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46話 想いの交錯 その2
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(メープル視点)
「しかしだな、シャルナはどうやら悩んでもいるらしい。自分の選択が本当に正しかったのかどうか、という点でな」
「それも、リュート王女殿下からの報告ですか~?」
「ああ、そういうことになるな……」
むむむ……リシド様は自覚がないのだろうか? これではまるで、リュート王女殿下と通じ合っているみたいな……。べ、別にヤキモチとかじゃないけど……。なんで私がヤキモチなんて妬かないといけないのよ……! リシド様はあくまでも私に尽くしてくれる存在なんだから……!
はあ……それにしても、何をやってるんだろう、姉さまは。これだから、恋愛初心者って嫌なのよね……。
「シャルナ姉さまもとうとう甘えが見え始めてますよね……はあ、やだやだ」
「甘えなのか……? あの、シャルナが……?」
元姉さまの婚約者だったリシド様からすればそのように映るのかもしれないけれど、今は完全に姉さまは甘えの時期に入ってるわね。今までは私がわがままばっかり言ってて、お父様やお母様も私にばかり構っていてくれたから、甘える余裕なんてなかったんだろうけど。
今はブリスド宮殿で優しい王族の方々に囲まれて生活している……シャルナ姉さまにとっては、初めての安らげる場所って感じじゃないかしら?
「癪ですけれど……今の姉さんは生まれて初めて、本気で安らげる場所を手に入れたんだと思います」
「ブリスド宮殿内での生活のことか……?」
「そうですね。私とかお父様達の屋敷よりもはるかに待遇が良いでしょうから」
なんでこんなことをリシド様に話しているんだろう……はあ、私らしくない。こんなの私じゃないわ……!
「ふふっ、面白いな」
「何がですか~?」
「メープルがシャルナのことを心配しているように見えるからだ、お前も少しだけ心境の変化があったんじゃないか?」
「やめてくださいよ……いや、本当に」
シャルナ姉さまのことを大切に思って行動するなんて……おかしい。こんなの私じゃないわ。うん、絶対に違う。これは……きっと、再々教育でおかしくなってしまっただけなのよ。
「それで? シャルナはこれからどうするべきだと思うんだ?」
「面白そうに聞いてるのが癪ですけど……まあ、姉さまは今まで甘えた経験とか恋愛経験もなかったんですし、欲望のままに突き進めばいいんじゃないですか? それくらいの権利はあると思いますし、ユアン様だってそれを許す度量は持ってると思いますよ」
「ふむ、なるほどな」
リシド様が計画通り、みたいな表情をしていたのが気に食わないけれど……それが正解なんだと思う。もしも、なにか手に負えない事態が起きたとすれば……その時は、私が間に入ってあげるとしよう。
本当は絶対に嫌だけれど……まあ、今までずっと迷惑を掛け続けた謝罪みたいなものだ。
はあ……なんだか、私の性格がどんどん変わっているような気がする……。
「しかしだな、シャルナはどうやら悩んでもいるらしい。自分の選択が本当に正しかったのかどうか、という点でな」
「それも、リュート王女殿下からの報告ですか~?」
「ああ、そういうことになるな……」
むむむ……リシド様は自覚がないのだろうか? これではまるで、リュート王女殿下と通じ合っているみたいな……。べ、別にヤキモチとかじゃないけど……。なんで私がヤキモチなんて妬かないといけないのよ……! リシド様はあくまでも私に尽くしてくれる存在なんだから……!
はあ……それにしても、何をやってるんだろう、姉さまは。これだから、恋愛初心者って嫌なのよね……。
「シャルナ姉さまもとうとう甘えが見え始めてますよね……はあ、やだやだ」
「甘えなのか……? あの、シャルナが……?」
元姉さまの婚約者だったリシド様からすればそのように映るのかもしれないけれど、今は完全に姉さまは甘えの時期に入ってるわね。今までは私がわがままばっかり言ってて、お父様やお母様も私にばかり構っていてくれたから、甘える余裕なんてなかったんだろうけど。
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「癪ですけれど……今の姉さんは生まれて初めて、本気で安らげる場所を手に入れたんだと思います」
「ブリスド宮殿内での生活のことか……?」
「そうですね。私とかお父様達の屋敷よりもはるかに待遇が良いでしょうから」
なんでこんなことをリシド様に話しているんだろう……はあ、私らしくない。こんなの私じゃないわ……!
「ふふっ、面白いな」
「何がですか~?」
「メープルがシャルナのことを心配しているように見えるからだ、お前も少しだけ心境の変化があったんじゃないか?」
「やめてくださいよ……いや、本当に」
シャルナ姉さまのことを大切に思って行動するなんて……おかしい。こんなの私じゃないわ。うん、絶対に違う。これは……きっと、再々教育でおかしくなってしまっただけなのよ。
「それで? シャルナはこれからどうするべきだと思うんだ?」
「面白そうに聞いてるのが癪ですけど……まあ、姉さまは今まで甘えた経験とか恋愛経験もなかったんですし、欲望のままに突き進めばいいんじゃないですか? それくらいの権利はあると思いますし、ユアン様だってそれを許す度量は持ってると思いますよ」
「ふむ、なるほどな」
リシド様が計画通り、みたいな表情をしていたのが気に食わないけれど……それが正解なんだと思う。もしも、なにか手に負えない事態が起きたとすれば……その時は、私が間に入ってあげるとしよう。
本当は絶対に嫌だけれど……まあ、今までずっと迷惑を掛け続けた謝罪みたいなものだ。
はあ……なんだか、私の性格がどんどん変わっているような気がする……。
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