こんなはずではなかったと、泣きつかれても遅いのですが？

20話 ファレナの告白 その2

(マックス視点)


「ファレナ……」

「マックスさん……」


　私とファレナはお互いを見つめ合っていた。この現場だけを見れば、恋人同士に映るかもしれないな。


「ファレナ、ありがとう。君の告白は私にとって、とても嬉しいよ」

「左様でございますか、マックスさん。それは私としても嬉しいです。それで……私の告白にマックスさんはどのように答えてくれますか？」


　感情を表に出しているファレナを見るのは初めてかもしれないな。どうしてもクールなイメージが強い人物だけに余計に新鮮な気持ちになる。私の答えか……私はファレナのことをどう思っている？　彼女からの告白は正直に言って嬉しい、それは間違いない。

　だが、やはり私の脳裏にはミリスの表情が生まれてしまう。ファレナはあくまでも、ミリスの妹という立ち位置なのだろう。その辺りはファレナも分かっているようだったが。それどころか、聡明な彼女は、私がミリスのことが好きだということも看破している。

　まったく頭が上がらないよ……図星を見事に突かれた気分だ。もしも、ミリスよりも先にファレナと仲良くなっていればあるいは、未来は変わったのかもしれないな。

　だが、そんなことを言うのは告白してくれたファレナに失礼だと言える。ここはしっかりと、自分の気持ちを伝えるべきだ。小細工やフォローなどは一切考えずに……。

「ファレナ、申し訳ない……告白してくれたのは本当に嬉しい。しかし、君の言葉の期待に答えることは出来ない」

「マックスさん……そうですよね」

「本当に済まない」


　私は自然と頭を下げていた。これは彼女の勇気に対して失礼だったかもしれない。ただ、ファレナは泣きそうになっていたのだ……それを見た時、私は頭を下げずにはいられなかった。抱きしめるわけにはいかなかったから。

「私がミリス姉さんと比較して選ばれないことは分かっていました……でも、1つだけ聞いてもよろしいでしょうか？」

「ファレナ……？　ああ、構わないよ」

「私が姉さんに負けていることは、一体、何なのでしょうか？」


　私は一瞬、耳を疑ってしまった……ファレナからまさか、そんな言葉が出てくるとは思わなかったからだ。