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22話 幸せな一時
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「おお、あれは……! 壮観ですな~~~!」
「そうですわね。ユアン様、シャルナ様共にとても楽しんでおられるようですわ」
私とユアン第二王子殿下は、中央ステージで踊りを披露していた。周囲の貴族の皆さんは賞賛の声を上げてくれるので、とても嬉しい。第二王子殿下様を独り占めしているという罪悪感がないわけではないけれど、今だけは許されるのではないかという不思議な感覚に苛まれていた。
あまり図に乗りすぎるのは良くないとは分かっている。でも……今だけは許してほしいという心情だ。せっかく、ユアン王子殿下との距離を縮められているのだから。
「シャルナ、君は何というか……」
「どうかしましたか? ユアン様?」
私はそこまで踊りが得意というわけではない。そんな私を見事にリードしているユアン王子殿下。私の顔をマジマジと見つめながら、話していた。
「ふむ……踊っている君の姿は、ダークスパイダーのようだな?」
「ダークスパイダー……?」
それは誉め言葉なのかしら……? ダークスパイダーというのは、わが国に多く分布している蜘蛛の一種だ。ユアン王子殿下の意図がよくわからないけれど、あまり女性への言葉には使わないような……?
意図と糸を掛けているとか? いえ、それでもおかしいわね。
「失礼ながらユアン様。ダークスパイダーというのは……あの、魔物のダークスパイダーでよろしいのでしょうか?」
「その通りだ。しかし、別にシャルナの外見がダークスパイダーみたいだ、という意味ではないぞ?」
「で、では……どういった意味合いなのでしょうか?」
ちょっとだけ答えを聞くのが怖かったけれど、私は勇気を振り絞って聞いてみた。踊りの最中に行う会話としては、異例中の異例だと思う。
「蜘蛛の糸のように私の感情を捕らえてしまっているということだ……私はシャルナとの関係性を強化したいと思っている」
「ゆ、ユアン様……? それは……」
周囲の貴族達に聞かれると、あらぬ誤解を招いてしまう発言だった。
「周りの方々に聞かれると、困りませんか……?」
「ははは、聞かれたら聞かれたまでさ。それよりも……シャルナの返答が私としては重要かな」
「ユアン様……え、えと……その……」
告白と呼んで差し支えないのかもしれない。まさか、この舞踏会で言われることになるとは思わなかったけれど。ただ、すぐに答えを出せる内容ではないのも確かだ。
「私もユアン様との関係を深めていきたいと願ってはおります……まずは、このような返答で……よろしいでしょうか?」
「もちろんだ、シャルナ。とても嬉しいよ。お互いをより深く知っていくところから、始めようか」
「はい」
ダークスパイダー……ユアン王子殿下の心を絡めとったという意味では正しいのかもしれない。信じられないけれど。
先ほど、パーティ会場を後にしたメープルとリシド様……二人とのトラブルはまだまだ続きそうだけれど、今だけは、それが些細なことに感じられてしまっていた。
ユアン王子殿下からのこれ以上ない誉め言葉と言えるかもしれない……ユアン様自身も顔を赤らめているのだし。
「ううむ……ユアンの奴め、なんと女たらしな……!」
「だから兄上もすれば良いのにと提案しましたのに……シャルナ嬢は優しいお方ですので、断りませんよきっと」
「ぬう……検討してみるか……」
外野の人々からは、私たちの踊りを見て色々な意見が出ているんだと思う。その中には良くない感情も含まれているかもしれないけれど。
そんな中、王族の方々の会話は愉快なものだったのではないだろうか。表情からの把握でしかないのだけれど……。ユアン王子殿下と踊ることが出来、舞踏会の中心人物の仲間入りを果たしている。こんな幸せなことが訪れるなんて、本当に信じられない。
でも、紛れもなく真実なのだ。
「そうですわね。ユアン様、シャルナ様共にとても楽しんでおられるようですわ」
私とユアン第二王子殿下は、中央ステージで踊りを披露していた。周囲の貴族の皆さんは賞賛の声を上げてくれるので、とても嬉しい。第二王子殿下様を独り占めしているという罪悪感がないわけではないけれど、今だけは許されるのではないかという不思議な感覚に苛まれていた。
あまり図に乗りすぎるのは良くないとは分かっている。でも……今だけは許してほしいという心情だ。せっかく、ユアン王子殿下との距離を縮められているのだから。
「シャルナ、君は何というか……」
「どうかしましたか? ユアン様?」
私はそこまで踊りが得意というわけではない。そんな私を見事にリードしているユアン王子殿下。私の顔をマジマジと見つめながら、話していた。
「ふむ……踊っている君の姿は、ダークスパイダーのようだな?」
「ダークスパイダー……?」
それは誉め言葉なのかしら……? ダークスパイダーというのは、わが国に多く分布している蜘蛛の一種だ。ユアン王子殿下の意図がよくわからないけれど、あまり女性への言葉には使わないような……?
意図と糸を掛けているとか? いえ、それでもおかしいわね。
「失礼ながらユアン様。ダークスパイダーというのは……あの、魔物のダークスパイダーでよろしいのでしょうか?」
「その通りだ。しかし、別にシャルナの外見がダークスパイダーみたいだ、という意味ではないぞ?」
「で、では……どういった意味合いなのでしょうか?」
ちょっとだけ答えを聞くのが怖かったけれど、私は勇気を振り絞って聞いてみた。踊りの最中に行う会話としては、異例中の異例だと思う。
「蜘蛛の糸のように私の感情を捕らえてしまっているということだ……私はシャルナとの関係性を強化したいと思っている」
「ゆ、ユアン様……? それは……」
周囲の貴族達に聞かれると、あらぬ誤解を招いてしまう発言だった。
「周りの方々に聞かれると、困りませんか……?」
「ははは、聞かれたら聞かれたまでさ。それよりも……シャルナの返答が私としては重要かな」
「ユアン様……え、えと……その……」
告白と呼んで差し支えないのかもしれない。まさか、この舞踏会で言われることになるとは思わなかったけれど。ただ、すぐに答えを出せる内容ではないのも確かだ。
「私もユアン様との関係を深めていきたいと願ってはおります……まずは、このような返答で……よろしいでしょうか?」
「もちろんだ、シャルナ。とても嬉しいよ。お互いをより深く知っていくところから、始めようか」
「はい」
ダークスパイダー……ユアン王子殿下の心を絡めとったという意味では正しいのかもしれない。信じられないけれど。
先ほど、パーティ会場を後にしたメープルとリシド様……二人とのトラブルはまだまだ続きそうだけれど、今だけは、それが些細なことに感じられてしまっていた。
ユアン王子殿下からのこれ以上ない誉め言葉と言えるかもしれない……ユアン様自身も顔を赤らめているのだし。
「ううむ……ユアンの奴め、なんと女たらしな……!」
「だから兄上もすれば良いのにと提案しましたのに……シャルナ嬢は優しいお方ですので、断りませんよきっと」
「ぬう……検討してみるか……」
外野の人々からは、私たちの踊りを見て色々な意見が出ているんだと思う。その中には良くない感情も含まれているかもしれないけれど。
そんな中、王族の方々の会話は愉快なものだったのではないだろうか。表情からの把握でしかないのだけれど……。ユアン王子殿下と踊ることが出来、舞踏会の中心人物の仲間入りを果たしている。こんな幸せなことが訪れるなんて、本当に信じられない。
でも、紛れもなく真実なのだ。
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