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24話 糾弾に向かう その3
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怖い……ヨハン様が一緒じゃなかったら、私は本当に逃げ出していたかもしれない。エメラダ夫人は決して暴力を使わないタイプ……だから、余計に怖い。私達が次に何を言い出してくるのかも予想しているだろう。
「法外な慰謝料の真の意図は、それをエレナの家系に渡す為だろう? 自分達の資金からは何ら、支払わないということか」
「これは心外ですわね、ヨハン王子殿下。法外な慰謝料であることは、否定するつもりはありませんが、それをそのままエレナ嬢に渡すわけではありませんよ?」
「どういうことだ? ファルス家への法外な慰謝料をそのまま、ランカスター家への慰謝料に充てる物だと思っていたが?」
「そのままだなんて人聞きの悪い。私がそのようなことをすると、本気でお思いですか? あの慰謝料は、リグリットを誑かした怒りの象徴でしかありません。ランカスター家への慰謝料は別にご用意させていただきます」
「えっ……? それって……」
「簡単なお話しですよ、エレナ嬢。単に私達は謝罪の証として、資産の一部をあなた方、ランカスター家に渡すと言っているだけですので」
違う……これは、茶番でしかない。エメラダ夫人の表情からもそれは容易に伝わってくる。法外な慰謝料は一度、バークス家の資産としてカウントされる。そして、私への慰謝料はバークス家の資産から出ると言っているだけだ。
実質、法外な慰謝料の何割かが、私の慰謝料へ充てられることに変わりはない。ただし、同じお金だから一度、バークス家に慰謝料が入ってしまえば区別が付かないのだ。エメラダ夫人はそれを狙っている。よく、考えれば当然の話……エメラダ夫人も茶番だとは分かっていると思う。
彼女はそれを敢えて行っている……シンプルな策ほど崩しにくいということか。
「言ったもの勝ちだな、エメラダ夫人。そんな子供騙しの方法が、通るとでも思っているのか?」
「子供騙しとは、いくらヨハン王子殿下といえども少々失礼ではございませんか? まあ、どのように思って頂いても構いませんが……」
挑発に乗る様子も見せない。エメラダ夫人の心理はどうなっているんだろうか? おそらく、ヨハン様のことをある程度、認めた上で今の王家は尽くすに値すると考えている? いえ、そんな小難しいことは考えていないのかな。
そうだ、彼女はきっと深くは考えていない……その時の状況に応じた対応が出来る自信を持っているはずだから。どんなことを言われても、それなりの結果に引き戻せる自信がある。それならこっちは……。
「エメラダ夫人。提案があるのですが、宜しいでしょうか?」
「ええ。なんでしょうか? エレナ嬢。あなたには本当に申し訳ないことをしてしまったので……なるべく、お聞きしたいと存じますが?」
「私への慰謝料についてですが、バークス公爵が保有している土地の一部……管理権を譲っていただくことで手を打ちませんか?」
一瞬、エメラダ夫人の表情が変化したように見えた。すぐに平静になっていたけれど。
「土地の一部を……差し出せ、と? 現金ではなく?」
「ええ、その方がバークス家にとっても良い流れになると思います。このままでは、ファルス家が没落するかもしれない程の金銭を巻き上げて、さらにそれを左から右に流しただけ、という噂が広まるでしょう。私は誠意ある応対をバークス家がしてくれると信じているので、そんな噂は流れてほしくないのです」
「な、なるほど……そういうこと」
エメラダ夫人の声色も変化している気がする。少しはマシな攻撃になったかしら? まだまだ予断を許さないわね。
「法外な慰謝料の真の意図は、それをエレナの家系に渡す為だろう? 自分達の資金からは何ら、支払わないということか」
「これは心外ですわね、ヨハン王子殿下。法外な慰謝料であることは、否定するつもりはありませんが、それをそのままエレナ嬢に渡すわけではありませんよ?」
「どういうことだ? ファルス家への法外な慰謝料をそのまま、ランカスター家への慰謝料に充てる物だと思っていたが?」
「そのままだなんて人聞きの悪い。私がそのようなことをすると、本気でお思いですか? あの慰謝料は、リグリットを誑かした怒りの象徴でしかありません。ランカスター家への慰謝料は別にご用意させていただきます」
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「簡単なお話しですよ、エレナ嬢。単に私達は謝罪の証として、資産の一部をあなた方、ランカスター家に渡すと言っているだけですので」
違う……これは、茶番でしかない。エメラダ夫人の表情からもそれは容易に伝わってくる。法外な慰謝料は一度、バークス家の資産としてカウントされる。そして、私への慰謝料はバークス家の資産から出ると言っているだけだ。
実質、法外な慰謝料の何割かが、私の慰謝料へ充てられることに変わりはない。ただし、同じお金だから一度、バークス家に慰謝料が入ってしまえば区別が付かないのだ。エメラダ夫人はそれを狙っている。よく、考えれば当然の話……エメラダ夫人も茶番だとは分かっていると思う。
彼女はそれを敢えて行っている……シンプルな策ほど崩しにくいということか。
「言ったもの勝ちだな、エメラダ夫人。そんな子供騙しの方法が、通るとでも思っているのか?」
「子供騙しとは、いくらヨハン王子殿下といえども少々失礼ではございませんか? まあ、どのように思って頂いても構いませんが……」
挑発に乗る様子も見せない。エメラダ夫人の心理はどうなっているんだろうか? おそらく、ヨハン様のことをある程度、認めた上で今の王家は尽くすに値すると考えている? いえ、そんな小難しいことは考えていないのかな。
そうだ、彼女はきっと深くは考えていない……その時の状況に応じた対応が出来る自信を持っているはずだから。どんなことを言われても、それなりの結果に引き戻せる自信がある。それならこっちは……。
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