が終わり、会議の間から出ると第3将軍はニヤッと笑い。

「フン、今のうちに夢をみとけ。ナチラス教皇様が此の世界を思いのままにするのが決まっておるのに、馬鹿者め」

 第3将軍はナチラス聖国聖国が送り込んだスパイで、第3将軍が呟いた言葉は誰にも聞かれる事は無かった。



           ~~~~~~~~~~~~~~~~~


 ナチラス聖国は此の大陸では一番新しい新興国で天使教会が支配する国で国民の全てが天使教の信者なのだ。

 サリスン・ナチラス教皇が絶対の権力者で、謎に包まれた人物で素顔は数人の巫女しか知らず。
 
性別、年齢も不明で国民は仙人のような老人を想像している。

 この国には階級があり上から教皇、巫女、牧師、聖騎士、戦士、1級平民、2級平民があり。天使教会が授けた能力によって決まるのだ。

 国民は国から最低限の生活は保障されている。死ぬまで階級は変わる事が無く教会が決めた階級で生きていく仕組みだ。

 国民には、最低限の情報しか知らされず。
最低限の生活が保障されているので何の疑いも無く暮らしている。

 この国にはギルドも無く勿論、冒険者もいないので他国の情報もなく鎖国状態で、国民は教会に洗脳されて飼い慣らされいる。

 聖都スワンには、サリスン・ナチラス教皇が住む大聖堂は周囲5kmの湖の中央に建てられており。

 陸からは大きな橋が掛けられているが、大聖堂の前は跳ね橋になっており、橋の管理者の許可が無いと橋は降ろされず、侵入は出来ない。

 その聖堂の中は豪華で金や宝石で飾られている。

 そんな聖堂の奥まった教皇の謁見の間には、上位の巫女が平伏しており、巫女たちの背中には黒い羽根が生えていて上段の豪華な椅子に数か月振りに姿を見せた教皇が座っていた。

 教皇の座っている上段は、薄い靄で覆われて教皇の姿ははっきりと見えない。教皇が言葉を発して。

「オスガン王国から逃げ帰った巫女よ、報告をしなさい」

「教皇様、この度の醜態を、お許しください。まさか国王とギルドが手を組むとは、それに龍神教会が加わるとは思わずにましてや、我が能力を授けるのでは無く。鑑定したのを我らの都合の良いように伝えていた事を見破る人物が現れるとは思わずに、オスガン王国を属国にする計画が失敗した事を、お詫び申し上げます」

「ふむう、其方の戦力を温存してオスガン王国を属国にする計画は良い案だったが、失敗しては時間の無駄で、お前の判断の甘さだ。よって、お前を降格処分にして巫女長から平の巫女とする」

 降格された巫女は、唇を噛んで悔しそうにしていた。別の巫女長が。

「教皇様、帝国に潜り込ませていた私の部下が第3将軍に昇格して最高会議に加わり、その会議で最初の攻撃先をバンダイ公国にするように提案し、提案が受け入れられたとの報告がありました。此れで帝国と公国が交戦状態になれば、我らが両国に邪魔されずにオスガン王国を攻めて、力で属国にする事が出来ます。帝国が公国を攻めるのは、1年後位なので私は今からこの世界にはいない魔物や魔獣を召喚して調教する事をお許し下さい」

「良かろう。許す!情報が漏れないように注意しなさい」

 唇を噛んで悔しそうにしていた巫女長が。

「教皇様、王国に潜ませていた牧師から聞いた情報なのですが、最近貧民街で生まれた子供が成人して間もないのに、騎士爵になり、その騎士爵が、信じられない事に最近。公爵になったのです。我々の計画の為に以前の公爵を殺して部下の牧師を公爵にしていたのですが、その公爵も王族を殺そうとしたのが露見して、反逆罪で処刑され、その若者が公爵の領地も継いだそうです」

「何と! それは誠か? 貧民街に生まれた平民が騎士爵になるのも驚きだが、騎士爵から公爵になるなどあり得ない事だ。お前の降格を一時取り止めて、その公爵の素性を調べなさい。もしかして・・・・いや、ありえんが・・・・・・」

「はい、今度こそ、その公爵の素性を調べて汚名を返上いたします。温情ありがとうございます」

 こうして、降格を免れた巫女長がリュウトの素性を調べる事になったのでした。

 巫女たちが去りいなくなると、どこからともなく黒い羽根を生やした筋肉隆々の男性が現れ。

「教皇様、聞いておりましたが、オスガン王国の貧民街で生まれた平民が、もしかして2千年に現れた龍人王だと疑っているのですか」

「そうだ! 有り得ん事とは思われんので調査を命じたのだ。もし、龍神王だったとしても今の私なら捻り潰せる力があるから心配はないが・・・・・・・・。

 2千年前は私の同胞と分身が少なく、魔獣と魔物に頼り過ぎて失敗したが、今回は、同胞はお主だけだが。分身の数が倍になり、上位の魔物や魔獣も召喚出来るようになって2千年前の様にはならん。今度こそ此の大陸を手に治め天界に攻め入り私が天界の主になってやる」
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