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第6話、冒険者になる
しおりを挟むイレーヌの家の宿は商店街にあり、ギルドから歩いて10分の所で着くと、宿は石作の3階建てで表にいた恰幅の良いおばさんがイレーヌを見て。
「忙しいのに朝から何処に行っていたのよ」
イレーヌが謝り俺を紹介して。
「ごめんなさい。その代わりお客さんを連れて来たわ。この人はシンヤさんと言って私とブリアが魔獣に襲われていた時に助けてくれたのよ」
「イレーヌ、だから冒険者になるのは止めなさいと言ったのに、これに懲りて冒険者は止めなさい。どうしても冒険者になるのなら家を出て行きなさい」
「お母さんの言う通り私は冒険者に向いていないのが分かったから旅館を継ぐわ」
恰幅の良いおばさんはイレーヌの母親で俺に。
「娘を魔獣から助けてくれてありがとうよ。泊るなら一泊、朝食と夕食付きで小銀貨5枚だけれど娘を助けてくれたお礼に小銀貨3枚にサービスするよ」
「助かります。とりあえず3日お願いします」
「悪いけれど前金でお願いね」
大銀貨1枚を渡し、お釣りで借りていた小銀貨1枚をイレーヌに帰すと直ぐに部屋に案内してくれた。
部屋は8畳くらいの広さでベッドとテーブルとソファーがあり、シャワー室があった。
イレーヌが。
「もう夕食を食べられるけれどどうします」
俺は下着や服を買いたいので。
「下着や服を売っている店はまだ開いているかな」
「2軒隣が服屋さんでまだ開いているわ」
「食事の前に買ってくるよ」
服屋で下着と肌着を5枚ずつとシャツとズボン2本を買ったが小銀貨2枚でお釣りが来たのには安いので驚いた。
隣の雑貨を売っている店で大きなお皿を買い、部屋に戻り、義経にお皿に空間カバンから入れておいた焼いた肉を大盛に出して。
「ごめんな。お腹が空いただろう。此れを食べてくれ」
「お腹が空きすぎて倒れそうだったよ。信也兄さんが僕を忘れているのかと思ったよ」
「忘れるはずがないだろう」
義経が食べているあいだに備え付けのカミソリで髭をそり、汚れている髪は3回洗ってやっと元のブロンド髪になったので後ろで括り付けておいた。
シャワー室を出ると義経は沢山の焼き肉を食べて満足したのか寝ていたので、1階の食堂に行くとイレーヌの母親の女将さんが俺をマジマジと見てから。
「シンヤさんだね。見違えたよ。良い男じゃないか」
傍にいたイレーヌも顔を赤くして。
「本当だ! 別人みたい」
食事をしていたブリアが傍に来て。
「山賊みたいな髭と頭や服を変えると顔が綺麗過ぎて私の好みではないけれど結構良い男に見えるわね。」
全く女どもは勝手な事を言っているがそれより飯が食いたいので。
「夕食を食べたいのだが」
「ブリアの隣に用意してあるわ」
用意してある席に着くと、ステーキなのか大きな焼いた肉にソースみたいなのが掛けてある料理、野菜サラダ、シチュー、パンが用意してある。
女将さんが。
「酒は飲まないのかい」
この世界の酒には興味があるので。
「飲みたいのでお願いします」
出てきた酒はビールに似ていたが少し苦みが強く美味しかった。
この世界に来て初めての食事は美味しかったがやはりご飯が恋しかった。
食事が終わるとブリアが。
「シンヤさん、冒険者登録をしたなら私とパーティーを組まない」
俺はこの街に長居はするつもりがないので。
「ごめん、俺はこの街で冒険者に慣れたなら色んな街を見て回るつもりなのでパーティーを組めないよ」
「そうか、仕方ないですね。私は両親の身体が弱いく、面倒を見なければいけないので街を出られないので自由なシンヤさんが羨ましいわ」
「ごめんな」
「良いのよ。気にしないで」
ブリアが帰り、俺も部屋に戻ると義経はまだ寝ているのでギルドで渡された冒険者手帳を見た。
手帳には冒険者は7級から1級まであり魔獣を狩れるのは6級からで、魔獣にも冒険者と同じランクがある。
冒険者カードはお金を預けることが出来どこの国のギルドでも引き出せて、買い物の支払いも出来て前世のキャッシュカードみたいだ。
ギルドはどこの国の干渉を受けない独立した組織で、3級冒険者は伯爵、2級は公爵、1級は国王と同じ身分の待遇だ。
その他にも細々と注意事項が書いてあったが眠くなり久しぶりのベッドで爆睡した。
朝、目を覚ますとソファーで寝ていた義経がいつの間にかベッドに潜り込んで寝ているので。
「義経、起きろ。朝飯を食べに行くぞ」
ご飯と聞いて食いしん坊の義経は跳ね起きて。
「一緒に食べられるの? 」
「ああ、おまえの分は特別に作ってもらった」
食堂に下りて行くと冒険者で一杯だったが、空いている席に座るとイレーヌが。
「おはようございます。今日は昇級試験を受けるのでしょう。頑張って下さいね。ワンちゃんのご飯も用意しておきました」
「ありがとう」
朝食を食べてギルドに行くと受付嬢が。
「おはようございます。昇級試験は訓練場でいたしますのでこちらにどうぞ」
受付嬢の案内でギルドの裏に行くと訓練場には中年の厳つい男性がいて俺を見て。
「君が5級冒険者を簡単に倒した者か。わしはギルドマスターのガロンだ。今日はわしが相手をするが魔法は禁止で剣で戦うが良いか」
俺は空手が通用するか試したいのでナックルダスターを手に嵌めて。
「俺は剣を使わずナックルダスターで戦います」
ギルドマスターは少し怒り。
「そんな物で戦うとはわしを馬鹿にしておるのか」
「俺は剣よりこれの方が戦いやすいので別にギルドマスターを馬鹿にしているのではありません」
「それなら良いだろうが怪我をしても知らんぞ」
昇級試験は珍しいのか訓練場の観覧席には冒険者が見に来ている。
試験が始まるとギルドマスターが剣を抜き、物凄い勢いで剣を振るって来たので俺は何回も避けているとギルドマスターが。
「逃げているばかりでは話にならん。攻撃してこい」
俺がギルドマスターの打ち込んで来た剣をナックルダスターで殴りつけるとギルドマスターの剣は折れてしまい。
正拳突きを見舞うとギルドマスターは吹き飛び倒れて起き上がれないでいる。
暫くして起き上がり。
「まさか素手の君に負けるとは思わなかったよ」
見ていた観客席にいた冒険者たちも驚いていて受付嬢が興奮して。
「ギルドマスターは3級冒険者だったのよ。現役を引退したとはいえそのギルドマスターに勝つとはシンヤさんは強いのね。ビックリしたわ」
自分でもまさかギルドマスターに勝てるとは思っていなかったので驚いたが、冒険者の実力が分かって良かった。
ギルドマスターが。
「君の実力は3級冒険者クラスだが規定で最初は5級以上にはなれないので5級冒険者から始めてくれ」
「はい、分かりました。これからもよろしくお願いします」
ギルドの中に戻って5級冒険者カードをもらって無事に冒険者登録を終えたのだ。
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