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1話 伯爵令嬢で聖女の婚約破棄
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「こ、婚約破棄ですか……?」
「その通りだ、アメリア。私としても非常に残念なのだがな……」
「な、なぜでしょうか……? 私は聖女として、ザックス様の領地を中心に守ってきたと思うのですが……?」
「うむ、確かにその通りだな。お前はよくやってくれた」
私は伯爵令嬢のアメリア・レイカールト。レイカールト伯爵家の長女であり、目の前に居るザックス・オルタナティブ公爵とは婚約関係にあった。私はスローンズ王国の中でも非常に珍しいとされる、聖女という能力を発現した存在だった。17歳の誕生日……ちょうど、ザックス様と婚約する数カ月前に発現したのだ。
結界を自在に操り、魔物や盗賊たちの侵入を敏感に感知する能力に長けていた。それ以外にも攻撃魔法や防御魔法も使える。その能力でオルタナティブ公爵家の領地を中心に守護していたのだけれど……いきなりの婚約破棄は正直、意味が分からなかった。
なぜ、こんな時期に……? 最近は魔物の発生件数も多いと聞かされているのに……。私と婚約破棄をするということは、私の能力も必要ないと言っているようなもので……。
「私はアドリアーヌ・セレイド侯爵令嬢と婚約することにした。彼女は絶世の美女だ……是非とも、手中に収めたい。お前よりも位も高く、私の今後に活きて来るからな」
「アドリアーヌ・セレイド侯爵令嬢ですか……!?」
「ああ、その通りだ」
絶世の美女……17歳の私に対して、ザックス様は27歳。アドリアーヌ様は18歳のはずだ。アドリアーヌ様が非常に美しい外見とスタイルをしていることは私も知っている。とても私なんかでは勝ち目がないくらいに美しい。しかも侯爵令嬢……。
「し、しかし……私と婚約破棄をするということは、聖女の能力はもう必要ないのですか? 今まで、必死でザックス様の領地をお守りしてきましたが……」
「ははははははっ! そんなことも気付かないのか? お前の能力が必要ならば、お前と婚約破棄などするわけがないだろう? 無理やりにでも繋いでおくさ……くくくく、聖女様は少し珍しい能力を持っているからといって、随分と天狗になっていたようだな?」
「そ、そんなことは……!」
それはザックス様の完全な誤解だ。私は今まで天狗になったことなど一度だってない……と思う。少なくとも、表向きは謙虚に振舞っていたはずだし。人間なんだから、自分の能力が他とは違うと感じた時には嬉しさがあったことは否定はしないけれど……少なくともそれを表に出したことなんてないはずだ。
「私の私設騎士団が増強されたのでな……胡散臭い聖女の能力は必要なくなったというわけだ。やはり、信じるべきは目に見える武力だからな……ということで、お前などもう必要ない。私の私設騎士団で十二分に足りるのでな」
「そ、そんな……! そんな理由で婚約破棄だなんて……あんまりです、ザックス様!」
「うるさい奴だな……慰謝料くらいは払ってやるから心配するな。ほら、分かったらとっとと出て行くんだな。お前はもう用済みなんだから」
「……!」
慰謝料くらいは払ってやる……? なんて上から目線なの、信じられない……。私はあまりの彼の酷い態度に完全に言葉を失ってしまった。それから、私の聖女の能力は必要ない……その言葉も自分の中では思いのほか大きなダメージになっていた。
私はザックス様の元から足早に離れることにする……彼の傍に居るのが苦痛だったからだ。それと同時に、溢れてくる涙を抑えられなくなっていたから……。
私はその日、婚約破棄が成立してしまったのだ……スローンズ王国の中でもあまり良い印象は持たれない事象と言えるだろう。私は今後、どのように生活すれば良いのか分からなくなっていた。
「その通りだ、アメリア。私としても非常に残念なのだがな……」
「な、なぜでしょうか……? 私は聖女として、ザックス様の領地を中心に守ってきたと思うのですが……?」
「うむ、確かにその通りだな。お前はよくやってくれた」
私は伯爵令嬢のアメリア・レイカールト。レイカールト伯爵家の長女であり、目の前に居るザックス・オルタナティブ公爵とは婚約関係にあった。私はスローンズ王国の中でも非常に珍しいとされる、聖女という能力を発現した存在だった。17歳の誕生日……ちょうど、ザックス様と婚約する数カ月前に発現したのだ。
結界を自在に操り、魔物や盗賊たちの侵入を敏感に感知する能力に長けていた。それ以外にも攻撃魔法や防御魔法も使える。その能力でオルタナティブ公爵家の領地を中心に守護していたのだけれど……いきなりの婚約破棄は正直、意味が分からなかった。
なぜ、こんな時期に……? 最近は魔物の発生件数も多いと聞かされているのに……。私と婚約破棄をするということは、私の能力も必要ないと言っているようなもので……。
「私はアドリアーヌ・セレイド侯爵令嬢と婚約することにした。彼女は絶世の美女だ……是非とも、手中に収めたい。お前よりも位も高く、私の今後に活きて来るからな」
「アドリアーヌ・セレイド侯爵令嬢ですか……!?」
「ああ、その通りだ」
絶世の美女……17歳の私に対して、ザックス様は27歳。アドリアーヌ様は18歳のはずだ。アドリアーヌ様が非常に美しい外見とスタイルをしていることは私も知っている。とても私なんかでは勝ち目がないくらいに美しい。しかも侯爵令嬢……。
「し、しかし……私と婚約破棄をするということは、聖女の能力はもう必要ないのですか? 今まで、必死でザックス様の領地をお守りしてきましたが……」
「ははははははっ! そんなことも気付かないのか? お前の能力が必要ならば、お前と婚約破棄などするわけがないだろう? 無理やりにでも繋いでおくさ……くくくく、聖女様は少し珍しい能力を持っているからといって、随分と天狗になっていたようだな?」
「そ、そんなことは……!」
それはザックス様の完全な誤解だ。私は今まで天狗になったことなど一度だってない……と思う。少なくとも、表向きは謙虚に振舞っていたはずだし。人間なんだから、自分の能力が他とは違うと感じた時には嬉しさがあったことは否定はしないけれど……少なくともそれを表に出したことなんてないはずだ。
「私の私設騎士団が増強されたのでな……胡散臭い聖女の能力は必要なくなったというわけだ。やはり、信じるべきは目に見える武力だからな……ということで、お前などもう必要ない。私の私設騎士団で十二分に足りるのでな」
「そ、そんな……! そんな理由で婚約破棄だなんて……あんまりです、ザックス様!」
「うるさい奴だな……慰謝料くらいは払ってやるから心配するな。ほら、分かったらとっとと出て行くんだな。お前はもう用済みなんだから」
「……!」
慰謝料くらいは払ってやる……? なんて上から目線なの、信じられない……。私はあまりの彼の酷い態度に完全に言葉を失ってしまった。それから、私の聖女の能力は必要ない……その言葉も自分の中では思いのほか大きなダメージになっていた。
私はザックス様の元から足早に離れることにする……彼の傍に居るのが苦痛だったからだ。それと同時に、溢れてくる涙を抑えられなくなっていたから……。
私はその日、婚約破棄が成立してしまったのだ……スローンズ王国の中でもあまり良い印象は持たれない事象と言えるだろう。私は今後、どのように生活すれば良いのか分からなくなっていた。
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