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第9話、サヤカ、聖女になる,1
しおりを挟むアリーナ女神にサヤカ・スタシャリ公爵令嬢が聖女に指名された事は王宮の王族には直ぐに知らされたのです。
陛下夫妻と王太子は、政務を投げ出して教会に駆け付けたのです。
私は、本山教会の聖女の間で猊下から聖女について記された、過去の文献を渡されて読んでいましたが、気になる事が記されていたのです。
それは、この世界ムーヴ大陸が平和時には聖女は現れず、何か異常事態が起きる前に聖女が現れるという記述でした。
聖女は、其の異常事態を鎮める力を授かるらしいのです。
文献を読み終わると、私の身体が淡い光に包まれて、私の頭の中に優しい女性の声が聞こえ始めて。
「サヤカ・スタシャリ貴女に聖魔法、空間魔法、創造の魔法、特別に神の目を授ける。神の目を開くと唱えてみなさい」
淡い光は消えて、声も聞こえなくなりました。
部屋にいた両親と猊下が驚き、特に猊下が口をパクパクさせて。
「な、何と!! 女神様が2回も現れるとは・・・・・・・・・」
アリーナ女神様の光に包まれている時は、私の身体が少し熱くなり、身体に力が漲り気持ちが良いのです。
何か言っている両親の声が遠ざかり、私は意識を失ったのです。
寝ている間に私は色んな夢と言うよりは知識を授かったのです。
このムーヴ大陸の生い立ち、森に住む魔物とダンジョンに住む魔物がなぜ魔石を持っているのか?魔法の使い方、その他に今まで私の知らなかった事など、夢と言うよりは、教えられている感じでした。
気が付くと、記憶に無い豪華な部屋でサヨが。
「お嬢様、目が覚めました?」
「えっ? ・・・そうだ、私は教会で意識が無くなってしまったのよね。其の後どうしたのかしら?此処は何処なのかしら?」
「サヤカお嬢様は3日も寝ていたのですよ、お医者様は身体に異常は無く眠っているだけだから心配は無いと言いましたが、流石に3日も目を覚まさないので心配しました。此処は王宮の中ですよ、皆さんにお知らせしてきます」
サヨが皆さんを呼びに行っている間に、私は聖女に選ばれた事を思い出してアリーナ女神様に言われたように。
【神の目を開く】
と呟きました
するとどうでしょう、目の前に文字が見えたのです。
サヤカ・スタシャリ、 15歳
オッドアイの神の目を持つ聖女
他人の能力も神の目で見る事が出来る
聖魔法と創造の魔法、空間魔法使い
他人の能力も神の目で見る事が出来る
本当に聖女で、本で読んだ女神様しか使えないはずの創造の魔法が使えるみたいなのです。
魔法とは、自然界の現象を想像して人工的に起こす事だと寝ている間の夢で教わりましたが、想像力が一番大事だと言っていたので元気になったなら試してみようと思いました。
部屋のドアが開き、最初にいつもは沈着冷静なトムウッド殿下が珍しく慌てた様子で飛び込んで来たのです。
殿下の姿を見た途端に私は、嬉しくなり私の胸は何故か早鐘のようにドキドキして切なく苦しくなり顔が赤くなったのです。
どうしてなのでしょうか?
殿下は端麗な顔を歪ませて心配そうに。
「サヤカ、大丈夫か?気分は悪くないか?
サヤカに何かあったら僕は・・・・・」
「えっ?」
「いや、何でも無い、其れよりも久し振りだね」
殿下の後の言葉が気になったのですが、陛下夫妻と両親が部屋に入って来たのです。
陛下が代表して。
「サヤカ、思ったより元気そうで安心したよ、フゥー、それにしてもサヤカが聖女に指名されるとは、此れからが大変だな」
お父様も額に皺を寄せて。。
「やはり、帝国がらみでしょうな」
私は疑問に思い。
「帝国?・・・何の事でしょうか?」
王妃様が心配を吹き飛ばすように。
「それよりサヤカに会えなくて寂しかったのよ、セシャターが独占して王宮に連れて来てくれないのよ、もうー、意地悪なんだから」
お母様が苦笑いをして。
「だって、サヤカは習い事が多くて大変なのですよ、もう少し落ち着いたならと思っていましたのに」
殿下が二人の言い合いに呆れた顔で。
「そんな事より、サヤカが聖女に指名されて教会が聖女として認定して発表してしまったから、対処を考えないと」
お父様が何か考えていたのでしょうか。
「其の事に付いてですが、今日はサヤカを休ませて明日にでも王国の対処方法を話し合いませんか?」
こうして、私の聖女に認定された事に対する王国の対処方法が話し合われる事になったのです。
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