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27話 王子殿下達の訪問 その2

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 完全にデジャブだ……この展開は、私がリシド様に婚約破棄をされた後、ユアン王子殿下が来てくれた時と同じだから。しかも、今回はユアン王子殿下だけでなく王族の方が合計4人来ているようなので……緊張感は単純に4倍だった。

 私は今、そんな王族の皆様を前にして応接室のソファに座っている。緊張で今にも倒れそうだけれど、そんな失態を見せるわけにはいかない……ちなみに、ロイドとドルチェの二人は飲み物の用意をして、皆さんに配っていた。


「あ、あの……申し訳ありません。ユアン様……ええと、父や母は今、不在でございまして」

「いや、構わない。むしろ好都合と言えるだろう。こちらこそ、急に訪問してしまって済まなかった」

「いえ……とんでもないことでございます」


 事前にご連絡をいただいた方が良かったけれど、何か事情があったのかもしれないし。私は前方に座っている二人……ユアン様とベノム様に慌てて頭を下げていた。ちなみに、リュート王女は私の隣のソファに座っている。バール第三王子殿下に至っては部屋の隅に立っていた。

「あなたがシャルナよね? 初めまして……と、いうほどでもなかったかしら?」

「は、はい……リュート様。以前にお話しをさせていただいておりますので」

「そういえばそうだったわね」


 リュート王女は記憶の糸を辿っているようだった。以前に彼女と話したのは、1か月以上前のパーティーの席だ。リュート王女は貴族からの挨拶が多かったので、私に対する記憶は薄くてもしょうがない。

「ふふ、仲良くしましょうね」

「え……はい、よろしくお願いします……」

 リュート王女からの意外な言葉に私は自然と頷いていた。確か彼女は私と同じ17歳だったはず。気のせいかもしれないけれど、友達になれるかもなんて思ってしまった。流石に言葉には出せないけれど。



「それで……どういったご用件なのでしょうか? 事前にご訪問のご連絡をいただいていなかったので、急ぎのご用でございますか?」

 私の質問にユアン様とベノム様は険しい顔つきになった。えっ? 一体、なんなのかしら……?


「実はな、シャルナ嬢よ……メープル嬢はあれからどうだ? 少しは反省しているのか?」


 やっぱりメープルのことか……想像はしていたけれど。険しい顔つきになっているのは、それだけメープルに対する悪感情があるということかしら。それとも、本当は彼女の話題なんてしたくないのかもしれない。

 私もメープルの話題を出すのは気が引けるけど、話すことにした。一人で抱えているのは辛いから……。


「メープルは……あの舞踏会の出来事について、全く反省している様子がありませんでした。舞踏会から帰って来てからも、リシド様への文句を父に言っていたり……」

「やはりそうか。まあ、彼女の場合、常識というものが欠如しているのだろうな。シャルナ嬢とは大違いだ」

「いえ、そんな……」

 ベノム様の言葉に、私はつい顔を逸らしてしまった。とても見せられない表情になっていたから。

「ぬう……ベノム」

「ふふふ、なにかな? ユアン」

「いや……なんでもない」


 ん? なんだかおかしなやり取りが繰り広げられているような……まあいいか。

「それで? 他には何か言っていた?」

「はい、リュート様……メープルはその日、舞踏会で恥をかかされたとして、私に謝罪を要求してきました。父も彼女に同調するような感じでして」

「はあ、なによそれ? 謝罪ですって……? しかも、アモネート伯爵も同調していた……?」


 リュート王女は声を荒げ、表情も怒りの感情に身を任せた状態になっていた。私は思わず身体を後ろに逸らしてしまった。もちろん、私に対して言っているわけではないことは分かるんだけれど。

「まったく……彼女は……」


 ユアン王子殿下も大きく溜息を付きながら、頭を抱えている……ああ、とても恥ずかしい。王族の方々の前で、私の家族の失態を話しているのだから当然だ。私は今すぐにベッドに入って、枕に顔をうずめたい衝動に駆られていた……。
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